ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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二人のじいちゃん

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「ほら、直くん。あーん」

店から少し離れて俺がクレープを持ったまま口に近づけると、直くんが嬉しそうに小さな口を大きく開ける。
それでもクレープの皮と生クリームと、薄くカットしたイチゴしか口に入ってなかったけれど、直くんは幸せそうな表情を見せてくれた。

「んっ! おいひぃっ!!」

ああ、もう可愛すぎるな。みると、鼻の先にほんの少し生クリームがついている。
それを指で拭い取って舐めると、直くんは恥ずかしそうにしながらもお礼を言ってくれた。

俺の方しか向いてなかったから、この可愛い表情を誰にも見せずに済んだことは何よりもよかった。
でも全てを俺だけのものにしたくて、急いで車に戻ったが、伯父さんも同じ気持ちだったのか、一緒に戻ってくれてよかった。

車の中で飲食することを嫌う人もいるらしい。それが高級車ならなおさらだ。
けれど、伯父さんはそんなことを気にする様子もない。もちろんうちの父さんも同じだ。

俺たちは気にすることもなく、車が動き出してからもクレープを食べ続けた。
ちらっと前をみると、運転している伯父さんの口元に絢斗さんがクレープを近づけているのが見える。

伯父さんは自分から甘いものは食べないけれど、絢斗さんが差し出すものはちゃんと食べるんだよな。
俺も同じだ。直くんが食べさせてくれるのはどんなものでも美味しい。

「直くん、アイスだよ」

クレープについていた小さなスプーンでアイスを掬って食べさせると、

「んっ! 冷たっ! 美味しっ!」

と可愛い声をあげる。

ああ、もう! クレープを食べるだけでこんなに天才的に可愛いなんて……最高すぎる!!

生クリームが結構多かったせいか、三分の一くらい食べたところでお腹がいっぱいになってしまったみたいだけど、俺は直くんの満足する顔が見られただけで幸せだ。

残りをパクパクっと三口くらいで食べ終えると、

「昇さん、すごいですね!!」

と尊敬の眼差しを向けられる。

「俺、すぐに腹が減るから今日の結婚式の食事も無理しなくて良いからね。残ったら俺が食べるよ」

「はい。お願いします!」

伯父さん家に来るまで満足に食べていなかったから、なんでも食べたい。
でも今までの生活のせいで小さい身体にはたくさん食べることができない。
いっぱい食べたいし、残したくないけど食べられない。そんな葛藤をしている直くんだからこそ、無理して完食しなくていい。

この小さな身体で抱えている全てのトラウマを早く全て取り除いてあげられたら良いのに……。

今頃、大おじさんがいろんな人と頑張ってくれているんだろうな。少しでも頑張ってもらえるように大おじさんにさっきの直くんの可愛い動画を送っておこうか。

俺はポケットからスマホを取り出し、さっき撮った、直くんの初めてのクレープ動画を大おじさんに送った。

あっ、じいちゃんにも送っとかないと怒るかな? てか、そもそも直くんのことをじいちゃんはもう知ってるんだっけ?

「ねぇ、伯父さん。じいちゃんに直くんの話はした?」

「ああ、昇と直くんには言ってなかったか。賢将さんがきてくれた夜にすぐに電話をして報告したよ」

「それでなんて言ってた?」

「それがな、直くんの写真と動画を見せたら予定を早めて帰国するって言ってたぞ。それでうちに泊まるらしい」

「えっ? じいちゃん、泊まるの?」

「ああ。直くんをすごく気に入っててな、直くんとの時間をゆっくり過ごしたいらしい」

伯父さんの言葉に直くんは緊張と嬉しさが入り混じったような表情をしていた。

「大丈夫、じいちゃんは結構楽しい人だから。直くんも気にいるよ」

「パパの、お父さんなんですよね。僕も早く会いたいです……」

直くんにとっては二人目のおじいちゃんというわけか。じいちゃんが直くんを気に入らないわけないから、きっと楽しくなるだろうな。

「伯父さん、大おじさんに動画送るんだけどじいちゃんにも送って良いかな?」

「動画? 直くんのか?」

「うん。さっき撮ったやつ」

「ああ、送ってやってくれ。大喜びするはずだよ」

「昇さん、さっき撮った動画ってどれですか?」

「ああ。これだよ。可愛いだろう?」

俺はこっそり録画しておいた、クレープができる様子を見守っている直くんの動画を見せた。

「わっ、僕……っ。恥ずかしい」

「なんで? 可愛いよ。大おじさんにも送ったけど、あっほら返信が来てる! えーっと、<直くん、初めてのクレープか? 可愛いな。今度はおじいちゃんがとびきり美味しいものを食べさせるから楽しみにしていてと伝えてくれ>だって。ほら、やっぱり可愛いって」

大おじさんから送られたメッセージを見せながら直くんに伝えると、直くんは嬉しそうに笑っていた。

「だから、じいちゃんにも送って良いだろう?」

直くんはまだ照れながらも頷いてくれたので、すぐに動画を送ると、あっちは夕方だからかすぐに返信が来た。

<直くんは本当に可愛いな。昇、これからいつでも何でも動画も写真も送ってくれ>

簡潔ながらも、直くんへの愛に溢れたメッセージが送られてきた。
まだ実際に会っていないのに、じいちゃんはもうすっかり直くんにメロメロみたいだ。
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