ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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父親だから

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「伯父さん、直くんをどこに座らせようか?」

「そうだな。助手席に座らせようか。そうしたらシートベルトをしたままでも眠れるだろう。悪いが絢斗は後ろに座ってくれるか?」

「うん、いいよ」

卓は直くんのことを第一に考えて助手席に座らせるように指示し、昇はその通りに自分の上着を被せたまま助手席に寝かせてシートベルトをつけた。これが直くんのために一番いいのだが、こうなると絢斗くんが昇の隣に座ることになる。直くんと絢斗くんのどちらも助手席に座らせることができないのだからどうしようもない。だが口にこそしないが、昇が絢斗くんの隣に座るのは複雑だろうな。

ここは私がひとはだ脱ぐか。

「なぁ昇、途中で直くんにお土産を買いたいから一緒に来て選んでくれないか?」

「えっ? あ、うん。いいけど」

「じゃあ、賢将さんと一緒に私の車に乗ってくれ」

「わかった」

そういいつつも昇は直くんのことを気にかけていたが、

「大丈夫だよ、直くんにはこの子、抱っこさせておくから」

絢斗くんがさっきゲームセンターで卓に取ってもらったチワワのぬいぐるみを寝ている直くんの胸元においた。
直くんは寝ながらその感触に気付いたのか、嬉しそうにぬいぐるみを抱きしめる。

その可愛い仕草に昇は見惚れながらもスマホで写真を撮っていた。

「じゃあ、卓。私たちもお土産を買ってお前たちの家にお邪魔していいか?」

「ええ、もちろんです。車の運転には気をつけてください」

「わかってる。じゃあ後でな。行くぞ、昇」

私は昇に声をかけ賢将さんと自分の車に向かった。

「たまには家族水入らずになるのもいいかもしれませんね」

「あ、そうか。そうだな」

卓と絢斗くんのことを考えての行動だったが、図らずも家族三人の時間を作ってあげることができたようだ。一足早く駐車場から出て行く卓たちの車を見送りながら、車内の幸せな空間を想像して嬉しくなっていた。

<side卓>

直くんを軽々と抱きかかえて愛おしそうな表情を向け、頼もしく歩いて行く昇の姿に、直くんの恋人として頼りになるとホッとする気持ちもある一方で父としては複雑な気持ちを感じていた。

きっと賢将さんも私に対して同じ気持ちを抱いたこともあるだろう。子どもを持って初めて親の気持ちがわかるというがまさにその通りだな。

駐車場につき、まだぐっすりと眠っている直くんを起こすのも忍びなくて助手席で寝かせることにした。直くんならリクライニングをしなくてもここで寝られるだろうという判断だったが、助手席に座る予定だった絢斗を後ろに座らせることになってから昇と二人で後ろに座ることになるのを思い出した。

それは仕方のないことだと思っていても、狭量な私の気持ちが現れる。多分頼りになる男の姿を見てしまったからかもしれない。絢斗が私以外の男に、しかも昇に靡くことがないのはわかっているが、ルームミラー越しに二人が並んでいる姿が見えるのはなんとなく複雑な気持ちだ。
とはいえ、そんなことは絶対に口にはできないし、しない。ほんの数十分の間、我慢したらいいだけだ。

そう思っていたのだが、父が昇に直くんへのお土産選びについてきてほしいということで昇が父の車に乗ることになった。

かくして、私と絢斗、そして可愛い息子の直くんと三人、家族水入らずでの帰宅となった。

寝ている直くんを起こさないようにいつも以上に安全運転を心がけ、車を走らせる。
隣には私が取ったチワワを抱きしめて幸せそうに眠っている直くんの姿、そして後ろからは女神のように私たち二人を見守ってくれている絢斗の姿が見え、私はこの上ない幸せな時間を過ごしていた。

「ねぇ、卓さん。今日のお出かけ、直くんすっごく楽しそうだったね」

「ああ、食べ歩きも買い物もゲームセンターも全てが初めて尽くしだったようだからね。しかも友人と、家族と一緒だというのがさらに楽しかったんだろう」

「こういう時間をこれからも増やしてあげたいね」

「そうだな」

「来週は皐月の家で餃子パーティーだし、悠真くんたちも来るなら楽しくなりそうだね」

「ああ、あの子たちなら直くんのいいお兄さんになってくれそうだ」

そんな話をしているうちにあっという間に自宅の駐車場に戻ってきた。

「卓さん、抱っこできる?」

「ああ、大丈夫だよ。荷物も私が後で運ぶから絢斗は鍵を開けてくれ」

「うん、わかった」

シートベルトを外し、チワワを抱っこしたままの直くんを抱き上げる。

「んっ……」

声が聞こえて起こしてしまったかとドキッとしたが、まだ寝ているようだ。
優しく抱きかかえて階段を登っていると、

「ぱ、ぱ……っ」

直くんの小さな声が聞こえた。

「いま……」

「うん、パパって言ってたね。きっと今日卓さんに抱っこされたのが嬉しかったんだよ、夢に見るくらいに」

「そうか……」

これからは遠慮せずに直くんを抱っこしよう。
私は直くんの父親なのだから……。
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