ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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結婚式に行こう!

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帰りは村山の両親に送ってもらったおかげでいつもよりも早く家に帰ることができた。

カールは直くんに会いたそうにしていたけれど、まだ体調が万全ではないし明日は遠出の予定だ。

今度学校帰りにおいでと声をかけて村山たちと別れた。

鍵を開けて中に入り、

「ただいまー」

と声をかけると、

「昇さん、おかえりなさい!!」

といつもの笑顔で直くんが迎えてくれてホッとした。

「いつもより早いですね」

「ああ。村山の両親に送ってもらったんだ」

「あ、カールですか?」

「そう、今日は学校に挨拶に来てたんだ」

「そうなんですね、いいなぁ」

少し羨ましそうな声を上げる直くんをギュッと抱きしめて、頬にちゅっと唇を当てる。

「直くんも試験に合格したら学校に行けるようになるよ」

「はい。でも……」

「んっ?」

「昇さんと一緒の学校に通えるカールが羨ましいなって」

そうか、さっき直くんが言っていた、いいなぁはそういう意味だったのか……。

俺と一緒がいいなんて……ああ、もう可愛すぎるな。

「俺とはいつだって一緒だから。ほら、明日も結婚式の後、旅行だし」

「あっ! そうですね!! 明日着る洋服良かったでしょう?」

「ああ、すごく似合ってて可愛かったよ。明日が楽しみだな」

「はい。とっても楽しみです!!」

直くんはトラウマを俺に話したことを全く覚えていなくて良かった。
このまま伯父さんたち大人が解決してくれるのを俺は直くんを支えながら待っていよう。


結婚式参列の日。
一花さんに見つからないように少し早めに会場に来てほしいという貴船さんからの依頼で、俺たちは早々と準備をして車に乗り込んだ。

直くんの体調もすっかり戻っていて良かった。

出発前に伯父さんから、SAでのトイレ休憩の時に、よからぬやつから直くんを見られないようにちゃんと見張っておくんだぞと何度も忠告されていたから、途中で休憩した時に、俺も直くんと一緒について行った。

伯父さんの忠告通り、直くんへの視線がすごい。
それはあの事件のこと云々ではなくて、単純に直くんが人目を惹くという理由だ。

トイレに入っただけで、興味津々な視線が注がれるのがわかる。
個室に入ろうとしたけれど、直くんと交代できないから仕方なく、小便器の一番端に直くんを立たせて、俺はすぐ隣に立ち、直くんのを見ないようにしながら周りにも威圧を放ちまくった。
俺の勢いに押されたのか、幸い俺たちのそばには近づいてくるやつはいなくてホッとした。

「ちょっと店を覗こうか?」

トイレを出て声をかけると、直くんは嬉しそうに頷いた。

中に入ると伯父さんと絢斗さんもいて、直くんの姿を見てやってきた。

「ねぇねぇ、直くん。アイスクリーム、食べない?」

「わぁ、食べたいです!!」

「良かった、じゃあ買いに行こう!」

二人で手を繋いで歩いていくすぐ後ろを俺と伯父さんが見守りながら、アイス屋にむかった。

「わっ! クレープ!」

クレープのサンプルが並んでいるのを見て、直くんが目を輝かせた。

「いいね、クレープ食べようか」

「いいんですか?」

「ああ、残ったら俺が食べるから食べたいのを選んでいいよ」

絢斗さんと直くんの会話に口を挟んで俺が伝えると、直くんはぱあっと花が咲いたような笑顔を見せてくれた。

「直くん、何にしようか?」

「あやちゃんはどれにしますか?」

「うーん、悩むけど……抹茶アイスティラミスにしようかな。直くんはどれがいい?」

「あの、えっと……アイス苺生クリーム、かな」

「いいね、美味しそう!!」

絢斗さんが声をかけると直くんは嬉しそうに笑っていた。
だいぶ、自分の意見を出せるようになったよな。

俺と伯父さんがそれぞれ直くんと絢斗さんの食べたいクレープと、コーヒーを注文すると、スタッフがすぐにクレープを作り始めた。

直くんは感嘆の声をあげながら、出来上がるのを待っていた。その様子が本当に可愛くて、そっとスマホを取り出して録画した。

これもちゃんと保存しとかないとな。本当に伯父さんにあの保管ファイルを教えてもらって良かった。

「お待たせしました」

直くんに直接手渡そうとするのを、さっと俺が受け取り、俺から直くんに渡すと、伯父さんも絢斗さんに同じようにしていてちょっと笑ってしまった。
やっぱり俺は伯父さんによく似ている。でも、愛しい人にはいくら店員といえども誰にも触れさせたくないと思ってしまうのは当然だよな。
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