ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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甘い夜※微

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<side卓>

話を終えた昇が部屋に行くのを見送って、私は絢斗の手を取った。

「どうしたの、卓さん」

「昇の保護者として絢斗も知っておくべきだと思ったが、絢斗には想像したくなかったこともあったなと申し訳なく思ったんだ」

人間だから否が応にも寿命がやってくるが、息子の立場としてはそんなことはできるだけ考えたくないのが心情だろう。

「それってお父さんのこと? そんなこと気にしなくていいよ。お父さんも直くんの主治医として、自分がいなくなった後のことを少なからず考えているはずだし、むしろ昇くんがそこまで考えて直くんの主治医になるために医師免許をとりたいと言ってくれて喜ぶと思うよ」

それはきっとそうだろう。
直くんにトラウマがあるからこそ、本当に心を許した相手でなければパニックを起こしてしまうかもしれない。
それが直くんの身体や脳にどれほどのダメージを与えるか考えたら、後継をおいそれと選べない。
だが昇が直くんの主治医になれるならそれに越したことはない。

「合格しなかったらフランスに連れていくと毅さんが言ったのも、昇くんの本気度を確認するためだろうし、昇くんが真剣に考えた末に決めた進路なら反対はしないんじゃないかな」

「私もそう思っているよ。直くんにとってどれだけ昇が必要な存在かは最初の日にわかっているはずだからな」

まだうちに残ると決まる前、両親と話をしにいくと言って昇が帰った夜、直くんは食欲をなくし、昇の温もりを求めて昇のベッドに入り込んでいた。
あの姿に毅も心を打たれていたようだったし、直くんを守るつもりなら生半可なことはさせたくなくて合格しなかったらフランスに連れていくと言い出したんだろうと思っている。

「なぁ、絢斗。さっき直くんから毅たちへのサプライズの話をしている時に声をあげていただろう? あれはなんだったんだ?」

昇にはなんでもないと誤魔化していたが私には何かがあったとわかっている。

「やっぱり卓さんには隠し事できないなー。あのね、直くんが真琴くんからお守りのミサンガもらったでしょう?」

「ああ、直くん嬉しそうだったな」

直くんの嬉しそうな顔と一緒に、ついつい成瀬くんが嫉妬していた姿も思い出してしまう。

「あれでね、あの後……直くんが昇くんにミサンガ作りたいって言い出したんだよ」

「えっ? そうなのか?」

「真琴くんもそれに必要な材料と作り方の動画も送ってくれるって言って明日には荷物を発送してくれることになっているんだ。でも、昇くんが今回受験しないならミサンガプレゼントできなくなっちゃうかなって。直くんが残念がるかもしれないって思ったんだ」

なるほど。そういうことだったのか。
昇の受験のために何かをしてあげたいという直くんの優しい気持ちが伝わってくる。
昇は本当に直くんから愛されているのだな。

「直くんは昇くんの受験に合わせて作ろうとするでしょう? 今回は受験しないって言っておいた方がいいのかな?」

「うーん、どうだろう。いずれにしても必ず受験はするわけだし、昇にとっても直くんからのお守りを腕につけていられたらさらにやる気になるんじゃないか?」

「ああそっか、そうだね。それなら直くんも喜ぶかな」

聖母のような優しい笑顔を浮かべる絢斗を見ているとたまらなく愛おしくなると同時に、少し寂しい気分になってしまうのは私の狭量さのせいだろう。それでもそろそろ私だけの絢斗に戻ってほしい。

「絢斗はすっかり直くんの親だな。少し嫉妬してしまうよ」

「えっ? 嫉妬? そんなこと……」

「それじゃあ、そろそろ私との時間にしようか。部屋で今日の可愛いドレスを着て見せて欲しい」

志良堂の家であのドレスを着ている絢斗を見た時、あまりの可愛さに理性を飛ばさないようにするのに必死になっていた。
ここまで我慢したんだ。あれをもう一度じっくりと見せてほしい。

「いいよ。卓さんだけにたっぷり見せてあげる。寝室に連れて行って……」

絢斗の可愛いおねだり応えるべく、私は絢斗を抱きかかえて急いで寝室に向かった。

「ねぇ、卓さん。すぐに着替えるからこっち見ないで待っててね」

「わかったよ

オープンクローゼットに入っていく絢斗を見送りながら私はベッドに座り、魅惑的な絢斗の姿を思い出していた。
どれだけ年齢を重ねても絢斗だけは私の興奮を呼び起こす。

我慢しきれず、私は上着を脱ぎ捨てベルトを外しズボンも脱ぎ捨てて絢斗が出てくるのを待った。

「卓さん、お待たせ」

「――っ!!」

ぴょんと飛び出してきた絢斗は昼間見た時よりもずっとセクシーに見える。
きっと私も興奮しているからだろう。

「絢斗……綺麗だよ」

「卓さんったら、我慢できなかったの?」

下着姿の私の様子を見て、絢斗が妖艶に笑う。

「ああ、だからたっぷり愛させてくれ」

昂りが下着を押し上げているのも気にせず、絢斗の元に向かい、抱きかかえてベッドへ運ぶ。

恍惚とした表情で見つめられてさらに興奮が高まってくる。

「絢斗……愛してる」

「んんっ……」

甘い唇をたっぷりと味わって、夜は更けていった。
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