ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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孫と祖父、それぞれの対面

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<side寛(卓の父)>

ああ、ようやく会えるのか……。
急遽飛行機のチケットを取ったからビジネスか最悪エコノミーでも仕方ないと思っていた。
直くんに早く会えるのならどんな席でも我慢して見せると思っていたが、運よくファーストクラスが空いていてよかった。

早々に座席を倒し、のんびりと直くんの動画や写真を堪能しながら機内での時間を過ごした。

結婚式や水族館での動画は何度見たかも覚えていないほど見たが、見るたびに愛おしさが募る。
その動画と写真だけでも私の心を大きく揺さぶっていたが、賢将さんが撮ったというあの画像と動画が私をこれほど早く帰国させる引き金になった。

可愛いペンギンを胸に抱き、可愛いエプロンと三角巾をつけて楽しそうにお好み焼きを作る姿。
こんなにも可愛い子に出会ったことはない。

しかもその子が私の孫だなんて……。
これは早く帰るしかないだろう。

「直くん、もうすぐおじいちゃんが会いに行くよ」

自分でも無意識にそんな言葉を言ってしまっている。

私はもうすっかり直くんに参っているようだな。

直くんとの出会いを楽しみにしているからか、東京までの十時間半ほどのフライトはいつもより長く感じた。
飛行機を降り、荷物を受け取って前もって予約していたタクシーに乗り込み、一路卓たちの家に向かう。

「お客さん、楽しそうですね」

「ははっ。わかるかね?」

「ええ。ご乗車されてからずっと笑顔ですから」

タクシーの運転手にこんなにも笑顔で話しかけられたことはない。
タクシーでは余計なおしゃべりをした覚えがないのだからそれも当然か。
でも今日はずっと直くんのことを考えていたから笑顔が溢れてしまったのだろうな。

「これから初めて孫に会うんだよ」

「ああ、なるほど。それは楽しみですね」

じじバカだと思われただろうな。でもそれでもいい。
私はもう一度スマホの待ち受けにしている直くんの可愛い姿に目を落とした。


<side直純>

今日は朝からずっとドキドキしていた。
何をしていてもおじいちゃんのことばかり考えてしまって緊張してしまう。

昇さんが学校から帰ってきて

「もうすぐ飛行機が到着する時間だね」

と言われただけで落ち着かなくなってしまった。

「直くん、大丈夫だよ。お義父さん、優しいから。ねぇ、昇くん」

「うん。直くんのこと気に入らないわけないよ。そもそも直くんに会いたくて来るんだし」

あやちゃんと昇さんが優しい言葉をかけてくれるけれど、実物にあってがっかりとかないとも言えない。
ああ、やっぱり緊張しないのは無理だよ。

いつもより早めに帰ってきて夕食を作ってくれているパパが、おじいちゃんがもう空港を出たと教えてくれた。
わぁー、本当にもうすぐだ。

そして、しばらく経って玄関チャイムが鳴った。

「直くんと昇はここで待ってるんだよ」

「は、はい」

パパとあやちゃんがお出迎えに行くのを見送って、昇さんと二人でソファーに座って待つ。
ガチャっと扉を開ける音が聞こえて、パパとあやちゃんが出迎える声が聞こえた。

すると突然バタバタと音が聞こえたと思ったら、リビングの扉が開いてパパにそっくりな人の姿が見えた。

「じいちゃん! おかえり!」

昇さんの声に立ち上がると、おじいちゃんは脇目も振らずに僕のところに近づいてきた。

「あ、あの、僕……」

「直くん、おじいちゃんだよ。ずっと会いたかった」

「――っ!! おじいちゃん!」

僕の目の高さまでしゃがんでくれたおじいちゃんに笑顔を向けられて、僕は嬉しすぎて思わず両手をおじいちゃんに伸ばした。すると、さっと抱きかかえられて目線が高くなる。
驚いておじいちゃんにぎゅっと抱きつくとパパみたいな優しい匂いと温もりがした。

<side卓>

父に会うのを緊張している様子の直くんが気になるが、あれだけ直くんに会いたがっていた父なら怖がらせたりしないだろう。
でもそれでも念の為に昇と直くんをリビングに残して絢斗と二人で出迎えに行った。
だが、玄関を開けて飛び込んでくるくらいの勢いで入っていた父は、私と絢斗だけの姿を見て、

「直くんはどこだ?」

とその一言だけを告げた。
その勢いに押されるようにリビングだと伝えると、私たちを押し除けるように部屋の中に入っていった。

そして中に入ると昇には目もくれずに直くんに近づいていく。
直くんもその勢いに少し怯んでいたが、父が直くんの高さにしゃがみ、今まで聞いたこともないような優しい言葉をかけると涙を潤ませながら父に手を伸ばした。

父は満面の笑みで直くんを抱き上げて、強く抱きしめた。

ああ、もう本当に直くんは父の心を掴んだのだな。
直くんの父としてほんの少し複雑な気持ちで抱き合う二人の姿を見つめていた。
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