ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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値段以上の価値

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<side昇>

「プリクラ、いいな。直くんも撮ろう!」

「ぷりくら?」

「可愛い写真が撮れるところだよ」

俺の言葉にあっ! とした表情を見せたのは、きっと同級生たちが持っていたのを思い出したのかもしれない。

「難しくないですか?」

「大丈夫。笑顔で画面を見てたらいいよ。せっかくだからじいちゃんたちとも撮ったらいい。まずは練習がてら村山とカールと一緒に撮ってみようか」

「はい!」

じいちゃんたちとも撮れると聞いたからか、俄然やる気になった直くんと村山たちがいるプリクラのブースに向かう。

「お金入れるから直くんとカールは中に入っていて」

「はーい。ナオ、入ろう」

「カールは、ぷりくら知ってるんですか?」

「うん。デュッセルドルフに行ったときに見かけたことがあるよ。すごく並んでたから撮ったことはないけど入ってみたいと思ってたんだ。初めてが日本でなんて嬉しいよ」

そんな話をしながら、直くんとカールがブースの中に入って行った。

デュッセルドルフはドイツの中でも日本人が多く住む街として知られている。
だから置いてあったのかもしれないな。プリクラの機械自体は年々進化しているからドイツにあるのはかなり古そうなイメージだけど。

「すげぇ、ここのプリクラ一回千円だって」

「えっ、高いな」

学校の近くにあるゲーセンのプリクラは確か四百円くらいだったはず。
その分、すごい仕掛けでもあるのか?

まぁでも百円十枚だときついけど、お札が使えるのは楽でいいな。

「どうした? お金が足りないなら出すぞ」

「あ、いや。大丈夫。千円にびっくりしただけ」

「ああ、そういうことか。だが、その値段以上の価値はあるはずだぞ」

伯父さんにニヤリとした顔を向けられて、どういう意味だろうと思いながらお金を入れて村山と一緒にブースの中に入った。
その瞬間、目に飛び込んできた直くんとカールの姿に、俺と村山はハッと息を呑んだ。

「昇さん、どうですか?」

「リューヤ、似合ってる?」

真っ白なウサギ耳をつけた直くんと、内側が白で外側が茶色の犬耳をつけたカールが近づいてくる。

「「くっ! 可愛いっ!!」」

俺たちは揃ってその場に膝から崩れ落ちてしまった。
だけど、俺たちの後ろにいた絢斗さんや村山の母さん、それにじいちゃんたちは

「わぁー、可愛いー!」
「よく似合ってるわ!」
「直くんもカールくんも可愛いじゃないか!」
「もっと見せてくれ!」

直くんたちの姿にすぐに褒め称える。

みんなに褒められて直くんとカールもすごく嬉しそうだ。
俺と村山は伯父さんと村山の父さんにそれぞれ小突かれて急いで立ち上がった。

「か、可愛いよ! 直くん、本当に可愛い!!」

必死に言葉を告げると直くんはこの上なく嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

俺の横にいた村山は急いでカールに駆け寄ると、耳元で囁いていた。

『Mein Schatz!』

カール以外、俺にしか聞こえなかっただろうその言葉に、カールは嬉しそうに村山に抱きついていた。

ああ、本当にこの二人……俺たちより随分先に進んでいるんだろうな。

だって、さっきの村山の言葉……

『Mein Schat俺の最愛の人z!』

気持ちが通じ合った恋人にしか言わない言葉だもんな。

「ほら、お金入れたんだろう。早く撮ってやれ」

「あ、うん」

伯父さんたちに見守られながら俺たち四人はブースの中に入り、直くんとカールが前に立つ。
俺と村山がそれぞれ後ろから覆うように腕を回し立った。

直くんもカールも画面に映る自分たちの姿に興奮しきりで、可愛すぎる。

「あのカメラを見るんだよ」

「はーい」

すっかり楽しそうな様子の直くんを抱きしめながら、「3、2、1」の掛け声とともに笑顔を作る。
ぱしゃっとシャッター音が鳴り、撮れた写真が画面に映る。
どうやら気に入らない場合は取り直しもできるらしい。

でも直くんもカールも出来栄えには満足しているようだ。
その後もポーズを変えたり、直くんとカールだけで映ったり、俺と直くん、カールと村山とだけで映ったり、いろんなパターンで撮りまくった。

撮影時間も制限がないのでゆっくり撮れるから、直くんみたいに慣れていない子でも撮りやすい。
やっぱりこのプリクラの機械は高かったけど最高だ。
値段以上の価値というのはカチューシャだけでなくそういうことにもありそうだ。

十パターンくらい撮りまくって、ブースから出てくると

「直くん、私たちとも家族のプリクラ撮ろう!」

と絢斗さんにすぐに連れて行かれてしまった。

「家族のプリクラ……」

その響きが直くんは嬉しかったみたいだ。

「おじいちゃんと、おじいちゃまも一緒に撮りたいです!!」

その言葉にじいちゃんたちも嬉しそうについて行っていた。
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