ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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迎えにいこう!

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「もし、カウンセリングが必要ならうちの父にでも相談していただければ力になれると思います」

「ありがとう。でも直くんの主治医には賢将さんにお願いすることにしているから、カウンセリングも大丈夫だよ」

「そうでしたね。緑川先生がいらっしゃるなら安心ですね。先日お会いした時はすっかりおじいちゃんの表情をされてましたよ。もうメロメロの様子でしたね」

観月くんにも気づかれるほどか。それは相当だな。
まぁ、うちでの様子を思えば外で甘々の表情を見せていてもおかしくない。
私の父もきっと賢将さんと同じ状態になるだろうな。

「ははっ。そうだろう。ことあるごとに絢斗に似ていると言って可愛がっているよ」

「そうですか」

「さっき理央くんにも私の可愛い息子の写真を見せたら、絢斗に似ていると言ってくれたから賢将さんが言うのもあながち間違いではないかもしれないな」

「理央が? それなら本当似ているんだと思いますよ。理央はお世辞を言える人間じゃありませんから」

「そうだな。きっと私たちの息子になるために生まれてきたんだと思っているよ。本当の父親には申し訳ないがな」

「きっと、実の父親も今直くんが幸せであることを喜んでいると思いますよ。理央もうちの家族になるために生まれてきてくれたと私も両親も思ってますから」

理央くんの実の両親も直くんの母親と違わず酷い人間だったと聞いている。
理央くん自身が知らない事実もあるようだが、きっとそのことは一生理央くんの耳には入れないように生きてゆくのだろう。

私たちももう母親のことも、直くんにトラウマを与えたあのクズ医師のことも、その存在を一生知らせないように生きていくとしよう。

直くんの父親だけは、お互いの心が落ち着いた時に会わせてあげたいと思っている。
賢将さんがドバイで会った直くんの父親の様子を聞く限り、それはもしかしたらそう遠くない未来かもしれないな。

「今度、私の可愛い息子と理央くんを会わせてあげてくれないか?」

「ええ。磯山先生と緑川教授の可愛い息子さんなら喜んで。理央も年下の友だちができると喜びますよ」

「ありがとう。近いうちに連絡させてもらうよ。じゃあそろそろお暇しよう。絢斗と可愛い息子を迎えに行くことになっているからな」

「えっ、二人でどこかにお出かけですか?」

観月くんが驚きの表情で私を見つめる。
大学に一人で車で通っている絢斗だけならいざ知らず、私がこれほど溺愛している直くんと二人で外出させるなんて信じられないことだろう。もちろん二人で外出なんて私もさせるわけがない。

「いや、まさか。そんな危ないことはさせないよ。今日は貴船くんの家に呼ばれて、みんなで編み物をしているんだよ」

「貴船先輩の家で? それはまた豪華ですね」

「この前貴船くんの結婚式に参列した件でね、仲良くなったんだ」

「ああ、確か櫻葉グループの……」

「そうそう。さすが、情報が入っているな」

私たちにはいろいろな繋がりがある。そのどこからでも情報は共有できるのだから当然だな。

「編み物会なら、うちの理央を参加させても楽しくなりますよ。理央の実力は折り紙つきですから」

「そうか。それなら今度は理央くんに来てもらうのもいいな」

「あの、緑川教授も編み物を?」

「うーん、絢斗の場合はできるかどうかはわからないが、直くんと一緒なら楽しんでいると思うよ」

私の言葉に観月くんが納得したのは、絢斗の性格をよくわかっているからだろう。さすが絢斗の教え子だ。

理央くんにも見送ってもらって私は昇の学校に向かった。
観月くんの事務所を出る時におおよその時間を連絡しておいたおかげで私が学校玄関に着いた時には昇はちゃんと待っていた。周りには昇をちらちらと見つめる女生徒たちの姿が多く見受けられたが、昇は何も目に入っていないようだ。まぁ、直くんという存在がいるから当然だろう。

私の車を見つけて笑顔で乗り込んできた昇を乗せて、私は貴船邸に向かった。

来客用の駐車場に車を止めると、すでに一台クルマが止まっているのが見える。
この車のイメージから察するにおそらく史紀くんの車だろう。
とすると、安城くんはまだ来ていないか? いや、タクシーで来たとも考えられる。

そんな推理をしながら玄関チャイムを押すと、執事の牧田さんに迎えられた。

「旦那さまのお部屋にご案内しますね」

「ありがとう」

どうやら絢斗たちがいる部屋に直接行くわけではないらしい。
まぁ時間もまだ早いからもう少し楽しい時間を過ごさせてやりたいという配慮なのかもしれない。

「やぁ、征哉くん。今日は絢斗と直くんがお世話になったね」

部屋に入り、征哉くんに声をかけるとソファーに安城くんが座っているのが見えた。
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