ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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家族水入らずの時間

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<side絢斗>

卓さんが直くんを抱きかかえて家に入ると、そのまま直くんと昇くんがいつも寝ている部屋に連れて行こうとした。

「あ、ちょっと待って」

「どうした?」

「直くん、起きて一人だと寂しがると思うよ。そうでなくても食事の後すぐ寝ちゃって、カールくんたちともバイバイできなかったからそれを気にしちゃうかもしれないのに」

私の言葉に卓さんはハッとして立ち止まった。

「そうだな。じゃあリビングのソファーに寝かせておこうか」

「うん。あ、ねぇ。せっかくだから昇くんたちが帰ってくるまで三人で横になろうよ」

一度やってみたいなと思っていたんだ。三人で川の字になって横になるのって、家族って感じがする。

「ソファーで三人は流石に狭いんじゃないか?」

「だからリビングの奥のあの小上がりに布団敷いて横になろう。私、準備するから」

「それなら私が……」

「いいよ、卓さんは直くんを抱っこしてて。一度下ろしちゃうと可哀想だよ」

卓さんなら直くんを片手で抱っこしながらでも布団を取り出せてしまいそうだから、私は卓さんが動く前に急いで小上がりに向かい、収納から布団を取り出した。片付け同様に探し物も苦手な私だけど、この収納には布団しか入っていないから流石にわかる。

敷布団を二枚敷くと、卓さんがその片方の中央寄りに直くんを寝かせた。

「絢斗、あとは私がしよう。ほら、絢斗も横になってくれ。直くんが寂しがる」

まだチワワを抱きしめたまま眠っている直くんの右隣に横になると、そっと直くんに近づいた。
直くんの胸に手を当ててトントンとしてやると、寝ていながらも安心したような表情を見せてくれる。

「可愛いな……」

ポツリと呟く私に卓さんは笑顔を見せ、私たちに柔らかな毛布をかけると直くんの左隣に身体を横たえた。
スウスウと直くんの穏やかな寝息にホッとしながら、二人で微笑みを浮かべ見つめる。すると卓さんは肘をつき、手に頭を乗せて横たわる私と直くんを上から見下ろした。

「どう? そこからの眺めは」

「ああ。大切な宝物が二人並んでいるのを見るのは幸せでしかないな」

卓さんの目が優しい。もちろん私に向ける目はいつも優しいけれど、今のこの目は家族愛に満ち溢れている。

「うん、本当に幸せだね」

直くんの片手を毛布から出して胸に乗せ、私と卓さんの手で重ねて温もりを伝える。
この家族の温もりをずっと覚えていてくれたらいい。

「なんか私も眠たくなってきちゃった」

「いいよ。二人の可愛い寝顔を見たいから」

そんな優しい卓さんの声を子守唄にするように、私の夢の世界に落ちていった。

<side卓>

昇と一緒に寝ているいつもの部屋で寝かせた方が安心するかと思ったが、絢斗に言われてハッとした。
確かに食事の後で眠って起きたら部屋に一人になっていたらパニックを起こしても不思議はない。
感受性の強い直くんのことだから、自分のせいでみんなとの外出が終わってしまったと責めてしまうかもしれない。
目が覚めてもすぐに対応できるリビングで寝かせた方が安心だな。

絢斗のおかげで間違いを起こさずに済んだとホッとしていると、三人で一緒に横になろうと言い出した。

広々としたソファーで絢斗と二人で横たわることもあるが、流石に直くんが小さいとはいえ三人で並んで横になるのは厳しいだろう。
だが、絢斗はリビングの奥にある畳の小上がりに布団を敷くという。
本格的にお昼寝モードになるが、確かにそれは楽しそうだ。

布団を敷くのは大変だから一度直くんをソファーに寝かせて準備をしようかと思ったが、絢斗は私が動く前に「卓さんは直くんを抱っこしてて。一度下ろしちゃうと可哀想だよ」と言いながらさっさと小上がりに行ってしまった。

直くんくらい軽い子なら片手だけで抱っこして布団を敷くこともできるが、絢斗が準備してくれるというのなら布団を敷くまでは頼むとしよう。

父や賢将さんが泊まりにくるかもしれないと思って、布団を乾燥機にかけておいて正解だったな。
絢斗がふわふわの布団を二枚敷いたところで、直くんを起こさないように優しく布団に寝かせた。
絢斗にもすぐに横に寝てあげるように声をかけ、絢斗が直くんにそっと寄り添う。

絢斗の手が直くんの胸をトントンと叩くと、直くんが安心したような表情を見せる。
そんな直くんに、絢斗の口から自然と可愛いという言葉が漏れているが、私にしてみれば二人とも可愛い。
天使と女神の戯れのような場面に居合わせたことにただただ幸せしかない。

その邪魔にならないように、そっと取り出した毛布をかけた。
絢斗の肌にも優しい柔らかな毛布だから直くんにも合うだろう。

私も直くんの左隣に身体を横たえて、二人の寝姿を目に焼き付ける、

家族で川の字になって眠るなんて、私たちには一生起こり得ないことだと思っていた。
それが愛しい伴侶と可愛い息子と一緒に寝られるなんて本当に幸せだ。

「どう? そこからの眺めは」

「ああ。大切な宝物が二人並んでいるのを見るのは幸せでしかないな」

少し揶揄い気味な絢斗に正直な気持ちを伝えると、絢斗は幸せと言いながら直くんの片手を毛布からそっと出した。そしてその手に重なるように自分の手と私の手を重ねる。
私たちの温もりが一体となって直くんに伝わっていくのがわかる。

絢斗の指を絡めて恋人繋ぎにすると嬉しそうに笑って、眠たくなってきたと言い出した。
昨夜は直くんとのお出かけだとはしゃいで寝るのが遅くなっていたから無理もない。

私は絢斗と直くんの寝顔を見つめながら、そっとスマホを取り出した。
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