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幸せになってもらいたい
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楽しい夕食を終え、そろそろ帰るという賢将さんをみんなで玄関まで見送る。
「おじいちゃん。明後日のおじいちゃまのお引越しの手伝い、僕も頑張るね」
「直くんが手伝ってくれたらすぐに終わりそうだ。ありがとう。それじゃあ待ってるよ」
「お父さん。もう遅いから車の運転気をつけてね」
声をかける絢斗と直くんに笑顔で手を振りながら、賢将さんは帰って行った。
「それにしても倉橋くんと藤乃くんの行動力には驚かされたな」
「本当に。でも二葉さんたちの喜びの表情を直くんが見られたのは倉橋くんたちのおかげだよ。直くんったら倉橋くんのことをずっとサンタさんって呼んでるんだよ」
あんなに嬉しい動画を送ってきてくれたんだ。
直くんがそう思うのも無理はない。
でもあの倉橋くんが、サンタクロースか。
クリスマスパーティー当日にプレゼントを持ってきてくれるあの人はもっと本物だと思ってもらわないといけないな。
昇たちも部屋に行き、私と絢斗も自室に戻った。
「直くんの改名手続きを家庭裁判所に申請してきたよ」
「資料が集まるの、早かったね。あ、もしかしてお父さんがうちに来てたのって?」
「そうだ。診断書を頼んだんだ。すぐに作成して持ってきてくれたから今日のうちに申請してきたんだよ。直くんのために少しでも早く手続きを開始したほうがいいと言ってくれてね」
改名手続きについては、絢斗ももちろんわかっている。
だからこそ、賢将さんの診断書がどれほど大きな影響を与えるかも理解している。
「それならすぐに認められそうだね」
自分のことのように嬉しそうな表情を見せる絢斗を見るだけで私も嬉しくなる。
「それから絢斗に一つ報告があるんだが……」
「なになに?」
私は絢斗の手を引いてソファーに腰をかけた。
「今日、中谷くんに用事を頼んでいた最中にきた依頼人が、どうやら中谷くんの想い人らしい」
「えっ? どういうこと?」
一気に目を輝かせる絢斗に、新海さんの依頼の内容だけは告げずに全てを話した。
「それで心配して中谷くんを訪ねて戻ってこられたんだよ」
「へぇー。その人が一星くんの好きな作家さんだったってこと?」
「本人に確認したわけではないが、ほぼ間違いないだろう」
「すごい偶然だね。ううん、そこまで行くと運命かも! だって、前に一星くんが話してたよ。あまりにも彼の本が好きすぎてファンレター書いたんだって。熱が籠りすぎたから引かれたかもしれないってちょっと落ち込んでたから、一星くんの好きな気持ちは伝わると思うよって言ったんだけどね」
そんなことがあったのか。
私は何も知らなかったな。
絢斗は二葉さんを誘って中谷くんとよくお茶をしていたからそんな話もしていたんだろう。
「でもあの小説家の<ナツオ>さんがまさか卓さんに依頼に来るなんて。どこからの紹介だったの?」
「彼は真壁くんからの紹介だったんだよ。彼の後輩のお兄さんだそうだ。彼らが全て証拠の集め方も指示していたから重要な証拠もたっぷり用意してきてくれたから簡単に片がつきそうだ」
「そうなんだ。じゃあ卓さんならあっという間だね。そうしたら一星くんとの仲も一気に深まるかな?」
「そうだな。とりあえず全てが終わるまでは慎重に進めてほしいと新海さんには伝えておいたから、早く終わらせてやりたいと思っているよ」
中谷くんはあれだけ酷い目に遭いながらも、大切に櫻子ちゃんを育ててきた。
あの二人には本当に幸せになってもらいたい。
「んっ? 絢斗、どこにかけるんだ?」
突然絢斗がスマホを手にしたのが気になって声をかけた。
「一星くんにメッセージを送ろうと思って。事故に遭ったことだし、念の為に聞いておかないとね」
「そうだな。頼むよ」
すぐに検査は受けたようだが、事故の後遺症というのは時間が経ってから出てくることもある。
絢斗がメッセージを送るとすぐに返信が来た。
すぐにメッセージに目を通した絢斗が笑顔で私に画面を見せてくる。
<ご心配をおかけして申し訳ありません。でも今のところ大丈夫です。明日も問題なく出勤しますので先生にお伝えください。中谷一星>
見る限り普通の文章で絢斗がそこまで笑顔になる要素はどこにもなかったように見えたが、中谷くんが無事なことはよくわかった。
私の少し戸惑った表情に気付いたのか、
「これこれ、こっちのメッセージも見て」
と言ってスマホを操作し、違う人からのメッセージを見せてくれた。
<今日、めちゃくちゃかっこいい人と一緒にパパがお迎えに来てくれて、パパ、すごく嬉しそうにしてた。なんだかあやちゃんと先生みたいに見えたよ。櫻子>
そんなメッセージと共にこっそり撮ったと思われる写真も一緒に送られていた。
それは中谷くんと談笑する新海さんの姿。
二人とも柔らかな表情をしていてなんとも楽しそうだ。
「いい雰囲気だよね。櫻子ちゃんも好意的だしこのまま上手くいったらいいよね」
「そうだな」
この二人の笑顔を曇らせないようにさっさと終わらせてやらないとな。
「おじいちゃん。明後日のおじいちゃまのお引越しの手伝い、僕も頑張るね」
「直くんが手伝ってくれたらすぐに終わりそうだ。ありがとう。それじゃあ待ってるよ」
「お父さん。もう遅いから車の運転気をつけてね」
声をかける絢斗と直くんに笑顔で手を振りながら、賢将さんは帰って行った。
「それにしても倉橋くんと藤乃くんの行動力には驚かされたな」
「本当に。でも二葉さんたちの喜びの表情を直くんが見られたのは倉橋くんたちのおかげだよ。直くんったら倉橋くんのことをずっとサンタさんって呼んでるんだよ」
あんなに嬉しい動画を送ってきてくれたんだ。
直くんがそう思うのも無理はない。
でもあの倉橋くんが、サンタクロースか。
クリスマスパーティー当日にプレゼントを持ってきてくれるあの人はもっと本物だと思ってもらわないといけないな。
昇たちも部屋に行き、私と絢斗も自室に戻った。
「直くんの改名手続きを家庭裁判所に申請してきたよ」
「資料が集まるの、早かったね。あ、もしかしてお父さんがうちに来てたのって?」
「そうだ。診断書を頼んだんだ。すぐに作成して持ってきてくれたから今日のうちに申請してきたんだよ。直くんのために少しでも早く手続きを開始したほうがいいと言ってくれてね」
改名手続きについては、絢斗ももちろんわかっている。
だからこそ、賢将さんの診断書がどれほど大きな影響を与えるかも理解している。
「それならすぐに認められそうだね」
自分のことのように嬉しそうな表情を見せる絢斗を見るだけで私も嬉しくなる。
「それから絢斗に一つ報告があるんだが……」
「なになに?」
私は絢斗の手を引いてソファーに腰をかけた。
「今日、中谷くんに用事を頼んでいた最中にきた依頼人が、どうやら中谷くんの想い人らしい」
「えっ? どういうこと?」
一気に目を輝かせる絢斗に、新海さんの依頼の内容だけは告げずに全てを話した。
「それで心配して中谷くんを訪ねて戻ってこられたんだよ」
「へぇー。その人が一星くんの好きな作家さんだったってこと?」
「本人に確認したわけではないが、ほぼ間違いないだろう」
「すごい偶然だね。ううん、そこまで行くと運命かも! だって、前に一星くんが話してたよ。あまりにも彼の本が好きすぎてファンレター書いたんだって。熱が籠りすぎたから引かれたかもしれないってちょっと落ち込んでたから、一星くんの好きな気持ちは伝わると思うよって言ったんだけどね」
そんなことがあったのか。
私は何も知らなかったな。
絢斗は二葉さんを誘って中谷くんとよくお茶をしていたからそんな話もしていたんだろう。
「でもあの小説家の<ナツオ>さんがまさか卓さんに依頼に来るなんて。どこからの紹介だったの?」
「彼は真壁くんからの紹介だったんだよ。彼の後輩のお兄さんだそうだ。彼らが全て証拠の集め方も指示していたから重要な証拠もたっぷり用意してきてくれたから簡単に片がつきそうだ」
「そうなんだ。じゃあ卓さんならあっという間だね。そうしたら一星くんとの仲も一気に深まるかな?」
「そうだな。とりあえず全てが終わるまでは慎重に進めてほしいと新海さんには伝えておいたから、早く終わらせてやりたいと思っているよ」
中谷くんはあれだけ酷い目に遭いながらも、大切に櫻子ちゃんを育ててきた。
あの二人には本当に幸せになってもらいたい。
「んっ? 絢斗、どこにかけるんだ?」
突然絢斗がスマホを手にしたのが気になって声をかけた。
「一星くんにメッセージを送ろうと思って。事故に遭ったことだし、念の為に聞いておかないとね」
「そうだな。頼むよ」
すぐに検査は受けたようだが、事故の後遺症というのは時間が経ってから出てくることもある。
絢斗がメッセージを送るとすぐに返信が来た。
すぐにメッセージに目を通した絢斗が笑顔で私に画面を見せてくる。
<ご心配をおかけして申し訳ありません。でも今のところ大丈夫です。明日も問題なく出勤しますので先生にお伝えください。中谷一星>
見る限り普通の文章で絢斗がそこまで笑顔になる要素はどこにもなかったように見えたが、中谷くんが無事なことはよくわかった。
私の少し戸惑った表情に気付いたのか、
「これこれ、こっちのメッセージも見て」
と言ってスマホを操作し、違う人からのメッセージを見せてくれた。
<今日、めちゃくちゃかっこいい人と一緒にパパがお迎えに来てくれて、パパ、すごく嬉しそうにしてた。なんだかあやちゃんと先生みたいに見えたよ。櫻子>
そんなメッセージと共にこっそり撮ったと思われる写真も一緒に送られていた。
それは中谷くんと談笑する新海さんの姿。
二人とも柔らかな表情をしていてなんとも楽しそうだ。
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