ひとりぼっちになった僕は新しい家族に愛と幸せを教えてもらいました

波木真帆

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やばいって!

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<side昇>

昨夜のことを伯父さんに話をすると、そのまますぐにじいちゃんたちに話をしにいった。
その伯父さんを見送って俺は家に戻った。

そっと扉を開けて中に入ると、リビングからは直くんと絢斗さんの楽しげな声が聞こえてくる。
どうやら俺と伯父さんが出ていたのも気づいていないみたいだ。

さすが絢斗さんだな。

でもどうしよう。
伯父さんが外出したことは伝えておいた方がいいよな?

ちょっと買い物にでも行ったって言っておこうか。
そうしたら買い物袋持って帰らないとおかしいな。

<絢斗さんと直くんには買い物に行ったって伝えておくよ>

とりあえずそう伝えておけば伯父さんのことだ。大丈夫だろう。
急いでメッセージを送り、俺もリビングに足を進めた。

「直くん、楽しそうだね」

「あ、昇さん! 昨日の動画がすごく楽しくて! でもそういえばこれ、いつの間に撮ってたんだろう……」

直くんは不思議そうにしているが、志良堂家にもカメラがいくつも設置されていてあのお茶会をしたサンルームももちろん設置済みなのだそうだ。皐月さんと絢斗さんがよくお茶をしている場所だからそれを宗一郎さんと伯父さんが後で映像を見て楽しんでいるのだと昨日伊織さんが教えてくれた。

やっぱりカメラはどこにでもあるんだな。
俺も将来直くんと二人で暮らすようになったら絶対にとりつけよう!
貴船さんも協力してくれると言っていたし、楽しみだ。

直くんには至るところにカメラが設置してあったなんて知られない方がいいんだろう。
俺は話題を変えるように慌てて駆け寄った。

「俺にも動画見せてよ」

絢斗さんと直くんが並んで座る直くんの隣の席にさっと腰を下ろし、動画を覗き見ると俺が想像していたものとは違うものが映っていた。

「えっ、これって……」


――直くんはこの前ピンクベージュの膝丈のドレスだったから……。若いし、ミニもいいかもね!

――うんうん! 十代なら余裕でミニでしょ!

絢斗さんと皐月さんが驚くほどたくさんのドレスを見ながら楽しそうに会話している姿。
時折自分の胸にドレスを当てて笑い合っている姿も映っている。

まるで高校生や大学生のようなノリで直くんのドレスを選んでいる絢斗さんと皐月さんの姿が、いつも見ている姿と違って可愛らしく見える。

えっ、ちょっと待って。これって皐月さんの部屋の中の動画?

勘違いであってくれと願ったけれど、笑顔の絢斗さんから

「直くんのドレスを選んでた時の動画だよ」

と告げられる。

うわーっ、やばい! やばいってば!
あの部屋は宗一郎さんから絶対に入るなって昔から言われていた聖域のような場所。

それを動画とはいえ、俺が勝手に見たらほんとやばいって!
その上、絢斗さんと皐月さんのこんな可愛い姿を俺が見たなんて知られたらどうなるか……。

宗一郎さんも伯父さんも、実のところはあの成瀬さんと変わらないくらい独占欲の塊なんだよな。

ここは早く離れた方がいいよな……。
そう思っているのに、直くんは俺に画面を見せながら嬉しそうに話しかけてくる。

「昨日のドレスもすっごく可愛かったんですけど、昇さんはどんなのが好きですか?」

「えっ? 俺? えっと……直くんが選んだものならなんでも好きだよ」

とりあえず当たり障りないことを言ってこの場を離れようと思っていたけれど、途端に直くんの表情が暗くなる。
うわっ、こっちもやばい!

「いや、あの……そ、そうだな。あっ、このピンクのドレスとか直くんに似合いそう!!」

慌てて画面に映ったドレスを指さしてみると、

「ああー! これ! うん、めちゃくちゃ可愛かったんだよね。昨日のドレスと最後まで悩んだやつ。やっぱり昇くんもそう思うよね」

と絢斗さんが満面の笑みで賛同してくれた。

すると直くんの表情が一気に明るくなる。

「これ、昇さん好きなんですね……」

「このドレス、皐月に言ったらプレゼントしてくれるから話しておくね」

「えっ、いいんですか?」

「もちろん! みんなで楽しむために選んでくれてるから直くんが欲しいって話したらすぐに送ってくれるよ。すぐに電話してみるね。あ、直くんも皐月と話す?」

直くんは絢斗さんの誘いに笑顔で頷いた。
きっと昨日のことで皐月さんを気に入ったんだろう。
まぁ絢斗さんによく似て話しやすい人だからな。

「あ、じゃあ電話の邪魔しないように、俺は部屋に行っておくよ」

なんとか理由をつけてリビングから脱出することに成功した。
部屋に入るとどっと疲れが出た気がする。

これって、伯父さんに話しておくべきかな?
怖すぎるんだけど……。
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