ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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将来の息子

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「あ、じいちゃん。伯父さんからメッセージだよ」

チョコレートショップを出てワインショップに向かっている途中に昇がスマホを手に教えてくれた。

「卓がなんだって?」

買い物してきて欲しいものでもあるのかと尋ねてみれば、どうやら直くんと絢斗くんが昼寝をしているという連絡のようだ。

「だからインターフォンを鳴らさずに鍵を開けて入ってってさ」

「そうか、起こすのはかわいそうだからな」

その連絡を忘れないように心に留めて、ワインショップに立ち寄り数本の赤ワインを選んだ。
一本十万前後でそこまで高価なワインではないが、さっき買ったチョコレートとの相性は抜群のものを選んだ。

「賢将さん、せっかくだから今日は卓たちの家に泊めてもらうとしよう」

「ですが、急に決めて大丈夫でしょうか?」

「いつでも泊まってかまわないと言っていたから大丈夫だろう。それに明日はカールくんが来るんだろう。絢斗くんの講義の間、私たちが直くんと一緒にいてやれるしな」

なんとか理由をつけてみると、賢将さんも乗り気になったようだ。

「そうですね、そうしましょう」

家に帰れば私も賢将さんも一人暮らしなのだ。
可愛い息子と孫と一緒に泊まれる機会を逃す手はない。

直くんと絢斗くんへのお土産の美味しい葡萄ジュースも合わせて購入し、卓たちの自宅に向かった。

インターフォンを鳴らさずに静かに鍵を開け、三人で家の中に入るとしんと静まり返っている。
卓が起きている様子もない。

まさか卓も寝ているのか?

そうならば、直くんを一人で部屋に寝かせるわけはないから、もしかしたら卓たちの部屋に連れて行っているのかもしれない。それなら確認はできないな……。

流石に息子たちの寝室を勝手に開けるわけにはいかないからな。
可愛い息子と孫の昼寝姿が見られるチャンスだと思ったが、そううまくはいかないものだ。

少しがっかりしながらリビングに足を踏み入れると、なんとなく人のいる気配がする。

「んっ?」

賢将さんもこの気配に気づいたようだ。
一緒に辺りを見回していると昇が「あっ」と小さい声をあげる。

その声に反応して視線を向けると、昇の視線の先に三つ並んだ膨らみが見える。

テーブルに静かに荷物を置き、三人で足音を立てないようにそっと近寄った。

「「――っ!!!」」
「あっ――!」

声を出さずに驚く私と賢将さんの隣で声をあげる昇の口を二人で塞ぎ、「しーっ!」と睨みを利かせると昇は何度も首を縦に大きく頷いた。

声を出したい気持ちはわかる。
なんせ女神のように綺麗な絢斗くんの隣で幸せそうに眠る天使のような直くん。そしてその二人をしっかりと守るように大きな腕を伸ばし直くんを抱きしめ、伸ばした手で絢斗くんの頬に触れている卓。
自分の宝物だと言わんばかりの卓の独占欲が溢れているが、その三人の構図が絵画のように素晴らしくて、神々しい光を放っているように見える。

「もうすっかり家族なのだな……」

「ええ。絢斗も直くんも卓くんにこんなに愛されて幸せですよ」

「いや、卓の方こそ守るべき家族がいて幸せなんですよ」

そんな私たちの会話を昇はじっと黙って聞いていた。

「昇、直くんにはお前の愛情も必要だが、家族の愛情も必要な時期なんだ。嫉妬するなよ」

「わかってる」

昇は素直に返事をしたが、私にはそれが自分に言い聞かせているように見えた。
昇にとっては戦いの日々かもしれない。
だが、卓と絢斗くんからのたっぷりの愛情を与えられて育った後は、今度は恋人の愛情を欲するようになる。それまでは広い心で直くんの成長を見守ってやろう。

昇はポケットからそっとスマホを取り出すと、卓たち親子三人が幸せそうに並んで昼寝をしている様子を写真に撮った。

「これ、後で直くんに見せてやるんだ。きっと喜ぶと思うよ」

撮った写真を笑顔で見せる昇の姿に、私は男としての昇の成長を見た気がした。

<side卓>

三人で昼寝していたら驚くだろうか。
そんなただの思いつきだった。

連絡していた通り、インターフォンも鳴らさずに入ってきた。

絢斗と直くんの二人を抱きしめて眠ったふりをしてみると、私たちが小上がりにいることに気づいた父たちがこちらにやってきた。

私たち三人の姿を見て、驚きの表情を見せる父と賢将さん。
そして驚きの声をあげ二人に制される昇。

そんな様子が目を瞑っていても気配でわかった。

可愛い絢斗と直くんの昼寝姿に癒されるだろうかと思っていると、

「もうすっかり家族なのだな……」

とぼそりと呟く父の声が聞こえる。

幸せな家族だと言われて思わず頬が緩みそうになるのを必死に押さえていると、

「昇、直くんにはお前の愛情も必要だが、家族の愛情も必要な時期なんだ。嫉妬するなよ」

と昇に声をかける父の言葉が耳に入ってきた。

それに対して昇はただ一言、「わかっている」と告げたが、その言葉には重みを感じた。

ただの思いつきで、父や昇の気持ちを知ってしまったがそれは私の感情を大きく揺さぶることになった。
昇が本気で直くんを大切に思ってくれている。
それを知って、私にとって昇は甥という存在から将来の息子という存在に切り替わった気がした。
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