ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

文字の大きさ
366 / 678

鳴宮くんの誘い

しおりを挟む
この前のドレスとは感じが全然違う。
でもこれも好きかも。

「やっぱり直くんは足を出したほうが似合うよ」

「そう、ですか?」

「うん。皐月にも見てもらおう! ねぇ、皐月。着替え終わったよー!」

あやちゃんは嬉しそうに声をかけると、僕の手をとってみんなの前に出した。

「わぁー!! 可愛い!! よく似合うよ!!」

あやちゃんと同じ反応がきて思わず笑ってしまう。
でも悠真さんも真琴さんもよく似合うよと言ってくれるからなんだか自信がついてきた。

「直くん、足が綺麗だから見せた方がいいよね?」

「確かに! まっすぐだしすごく綺麗!」

「この間もね、これ着せたんだ! その時から直くんの足が綺麗だなって思ってたんだよ」

あやちゃんはスマホを操作してさっちゃんに差し出す。

「わっ! これ、めちゃくちゃ可愛い!! ねぇねぇ悠真くんと真琴くんも見てごらん」

少し興奮気味なさっちゃんがそのスマホを真琴さんたちにも見せ始めた。
この前のってなんだっけ?

「わー! すごい! 可愛い!! 短パンもだけど上のうさぎちゃんみたいなふわふわも可愛いね」

うさぎちゃんみたいなふわふわ……あ! カールとお出かけした時のだ!
でもあれは昇さんが見せちゃだめだから家の中だけって言ってたけどいいのかな?

「直くん、どうしたの?」

「あの、写真……昇さんが……」

「ああ、そういうことか。写真は大丈夫。しかも皐月たちだから心配しないで大丈夫だよ。あれは可愛すぎるから実物を見せたくないっていう昇くんの嫉妬だから。写真は気にしないでいいよ」

そう、なのかな?
でもあやちゃんがいうならそうかも。
それに可愛いって褒めてもらえるのは恥ずかしさもあるけど、嬉しい気持ちも大きい。
そう思えるようになったのは、いつもあやちゃんやパパ、それに昇さんやおじいちゃんたちが褒めてくれるからだ。

「直くん、こっちにおいで。そのドレスに合うように髪の毛を可愛くセットしてあげる」

悠真さんに声をかけられてドキドキしながら向かうと大きな鏡がある机の前に座らされる。
結婚式でお着替えした時と同じだ。

「あの、悠真さんのお仕事って美容師さんなんですか?」

「ふふ、違うよ。皐月さんに付き合ってよくお着替えしているからメイクやヘアセットがすごく上手な友だちに習ったんだ」

「お友だち、ですか?」

「うん。映画とか舞台で活躍している俳優さんなんだけど、いつか直くんも会えると思うよ」

映画や舞台で活躍している俳優さんと、僕が、会える?
そんな未来があるなんて想像もつかない。

「会えたら、いいですね……」

とりあえずそう返してみたけれど、きっと夢で終わりそう。

「直くん、どう?」

夢に見惚れている間に僕の髪のセットは終わっていて声をかけられて鏡を見ると、ストレートの髪がふわふわになっていた。

「すごい!」

「よく似合うよ」

「ありがとうございます!」

まるで魔法使いのような悠真さんの技に驚きしかない。

「兄さん! 僕のもお願い!」

「いいよ。真琴も可愛いドレス選んだね!」

「わぁ……本物の天使みたい……」

真っ白でふわふわのドレス。背中に羽みたいなものもついている。

「直くんが僕を天使だって言ってくれたから、これにしたんだ」

「すごく似合ってます!!」

「ありがとう!」

真琴さんは楽しそうにおしゃべりしながら悠真さんに髪のセットをしてもらっていた。
仲が良い兄弟っていいなぁ、ちょっと羨ましいかも。

「もうすぐお着替えも全員終わりそうだし、宗一郎さんに執事の姿で待っててもらうように頼んでくるね」

僕と真琴さんの着替えが終わったのをみて、浮かれた様子で皐月さんはあっという間に部屋を出て行った。

<side卓>

まさか昇がそこまでのことを考えてダブルライセンスを目指そうとしていたとは思わなかった。
だが、直くんのことを考えれば昇に医師免許があることはかなりのプラスになるというかマイナス要素は見当たらない。

強いてあげるなら、弁護士として一人前になるまでに数年遅くなるということくらいか。
それでも直くんの安心と安全を考えれば微々たるものだ。

それに昇が一人前になるまでは二人暮らしは認めないことにしたら、直くんとはこれから十年は一緒に暮らせるということだ。昇が二人暮らしがしたいと言っても、医学部在学中に司法試験の勉強をするのは生半可なことでは到底合格できないし、合格して無事に卒業できたとしても臨床研修や司法修習で家を空ける時間が多い。
その間直くんを一人きりにすることになってしまう。それは絶対に認められない。

直くんはパラリーガルになりたいと言ってくれているし、私の事務所で勉強させてそのまま就職となれば必然的に直くんも昇も我が家で暮らすことになるだろう。直くんと十年暮らせるというのなら嬉しい以外にない。
これはしっかりと条件に入れておかないといけないな。

実際にダブルライセンスを持っている成瀬くんも協力してくれるというし、昇が本当に浪人をしてでもダブルライセンスを目指したいというのなら応援するとしよう。

毅は昇の気持ちを理解したらすぐに納得するはずだ。
なんせ法学部を首席合格よりすごいことをやってのけようとするのだからな。

私の中で昇を応援するということで心が決まった頃、リビングの扉がガチャっと開いた。

テラスからそっと覗くとそこにいたのは鳴宮くん一人。

「皐月、どうしたんだ? もう楽しみは終わりか?」

志良堂がすぐに声をかけに行くと、鳴宮くんは嬉しそうに口を開いた。

「宗一郎さんたちみんなにお着替えしてもらおうと思って頼みにきたんだ」

その言葉に、志良堂はもちろん安慶名くんと成瀬くんはやっぱりとでも言いたげな表情を浮かべていた。
しおりを挟む
感想 1,244

あなたにおすすめの小説

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

【完結】『ルカ』

瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。 倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。 クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。 そんなある日、クロを知る青年が現れ……? 貴族の青年×記憶喪失の青年です。 ※自サイトでも掲載しています。 2021年6月28日 本編完結

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について

いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。 実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。 ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。 誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。 「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」 彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。 現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。 それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。

拗らせ問題児は癒しの君を独占したい

結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。 一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。 補習課題のペアとして出会った二人。 セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。 身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。 期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。 これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。 お話を追加いたしました。

僕を惑わせるのは素直な君

秋元智也
BL
父と妹、そして兄の家族3人で暮らして来た。 なんの不自由もない。 5年前に病気で母親を亡くしてから家事一切は兄の歩夢が 全てやって居た。 そこへいきなり父親からも唐突なカミングアウト。 「俺、再婚しようと思うんだけど……」 この言葉に驚きと迷い、そして一縷の不安が過ぎる。 だが、好きになってしまったになら仕方がない。 反対する事なく母親になる人と会う事に……。 そこには兄になる青年がついていて…。 いきなりの兄の存在に戸惑いながらも興味もあった。 だが、兄の心の声がどうにもおかしくて。 自然と聞こえて来てしまう本音に戸惑うながら惹かれて いってしまうが……。 それは兄弟で、そして家族で……同性な訳で……。 何もかも不幸にする恋愛などお互い苦しみしかなく……。

処理中です...