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僕でいいのかな?
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<side卓>
征哉くんから結婚式の招待を受けた時に、今回は撮影隊が入るから変装がてら直くんにドレスか着物を着せるのはどうかという打診があった。
一花くんは花嫁衣装を着るが、参列者のほとんどが男性で暗くなりがちな服装に花を添えたいという思惑もあったのだろう。だが、その提案は私にとっては幸せ以外の何ものでもなかった。
可愛い直くんならドレスや着物を着ても似合うし、何より誰かに気づかれるなんていう不安もないままに結婚式を楽しんで欲しかったからだ。そして、直くん一人に女装をさせないためにも絢斗にも女装してもらうという大義名分ができる。
私は別に絢斗が女性であったら……と思っているわけではない。絢斗が男性だろうが女性だろうが絢斗自身を愛しているのだ。だが、いつも見られない格好を見られるのは興奮するものだ。なんせ私は絢斗以外には興奮しないのだから。
絢斗にも当日まで内緒にしておこうかと思ったが、絢斗の喜ぶ顔が早くみたくて、結婚式では直くんにドレスか着物を着せるつもりだと伝えておいた。そして、直くんだけだと不安になるかもしれないから絢斗にもドレスか着物をきて欲しいと伝えると、私の想像以上に大喜びしてくれた。
「いいのか?」
「もちろん! 卓さんが喜んでくれるなら私はなんでもするよ。それに直くんと二人でドレスか着物が着られるなんてこともこんなチャンス滅多にないし」
ああ、もう本当に私の絢斗は最高だな。
それからというもの、絢斗は夜の二人の時間にはいつも直くんの衣装はどんなのがいいかと私に話をふってきた。本当は直くんに言いたくてたまらなかったのだろう。それを隠しているから余計に私に言ってくることを知っていたから、二人でこっちがいい、これもいいなどと話をしていた。
それでも最後には、
「直くんはどっちも似合うよね」
で終わってしまうのだから、もうすっかり私たちは親バカだ。
そうしてようやく結婚式当日。
志摩くんから事前に伝えられていた通り、正面の駐車場から離れた駐車場に車を止めた。もうすでに誰かが到着しているようで、車が一台止まっているのが見える。
正面からは見られないこの駐車場なら、一花くんがやってきても気づかれることはないだろう。
「わぁ、素敵なところ!」
直くんの可愛い声に私も絢斗も顔を見合わせて笑顔を浮かべた。
昇が直くんを車から降ろし、私も絢斗をエスコートして降ろしていると、
「磯山先生! 緑川教授!」
と私たちを呼ぶ声が聞こえる。
懐かしい声に振り向けば、今回の結婚式の発案者でこの店の店主である天沢くんが私たちの元へ駆け寄ってくるのが見えた。絢斗は天沢くんが一人の様子を見て、すぐに千里くんのことを尋ねたが千里くんは未知子さんを案内しているようだ。そうか、あの車は未知子さんだったか。
「入って右奥に衣裳部屋を和装と洋装で分けて準備しておりますので、お好きな御衣装をお選びください」
「わぁ! 直くん、楽しみだね。行こう!」
「えっ? 衣装?」
絢斗はようやく直くんとその話ができるとあって、何も知らない直くんの手をとって急いで衣装部屋に向かって行った。天沢くんはそんな絢斗を見て相変わらずだと笑っているが、昇は急に直くんを連れて行かれて戸惑っているようだ。
「昇、ここでは心配はいらないよ。今日は信頼できる人しか招待されてないからな」
「うん、それはわかるけど、さっきの衣装ってどういうこと?」
「直くんと絢斗には美しい姫になってもらう予定なんだよ」
「えっ? 姫?」
「ああ。出席者はほとんど男性ばかりだからな。花を添えるためにも女装してほしいと打診があったんだ。直くんにとっては変装がてら女の子になってもらうのはいい方法だろう?」
「それは確かに……」
ようやく納得したらしい昇を連れて、天沢くんの案内で私たちは待機場所に向かった。
<side直純>
素敵なお庭が見える駐車場に車が止まり、その先には昔ながらの日本家屋が見える。まるで日本昔ばなしのような世界に感動してしまう。
昇さんに手を引かれて車から降りると、空気も美味しくて風も心地よい。結婚式は外でするそうだから、今日の天気は結婚式にはぴったりだろう。
ああ、こんな素敵な場所で一花さんの結婚式を見られるなんて……最高だな。
なんて思っていると、パパとあやちゃんを呼ぶ声が聞こえた。
どうやらこの人がこのお店の店主さんみたい。
パパとあやちゃんがその人と話をしていると、突然
「お好きな衣装をお選びください」
という声が聞こえた。
衣装を選ぶ? どういうこと? なんのことだかわからないままに、嬉しそうなあやちゃんに手を引かれて、建物の方に連れて行かれる。
「あ、あの……あやちゃん、衣装ってなんですか?」
「これだよ」
笑顔で連れて行かれた部屋の中を見ると、見たこともないほど綺麗なドレスが部屋中に並べられているのが見える。
「こちらがドレスのお部屋。そしてお隣が着物のお部屋でございます」
部屋の前にいた女の人が説明してくれるけれど、僕には何が何だかわからない。
「あのね、今日の結婚式で一花ちゃんが花嫁衣装を着るでしょう?」
「はい。すっごく楽しみです」
「うん、私も楽しみだよ。でもね、今日の招待客は征哉くんのお母さん以外はみんな男の人なんだよ」
「えっ? そうなんですか?」
「それで、撮影隊の人から女性をもう少し入れてほしいってことで、直くんと私は一花ちゃんみたいに可愛い格好をすることになったんだよ」
「僕と、あやちゃんが?」
「私たちだけじゃないよ。他にも着てもらうつもりだから」
「でも、僕……似合うかどうか……」
一花さんもあやちゃんもすっごく綺麗だからドレスも着物も似合いそうだけど、僕なんかが着てもかえって邪魔になりそうだけど……。
「何言ってるの! 直くんが一番よく似合うよ。卓さんもそう言ってたんだから!」
「パパも?」
「うん。だから、好きなの選ぼう!!」
あやちゃんがそこまで言ってくれるなら、着てみようかな……。そんな気分になって、僕は頷いた。
征哉くんから結婚式の招待を受けた時に、今回は撮影隊が入るから変装がてら直くんにドレスか着物を着せるのはどうかという打診があった。
一花くんは花嫁衣装を着るが、参列者のほとんどが男性で暗くなりがちな服装に花を添えたいという思惑もあったのだろう。だが、その提案は私にとっては幸せ以外の何ものでもなかった。
可愛い直くんならドレスや着物を着ても似合うし、何より誰かに気づかれるなんていう不安もないままに結婚式を楽しんで欲しかったからだ。そして、直くん一人に女装をさせないためにも絢斗にも女装してもらうという大義名分ができる。
私は別に絢斗が女性であったら……と思っているわけではない。絢斗が男性だろうが女性だろうが絢斗自身を愛しているのだ。だが、いつも見られない格好を見られるのは興奮するものだ。なんせ私は絢斗以外には興奮しないのだから。
絢斗にも当日まで内緒にしておこうかと思ったが、絢斗の喜ぶ顔が早くみたくて、結婚式では直くんにドレスか着物を着せるつもりだと伝えておいた。そして、直くんだけだと不安になるかもしれないから絢斗にもドレスか着物をきて欲しいと伝えると、私の想像以上に大喜びしてくれた。
「いいのか?」
「もちろん! 卓さんが喜んでくれるなら私はなんでもするよ。それに直くんと二人でドレスか着物が着られるなんてこともこんなチャンス滅多にないし」
ああ、もう本当に私の絢斗は最高だな。
それからというもの、絢斗は夜の二人の時間にはいつも直くんの衣装はどんなのがいいかと私に話をふってきた。本当は直くんに言いたくてたまらなかったのだろう。それを隠しているから余計に私に言ってくることを知っていたから、二人でこっちがいい、これもいいなどと話をしていた。
それでも最後には、
「直くんはどっちも似合うよね」
で終わってしまうのだから、もうすっかり私たちは親バカだ。
そうしてようやく結婚式当日。
志摩くんから事前に伝えられていた通り、正面の駐車場から離れた駐車場に車を止めた。もうすでに誰かが到着しているようで、車が一台止まっているのが見える。
正面からは見られないこの駐車場なら、一花くんがやってきても気づかれることはないだろう。
「わぁ、素敵なところ!」
直くんの可愛い声に私も絢斗も顔を見合わせて笑顔を浮かべた。
昇が直くんを車から降ろし、私も絢斗をエスコートして降ろしていると、
「磯山先生! 緑川教授!」
と私たちを呼ぶ声が聞こえる。
懐かしい声に振り向けば、今回の結婚式の発案者でこの店の店主である天沢くんが私たちの元へ駆け寄ってくるのが見えた。絢斗は天沢くんが一人の様子を見て、すぐに千里くんのことを尋ねたが千里くんは未知子さんを案内しているようだ。そうか、あの車は未知子さんだったか。
「入って右奥に衣裳部屋を和装と洋装で分けて準備しておりますので、お好きな御衣装をお選びください」
「わぁ! 直くん、楽しみだね。行こう!」
「えっ? 衣装?」
絢斗はようやく直くんとその話ができるとあって、何も知らない直くんの手をとって急いで衣装部屋に向かって行った。天沢くんはそんな絢斗を見て相変わらずだと笑っているが、昇は急に直くんを連れて行かれて戸惑っているようだ。
「昇、ここでは心配はいらないよ。今日は信頼できる人しか招待されてないからな」
「うん、それはわかるけど、さっきの衣装ってどういうこと?」
「直くんと絢斗には美しい姫になってもらう予定なんだよ」
「えっ? 姫?」
「ああ。出席者はほとんど男性ばかりだからな。花を添えるためにも女装してほしいと打診があったんだ。直くんにとっては変装がてら女の子になってもらうのはいい方法だろう?」
「それは確かに……」
ようやく納得したらしい昇を連れて、天沢くんの案内で私たちは待機場所に向かった。
<side直純>
素敵なお庭が見える駐車場に車が止まり、その先には昔ながらの日本家屋が見える。まるで日本昔ばなしのような世界に感動してしまう。
昇さんに手を引かれて車から降りると、空気も美味しくて風も心地よい。結婚式は外でするそうだから、今日の天気は結婚式にはぴったりだろう。
ああ、こんな素敵な場所で一花さんの結婚式を見られるなんて……最高だな。
なんて思っていると、パパとあやちゃんを呼ぶ声が聞こえた。
どうやらこの人がこのお店の店主さんみたい。
パパとあやちゃんがその人と話をしていると、突然
「お好きな衣装をお選びください」
という声が聞こえた。
衣装を選ぶ? どういうこと? なんのことだかわからないままに、嬉しそうなあやちゃんに手を引かれて、建物の方に連れて行かれる。
「あ、あの……あやちゃん、衣装ってなんですか?」
「これだよ」
笑顔で連れて行かれた部屋の中を見ると、見たこともないほど綺麗なドレスが部屋中に並べられているのが見える。
「こちらがドレスのお部屋。そしてお隣が着物のお部屋でございます」
部屋の前にいた女の人が説明してくれるけれど、僕には何が何だかわからない。
「あのね、今日の結婚式で一花ちゃんが花嫁衣装を着るでしょう?」
「はい。すっごく楽しみです」
「うん、私も楽しみだよ。でもね、今日の招待客は征哉くんのお母さん以外はみんな男の人なんだよ」
「えっ? そうなんですか?」
「それで、撮影隊の人から女性をもう少し入れてほしいってことで、直くんと私は一花ちゃんみたいに可愛い格好をすることになったんだよ」
「僕と、あやちゃんが?」
「私たちだけじゃないよ。他にも着てもらうつもりだから」
「でも、僕……似合うかどうか……」
一花さんもあやちゃんもすっごく綺麗だからドレスも着物も似合いそうだけど、僕なんかが着てもかえって邪魔になりそうだけど……。
「何言ってるの! 直くんが一番よく似合うよ。卓さんもそう言ってたんだから!」
「パパも?」
「うん。だから、好きなの選ぼう!!」
あやちゃんがそこまで言ってくれるなら、着てみようかな……。そんな気分になって、僕は頷いた。
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