ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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親子の触れ合い

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<side絢斗>

満足するにはまだまだ足りないけど、とりあえずは上下合わせて二〇着くらいは買えたし、帰ったら家で着せ替えごっこして遊べるからよかった。

昇くんと龍弥くんもいい具合に変身できたかな?ふふっ。早く二人を合わせるのが楽しみだ。

学ランの制服も可愛かったけれど、やっぱりあのもふもふの白ニットと水色のパーカーの組み合わせは最強!
あの写真を送ったおかげで昇くんも自分の服を選びやすくなったんじゃないかなって思ってる。

私とお義父さんで可愛い直くんを間に挟んで歩いていると、前を歩いていた瑠璃さんが直くんに声をかけた。

「直くん。お買い物楽しかったかしら?」

「はい。すっごく楽しかったです。村山さんのお母さん、ありがとうございます」

あの店を選んだのが瑠璃さんだって、直くん覚えてたのね。
ちゃんとお礼が言えるなんて偉いな。
それにしても、ちょっと気になることがある。

「直くん、村山さんのお母さんじゃ長くて呼びにくくない?」

「えっ、でも……」

「ねぇ、瑠璃さんもそうでしょう?」

私が賛同を求めると、瑠璃さんは当然とでもいうように笑顔で頷いてくれた。

「ええ。私も可愛く呼んでほしいわ」

「可愛く……?」

「うーん、絢斗さんはあやちゃんでしょう? 二葉さんはふーちゃんだったから……私のことは……そうね、ルーちゃんとかどう?」

「ルー、ちゃん? いいんですか?」

「ええ、嬉しいわ! カールからはルリママと呼ばれて、直くんからルーちゃんと呼ばれるなんて最高よ!!」

やっぱり二葉さんとお友だちなだけあるな。
二葉さんが初めて直くんからふーちゃんと呼ばれて喜んでいた姿を思い出す。

「あの、ルーちゃん。今日はありがとうございます。僕、あやちゃんとみんなとお買い物できて嬉しかったです」

「直くん……私こそ嬉しいわ。これからもカール共々仲良くしてね」

「は、はい」

龍弥くんじゃなくてカールくんか
もうすっかりカールくんは村山家の一員になっているみたい。
まぁうちもそうだけど。

カールくんは絶対に大学は日本に来るだろうな。村山家ならカールくんの両親も安心だろうし。
直くんにとってもいいお友だちがいるのは嬉しいし、最高だ。

「絢斗!」

「えっ? あ、卓さん!」

話しながら歩いているうちに、卓さんたちがいるお店の近くまで来てしまっていたみたいだ。

「ごめん、待たせちゃったかな?」

「いや、まだ配送の手配をしているところだったから私が先に出てきたんだ」

「そうだったんだね。昇くんと龍弥くん、いい服見つかった?」

「まぁ頑張ってたよ。それより、直くん。可愛いな。よく似合ってるよ」

「パパっ!! ありがとうございます!! パパに可愛いって言ってもらえて嬉しいです!!」

「――っ!!」

直くんが嬉しそうに抱きつくと、卓さんは珍しく少し焦りながらもギュッと抱きしめていた。

「ねぇねぇ、卓さんも抱っこしてあげたら?」

「えっ、でも……直くん、いいのかな?」

「はい。パパに抱っこしてもらえたら嬉しいです」

「――っ、そうか!!」

卓さんは嬉しそうに直くんを抱きかかえて自分の腕に直くんを乗せる。
中学生でも今はまだ華奢で、小学生に見えなくもない小さい直くんだからこそできることだけど、これからもずっと卓さんたちの美味しいご飯を食べて健康的に成長したら、流石にこんな抱っこもできなくなるだろう。

今しかできないからこそ、卓さんにも直くんとの抱っこの時間を作ってあげたいと思っていた。
だって、お父さんもお義父さんも抱っこしているのに、卓さんだけなかったもんね。

うちの家に来たばかりの頃はまだ預かっているよその子で、しかも昇くんの手前、卓さんなりに我慢していたんだろうと思う。でも今は自分の息子になったわけだし、できるうちにさせておかないとあとで後悔したら嫌だからね。

直くんは卓さんの首に手を回して嬉しそうに卓さんと笑い合っている。
その笑顔が本当に親子のそれに見えて私も嬉しくなっていた。

「パパ、昇さんはお店の中ですか?」

「ああ。パパが連れて行こう」

ふふっ。卓さんが自分のことをパパと呼ぶのを聞くのはなんだか新鮮で楽しい。

「卓は本当に変わったな」

「はい。でも、私から見たらお義父さんたちも変わりましたよ。直くんのこと、可愛がってくれて嬉しいです」

「ああ、直くんがいるだけで幸せになるからな。なぁ、賢将さん」

「ええ。なんでもしてあげたくなりますよ」

直くんにはいいパパもじいじたちも揃っていて幸せだな。

<side卓>

父から絢斗たちと店を出たと連絡が来た。
先に支払いを済ませた私は荷物をまとめてもらっている間に店の外に出て絢斗たちが到着するのを待った。

だが、探す必要はない。
なんせ、とてつもなく目立つ集団がこちらにやってくるのが気配でわかるのだから。

本当に父と賢将さんを保護者としてついて行ってもらって正解だったな。
絢斗と直くん、そして瑠璃さんとカールくん。
あの四人の目立ち具合はとんでもないからな。

それなのに絢斗も含めて四人ともその事実に気づいていない。
そこだけが困ったところだが、本人に自覚がない以上、周りが守るしかない。
私はいち早く絢斗の姿を捉え、声をかけた。

雑踏の中でも私の声は確実に耳に入る絢斗は私をすぐに見つけ、可愛い笑顔で駆け寄ってきた。
ごめんと謝る絢斗と少し話をして、すぐに隣にいる可愛い直くんを褒めた。
写真で見たのと上半身は同じだが下は長ズボンにしてくれたようでホッとする。
これでもまだ天使のように可愛いがさっきの破壊力の強さを考えれば半分ほどだからまだ大丈夫だ。

直くんは私に褒められたと喜んで抱きついてきた。
ああ、可愛い。
それだけでも十分幸せだったが、

「ねぇねぇ、卓さんも抱っこしてあげたら?」

絢斗がそんな言葉を投げかけてくる。

私が、直くんを抱っこ……。

父が賢将さんが抱っこするたびに羨ましいと思っていたが今更したいとは言い出せなかった。
恐る恐る直くんに尋ねれば、パパに抱っこしてもらえたら嬉しいと可愛いことを言ってくれる。

その可愛い直くんを腕に乗せて抱っこすると、

「わぁ、高くなりました!」

と可愛い声が聞こえる。

ああ、抱っことは親子の触れ合い、そのものなんだな。

「パパ、昇さんはお店の中ですか?」

「ああ。パパが連れて行こう」

昇はきっと驚くだろうが、直くんの意思だからこれは許してもらおう。

私は可愛い息子を腕に抱き、店に入った。
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