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倉橋くんからの贈り物
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裁判所で中谷くんと別れ、私は倉橋くんとの待ち合わせ場所である『テリフィックオフィス』に向かった。
中谷くんは裁判所から直帰させるつもりで別々の車で来ていてよかった。
来客用の駐車場に車を止め、オフィスに向かうと
「いらっしゃいませ」
と倉橋くんの専属秘書である藤乃くんの出迎えを受けた。
「藤乃くん、元気そうだね」
「はい。おかげさまで。こちらにどうぞ」
「ああ、ありがとう」
倉橋くんから紹介された頃は、まだ彼らも付き合い始めで秘書としても初々しかったが、もうすっかり倉橋くんの秘書が板についた様子だ。倉橋くんに公私共にいろいろと教えてもらったのだろうな。
倉橋くんが私への出迎えに彼を一人で来させるくらいには、私は信用されているらしいことにホッとしながら、彼の後ろをついていった。
広々とした会議室のような部屋に案内されて入ると、パソコンをパタンと閉め、倉橋くんがこちらにやってきた。
「磯山先生。わざわざ足を運んでいただいてすみません」
「いや、三日は待つ覚悟だったから今日受け取れるだけで嬉しいよ」
「こちらが試作品のホットプレートです」
想像より大きな段ボールに入っているが持てないサイズではない。
「付属のプレートも今までのものより増えてますから、いろいろ試して楽しんでください」
「ありがとう。ありがたく使わせてもらうよ」
「先生、今日早速夕食に使われますか?」
「ああ、そのつもりだよ」
「それならよかったです。実は先ほど食材をいくつかご自宅にお送りしたんですよ」
「えっ? そんな……申し訳ないな」
「いえ、全て貰い物なので気にしないでください。航と二人じゃ食べきれないんですよ。緑川教授と可愛い息子さんたちと召し上がってください」
きっと私が試作品をタダでは受け取らないと言ったから気を遣わせてしまったんだろう。
ここで固辞するのは流石に申し訳ないか。すでに送ってくれていることだし、ここは素直にいただくとしよう。
「ありがとう。家族でいただくとするよ」
「また何か必要なものがあれば、直接連絡くださって構いませんから」
「ありがとう。頼りにしているよ」
私は倉橋くんと藤乃くんにお礼を言ってオフィスを出た。
事務所前についたところでちょうど配送会社の車とあい、冷蔵の荷物を受け取って自宅に戻った。
いつもなら玄関チャイムを鳴らした後で自分で鍵を開けて入るが、今日は荷物で手が塞がっている。
肩でチャイムを押すと、鍵を開ける音が聞こえ扉が開いた。
インターフォンで私の姿を確認したんだろう。目の前に昇がいた。
「伯父さん、今日は大荷物だね。一つ持つよ」
「ああ、ありがとう。ちょうど事務所の前で荷物を受け取ったんだ」
中に入ると、絢斗と直くんもで迎えにきてくれている。
「卓さん、おかえり」
「パパ、おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
荷物を持ったままでも絢斗と唇にキスだけは忘れない。
チュッと唇を重ねて一緒にリビングに向かった。
「この大きな荷物、どうしたの?」
「直くんが、賢将さんとホットプレートで料理して楽しそうだったから、うちでもしようと思って買ってきたんだ」
「えっ?」
「わぁー、さすが卓さん! 嬉しい!」
驚く直くんの隣で、嬉しそうな声をあげる絢斗。
きっと絢斗は私が買って帰ると想像していたんだろう。私のことはなんでも理解してくれているからな。
「うちでもホットプレートでみんなで楽しもう」
「パパ……」
直くんはよほど嬉しかったのか、涙を潤ませている。
本当に今日持ち帰ってこられてよかった。
「伯父さん、こっちの荷物は何? 冷たいけど」
「倉橋くんが食材をくれたんだ。昇、開けていいよ」
昇は嬉しそうにカッターナイフを持ってきて箱を開け、中を見て驚きの声を上げた。
「わぁー、すげー!! こんなでかいステーキ肉が入ってる!」
昇が箱から出して見せたのは、昇の手のひらから随分とはみ出た、見ただけで高級だとわかるステーキ肉の数々。この数なら肉だけでもかなりの金額だろう。
「伯父さん! マンゴーも入ってるよ」
「えっ? マンゴー?」
この時期に? と思ったが、そうだ。
倉橋くんの会社の秘書である砂川悠真くんの実家は温室栽培でマンゴーを育てているから年間を通して作ることができると聞いたな。きっとそこのマンゴーだろう。その温室システムも倉橋くんが開発したというのだから、本当に素晴らしい才能だ。
「せっかくだから今日はこのステーキと食後にマンゴーをいただこうか」
「やったー!!」
大喜びする昇の隣で、直くんは興味津々な様子でマンゴーを見つめていた。
「直くん、どうした? マンゴー、気に入ったかな?」
「あ、いえ。この箱の天使の絵が可愛いなって。このマンゴー、天使のマンゴーっていうんですね」
確か、成瀬くんの恋人で、砂川くんの弟である真琴くんがこの天使のモデルだと聞いたことがある。
彼なら直くんとも仲良くできるだろうか。こうして少しずつ直くんの交友関係も広まると楽しく過ごしていけるだろうな。
中谷くんは裁判所から直帰させるつもりで別々の車で来ていてよかった。
来客用の駐車場に車を止め、オフィスに向かうと
「いらっしゃいませ」
と倉橋くんの専属秘書である藤乃くんの出迎えを受けた。
「藤乃くん、元気そうだね」
「はい。おかげさまで。こちらにどうぞ」
「ああ、ありがとう」
倉橋くんから紹介された頃は、まだ彼らも付き合い始めで秘書としても初々しかったが、もうすっかり倉橋くんの秘書が板についた様子だ。倉橋くんに公私共にいろいろと教えてもらったのだろうな。
倉橋くんが私への出迎えに彼を一人で来させるくらいには、私は信用されているらしいことにホッとしながら、彼の後ろをついていった。
広々とした会議室のような部屋に案内されて入ると、パソコンをパタンと閉め、倉橋くんがこちらにやってきた。
「磯山先生。わざわざ足を運んでいただいてすみません」
「いや、三日は待つ覚悟だったから今日受け取れるだけで嬉しいよ」
「こちらが試作品のホットプレートです」
想像より大きな段ボールに入っているが持てないサイズではない。
「付属のプレートも今までのものより増えてますから、いろいろ試して楽しんでください」
「ありがとう。ありがたく使わせてもらうよ」
「先生、今日早速夕食に使われますか?」
「ああ、そのつもりだよ」
「それならよかったです。実は先ほど食材をいくつかご自宅にお送りしたんですよ」
「えっ? そんな……申し訳ないな」
「いえ、全て貰い物なので気にしないでください。航と二人じゃ食べきれないんですよ。緑川教授と可愛い息子さんたちと召し上がってください」
きっと私が試作品をタダでは受け取らないと言ったから気を遣わせてしまったんだろう。
ここで固辞するのは流石に申し訳ないか。すでに送ってくれていることだし、ここは素直にいただくとしよう。
「ありがとう。家族でいただくとするよ」
「また何か必要なものがあれば、直接連絡くださって構いませんから」
「ありがとう。頼りにしているよ」
私は倉橋くんと藤乃くんにお礼を言ってオフィスを出た。
事務所前についたところでちょうど配送会社の車とあい、冷蔵の荷物を受け取って自宅に戻った。
いつもなら玄関チャイムを鳴らした後で自分で鍵を開けて入るが、今日は荷物で手が塞がっている。
肩でチャイムを押すと、鍵を開ける音が聞こえ扉が開いた。
インターフォンで私の姿を確認したんだろう。目の前に昇がいた。
「伯父さん、今日は大荷物だね。一つ持つよ」
「ああ、ありがとう。ちょうど事務所の前で荷物を受け取ったんだ」
中に入ると、絢斗と直くんもで迎えにきてくれている。
「卓さん、おかえり」
「パパ、おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
荷物を持ったままでも絢斗と唇にキスだけは忘れない。
チュッと唇を重ねて一緒にリビングに向かった。
「この大きな荷物、どうしたの?」
「直くんが、賢将さんとホットプレートで料理して楽しそうだったから、うちでもしようと思って買ってきたんだ」
「えっ?」
「わぁー、さすが卓さん! 嬉しい!」
驚く直くんの隣で、嬉しそうな声をあげる絢斗。
きっと絢斗は私が買って帰ると想像していたんだろう。私のことはなんでも理解してくれているからな。
「うちでもホットプレートでみんなで楽しもう」
「パパ……」
直くんはよほど嬉しかったのか、涙を潤ませている。
本当に今日持ち帰ってこられてよかった。
「伯父さん、こっちの荷物は何? 冷たいけど」
「倉橋くんが食材をくれたんだ。昇、開けていいよ」
昇は嬉しそうにカッターナイフを持ってきて箱を開け、中を見て驚きの声を上げた。
「わぁー、すげー!! こんなでかいステーキ肉が入ってる!」
昇が箱から出して見せたのは、昇の手のひらから随分とはみ出た、見ただけで高級だとわかるステーキ肉の数々。この数なら肉だけでもかなりの金額だろう。
「伯父さん! マンゴーも入ってるよ」
「えっ? マンゴー?」
この時期に? と思ったが、そうだ。
倉橋くんの会社の秘書である砂川悠真くんの実家は温室栽培でマンゴーを育てているから年間を通して作ることができると聞いたな。きっとそこのマンゴーだろう。その温室システムも倉橋くんが開発したというのだから、本当に素晴らしい才能だ。
「せっかくだから今日はこのステーキと食後にマンゴーをいただこうか」
「やったー!!」
大喜びする昇の隣で、直くんは興味津々な様子でマンゴーを見つめていた。
「直くん、どうした? マンゴー、気に入ったかな?」
「あ、いえ。この箱の天使の絵が可愛いなって。このマンゴー、天使のマンゴーっていうんですね」
確か、成瀬くんの恋人で、砂川くんの弟である真琴くんがこの天使のモデルだと聞いたことがある。
彼なら直くんとも仲良くできるだろうか。こうして少しずつ直くんの交友関係も広まると楽しく過ごしていけるだろうな。
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