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手作りのお守り
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「これ……」
青と白の糸が交互に編み込まれた綺麗な腕輪。
ビーズのような飾りも付いていてものすごく可愛い。
「これ、ミサンガっていうお守り。これから試験を迎えて、新しい生活が始まる直くんを守ってくれるように僕が作ったんだ」
「えっ……真琴さんの、手作り、ですか?」
「うん。我ながら上手くできたかなって思うんだけど、どうかな?」
まさか手作りなんて思いもしなかった。
僕のためにわざわざ時間をかけて作ってくれるなんて……。
「うっ……ぐすっ……っ」
嬉しすぎて涙が溢れ出す。
だって、僕のためにこんな……。
「――っ、直くん?」
目の前で真琴さんが驚いているのが見える。
これ以上泣いちゃダメだ。ちゃんとお礼を言わなきゃ!
そう思うけれど、止めようと思えば思うほど止まらない。
「直くん、大丈夫だよ」
優しい声がかけられたと思ったら、大きな身体に包まれる。
すぐにそれば昇さんだとわかった。
「うぅっ……ぐすっ」
真琴さんが僕のためにしてくれたことが嬉しいのに、言葉が出せない。
昇さんに抱きしめられながら、必死に気持ちを落ち着かせる。
「真琴くん、ごめんね。直くん……真琴くんの気持ちがすごく嬉しくてどうしていいかわからなくなったみたい」
あやちゃんが僕の気持ちを真琴さんに伝えてくれる。
すると、さっきのミサンガをつけてくれた手を真琴さんが優しく握ってくれる。
「ま、こと、さん……っ」
涙を流しながら、必死に名前を呼ぶと天使のような優しい笑顔で見つめられる。
僕が真琴さんと話したそうにしていたことに気づいてくれたのか、昇さんが抱きしめてくれていた腕を緩めてくれた。
僕は昇さんから離れて真琴さんに向き合った。
「そんなに喜んでくれて嬉しいよ。直くんの新しい生活に僕のお守りを一緒に連れて行って。そしていっぱい楽しいことを経験してほしいな」
「は、はい。ぐすっ……ありがとう、ございます……うっ……まこ、とさん……」
「んっ?」
「ほん、とに……てん、し、みたいです……」
優しい顔と優しい言葉に心があったかくなって、どうしても言わずにはいられなかった。
「ああ、もうっ! 直くん、可愛いっ!!」
「えっ、わっ!!」
笑顔の真琴さんが僕にぎゅっと抱きついてきて、僕も咄嗟に背中に手を回した。
真琴さんがポンポンとその場でジャンプするたびにもふもふっとした羽根に触れて、本物の天使と抱き合っているような感覚になる。
すると、突然大きな影が僕と真琴さんの間に入ってきた。
「えっ、えっ……」
気づけば僕は真琴さんから離れて、真琴さんは成瀬さんに抱きしめられていた。
何が起こったのか分からず茫然としていると、
「ははっ。やっぱり成瀬くんは相変わらずだな。直くんには寛大かと思っていたが、流石に抱き合うのまでは許容できなかったか」
とパパの声が聞こえる。
「すみません、つい……」
成瀬さんもなんだか恥ずかしそうだ。でもそれ以上に、腕の中の真琴さんの方が顔が真っ赤になっている。
「もう! 優一さんったら!」
両手でポンポンと成瀬さんを叩いているけれど、成瀬さんは全然痛がっていないどころかなんだか嬉しそうにも見える。
「ほらほら。仲良くして。宗一郎さん、直くんも起きてきたしのんびりおしゃべりしたいからみんなでリビングに行っててくれる?」
さっちゃんが声をかけると、宗一郎さんはサッと立ち上がった。
「そうだな。夕食も食べて行ってもらうから、みんなでその打ち合わせをしておくよ。何かあったら声をかけてくれ。昇くんもおいで」
昇さんに声をかけると、すぐにパパたちにも声をかけてみんなでサンルームを出て行った。
あっという間に広いサンルームは僕たち五人だけだ。
「さぁ、おしゃべりの続きをしよう」
さっちゃんの声かけで僕と真琴さんも席に着く。
いつの間にかすっかり涙も止まっていたから僕はもう一度真琴さんにお礼を言った。
「あの、ミサンガ……ありがとうございました。僕……すごく嬉しいです」
「そんなに喜んでもらえて嬉しいよ」
「直くん、見て!」
真琴さんの隣に座っていた悠真さんが持っていたスマホの画面を僕に見せてくれる。
「これ……」
画面には途中でちぎれたようなミサンガが映っている。
「私も昔、大学受験の時に真琴からもらったミサンガの写真。肌身離さずつけていたら五年くらいで紐が切れたんだけど、家で大切に飾っているんだよ。実家から離れた場所に住んでいたからこのミサンガがずっと心強かったんだ」
「真琴さんの気持ちが、悠真さんを守っていたんですね……素敵……」
そういうのって本当に素敵だな。
「あの、これって作るの難しいですか?」
「そんなことないよ。慣れたら簡単だから」
「僕……昇さんに作ってみたいです」
「ああ、そっか……昇くんももうすぐ受験だもんね」
僕の気持ちが昇さんの助けになれたら……それはとても嬉しいことだ。
青と白の糸が交互に編み込まれた綺麗な腕輪。
ビーズのような飾りも付いていてものすごく可愛い。
「これ、ミサンガっていうお守り。これから試験を迎えて、新しい生活が始まる直くんを守ってくれるように僕が作ったんだ」
「えっ……真琴さんの、手作り、ですか?」
「うん。我ながら上手くできたかなって思うんだけど、どうかな?」
まさか手作りなんて思いもしなかった。
僕のためにわざわざ時間をかけて作ってくれるなんて……。
「うっ……ぐすっ……っ」
嬉しすぎて涙が溢れ出す。
だって、僕のためにこんな……。
「――っ、直くん?」
目の前で真琴さんが驚いているのが見える。
これ以上泣いちゃダメだ。ちゃんとお礼を言わなきゃ!
そう思うけれど、止めようと思えば思うほど止まらない。
「直くん、大丈夫だよ」
優しい声がかけられたと思ったら、大きな身体に包まれる。
すぐにそれば昇さんだとわかった。
「うぅっ……ぐすっ」
真琴さんが僕のためにしてくれたことが嬉しいのに、言葉が出せない。
昇さんに抱きしめられながら、必死に気持ちを落ち着かせる。
「真琴くん、ごめんね。直くん……真琴くんの気持ちがすごく嬉しくてどうしていいかわからなくなったみたい」
あやちゃんが僕の気持ちを真琴さんに伝えてくれる。
すると、さっきのミサンガをつけてくれた手を真琴さんが優しく握ってくれる。
「ま、こと、さん……っ」
涙を流しながら、必死に名前を呼ぶと天使のような優しい笑顔で見つめられる。
僕が真琴さんと話したそうにしていたことに気づいてくれたのか、昇さんが抱きしめてくれていた腕を緩めてくれた。
僕は昇さんから離れて真琴さんに向き合った。
「そんなに喜んでくれて嬉しいよ。直くんの新しい生活に僕のお守りを一緒に連れて行って。そしていっぱい楽しいことを経験してほしいな」
「は、はい。ぐすっ……ありがとう、ございます……うっ……まこ、とさん……」
「んっ?」
「ほん、とに……てん、し、みたいです……」
優しい顔と優しい言葉に心があったかくなって、どうしても言わずにはいられなかった。
「ああ、もうっ! 直くん、可愛いっ!!」
「えっ、わっ!!」
笑顔の真琴さんが僕にぎゅっと抱きついてきて、僕も咄嗟に背中に手を回した。
真琴さんがポンポンとその場でジャンプするたびにもふもふっとした羽根に触れて、本物の天使と抱き合っているような感覚になる。
すると、突然大きな影が僕と真琴さんの間に入ってきた。
「えっ、えっ……」
気づけば僕は真琴さんから離れて、真琴さんは成瀬さんに抱きしめられていた。
何が起こったのか分からず茫然としていると、
「ははっ。やっぱり成瀬くんは相変わらずだな。直くんには寛大かと思っていたが、流石に抱き合うのまでは許容できなかったか」
とパパの声が聞こえる。
「すみません、つい……」
成瀬さんもなんだか恥ずかしそうだ。でもそれ以上に、腕の中の真琴さんの方が顔が真っ赤になっている。
「もう! 優一さんったら!」
両手でポンポンと成瀬さんを叩いているけれど、成瀬さんは全然痛がっていないどころかなんだか嬉しそうにも見える。
「ほらほら。仲良くして。宗一郎さん、直くんも起きてきたしのんびりおしゃべりしたいからみんなでリビングに行っててくれる?」
さっちゃんが声をかけると、宗一郎さんはサッと立ち上がった。
「そうだな。夕食も食べて行ってもらうから、みんなでその打ち合わせをしておくよ。何かあったら声をかけてくれ。昇くんもおいで」
昇さんに声をかけると、すぐにパパたちにも声をかけてみんなでサンルームを出て行った。
あっという間に広いサンルームは僕たち五人だけだ。
「さぁ、おしゃべりの続きをしよう」
さっちゃんの声かけで僕と真琴さんも席に着く。
いつの間にかすっかり涙も止まっていたから僕はもう一度真琴さんにお礼を言った。
「あの、ミサンガ……ありがとうございました。僕……すごく嬉しいです」
「そんなに喜んでもらえて嬉しいよ」
「直くん、見て!」
真琴さんの隣に座っていた悠真さんが持っていたスマホの画面を僕に見せてくれる。
「これ……」
画面には途中でちぎれたようなミサンガが映っている。
「私も昔、大学受験の時に真琴からもらったミサンガの写真。肌身離さずつけていたら五年くらいで紐が切れたんだけど、家で大切に飾っているんだよ。実家から離れた場所に住んでいたからこのミサンガがずっと心強かったんだ」
「真琴さんの気持ちが、悠真さんを守っていたんですね……素敵……」
そういうのって本当に素敵だな。
「あの、これって作るの難しいですか?」
「そんなことないよ。慣れたら簡単だから」
「僕……昇さんに作ってみたいです」
「ああ、そっか……昇くんももうすぐ受験だもんね」
僕の気持ちが昇さんの助けになれたら……それはとても嬉しいことだ。
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