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番外編
持つべきものは……
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「剣道、大会?」
何も聞かされていないと今にも泣きそうな表情をしている。
それを見て、話題を出してきた氷室も申し訳なさそうな表情になってきている。
周りも察したようで一瞬静寂が包み込んだ。
ここで私が初手を間違えたら、せっかくの楽しい空気が台無しだ。
「ええ。そうなんです。実は、サプライズで要さんを連れて応援してもらおうかと思っていたんです」
本音を言えばどうしようか悩んでいた。
これに出ないわけにはいかないが、まだ人混みに連れて行くのは少し心配だったから。
ギリギリまで悩んで要さんに話をするか決めようと思っていたのだが、この話題が出た以上、隠し通すわけにはいかない。
取り乱したりせず、あくまでも冷静に笑顔を向けてはっきりと告げると、要さんの表情は一気に明るくなった。
それを見て安心したのか、成瀬と安慶名が助け舟を出してくれる。
「氷室! せっかくのサプライズなのに空気が読めないな」
「まぁ、氷室は真壁の剣道を見るのが昔から好きだからな。仕方ない」
二人がそう言ってくれるのを見て、氷室もそれに乗っかってくる。
「そうなんだよ。剣道している時の真壁は男の俺から見てもかっこいいから、久代さんに見せたいと思ったんだ。なぁ、翼」
「うん。だから久代さんも一緒に応援に行きましょう」
全くわかっていないだろうに、氷室が翼くんまで仲間に引き込むと翼くんは笑顔で要さんを誘ってくれた。
「はい。行きたいです!」
さっきまで少し目を潤ませていたが、友人たちに機転で笑顔を取り戻してくれた。
はぁ、よかった。
ちらっと成瀬たちを見るとほんのり笑顔を浮かべている。
やっぱり持つべきものは友人だな。
「歩夢。実は私も剣道大会に出るんだ。警視正ほど強くはないけれどみなさんと一緒に応援に来てくれないかな?」
新海は今がこの話をするいい機会だと思ったんだろう。
舞川さんはPTSDを抱えているから、要さん以上に外に出すのは慎重になる。
だが警察官として剣道を嗜んでいるものはこの大会にエントリーしないわけにはいかない。
私以上に悩んでいただろうな。
「歩夢の体調がもちろん最優先だけど、もし来れそうなら応援に来てくれたら頑張れる」
「賢人さん……僕、応援に行きたいです!」
「本当に? 無理してない?」
「大丈夫です。要くんが一緒なら安心です」
要さんは舞川さんのその言葉に嬉しそうに笑っていた。
だが、笑えなくなってきたのは氷室だ。
そもそも氷室が話題を出したことでこうなったが、血気盛んな男たちが集まる体育館に氷室一人で翼くんと要さん、そして舞川さんまで見ないといけなくなったのだから。
チラリと氷室を見ると、少し焦っているのが見える。
だが成瀬はもちろん、安慶名もそんな場所に愛しい相手を連れて応援に来たりはしないだろう。
さて、どうしようか。
そう思った時、救いの神の言葉が聞こえてきた。
「周平さん。俺も剣道大会を見に行ってみたいな。こんな機会でもないと見に行けないし、その後イリゼホテルでお茶もできるし。ね、周平さん。いいですよね?」
浅香さんが周平さんに寄り添いながら甘えた声をかけながらさらに耳元で何かを囁いた。
すると、周平さんはすぐに頷いてくれた。
「わぁ、やった。要くん。歩夢くん。翼くん。その日は応援に行ったらイリゼホテルで美味しいスイーツ食べて帰ろう」
浅香さんの言葉に三人は顔を見合わせて笑顔を見せていた。
「いいなぁ。僕も一緒に行きたいな」
「真琴は次の機会にな。あんまり大勢で応援に行くと、体育館に入れなくなるぞ」
「あ、そっか。それなら仕方ないか」
成瀬はすっかり真琴くんの扱い方を知っているようだな。
というわけで、二週間後にある全国剣道大会には愛しい要さんの応援付きで出場することになった。
要さんの前で無惨に負けるわけにはいかない。今年もちゃんと優勝しないとな。
何も聞かされていないと今にも泣きそうな表情をしている。
それを見て、話題を出してきた氷室も申し訳なさそうな表情になってきている。
周りも察したようで一瞬静寂が包み込んだ。
ここで私が初手を間違えたら、せっかくの楽しい空気が台無しだ。
「ええ。そうなんです。実は、サプライズで要さんを連れて応援してもらおうかと思っていたんです」
本音を言えばどうしようか悩んでいた。
これに出ないわけにはいかないが、まだ人混みに連れて行くのは少し心配だったから。
ギリギリまで悩んで要さんに話をするか決めようと思っていたのだが、この話題が出た以上、隠し通すわけにはいかない。
取り乱したりせず、あくまでも冷静に笑顔を向けてはっきりと告げると、要さんの表情は一気に明るくなった。
それを見て安心したのか、成瀬と安慶名が助け舟を出してくれる。
「氷室! せっかくのサプライズなのに空気が読めないな」
「まぁ、氷室は真壁の剣道を見るのが昔から好きだからな。仕方ない」
二人がそう言ってくれるのを見て、氷室もそれに乗っかってくる。
「そうなんだよ。剣道している時の真壁は男の俺から見てもかっこいいから、久代さんに見せたいと思ったんだ。なぁ、翼」
「うん。だから久代さんも一緒に応援に行きましょう」
全くわかっていないだろうに、氷室が翼くんまで仲間に引き込むと翼くんは笑顔で要さんを誘ってくれた。
「はい。行きたいです!」
さっきまで少し目を潤ませていたが、友人たちに機転で笑顔を取り戻してくれた。
はぁ、よかった。
ちらっと成瀬たちを見るとほんのり笑顔を浮かべている。
やっぱり持つべきものは友人だな。
「歩夢。実は私も剣道大会に出るんだ。警視正ほど強くはないけれどみなさんと一緒に応援に来てくれないかな?」
新海は今がこの話をするいい機会だと思ったんだろう。
舞川さんはPTSDを抱えているから、要さん以上に外に出すのは慎重になる。
だが警察官として剣道を嗜んでいるものはこの大会にエントリーしないわけにはいかない。
私以上に悩んでいただろうな。
「歩夢の体調がもちろん最優先だけど、もし来れそうなら応援に来てくれたら頑張れる」
「賢人さん……僕、応援に行きたいです!」
「本当に? 無理してない?」
「大丈夫です。要くんが一緒なら安心です」
要さんは舞川さんのその言葉に嬉しそうに笑っていた。
だが、笑えなくなってきたのは氷室だ。
そもそも氷室が話題を出したことでこうなったが、血気盛んな男たちが集まる体育館に氷室一人で翼くんと要さん、そして舞川さんまで見ないといけなくなったのだから。
チラリと氷室を見ると、少し焦っているのが見える。
だが成瀬はもちろん、安慶名もそんな場所に愛しい相手を連れて応援に来たりはしないだろう。
さて、どうしようか。
そう思った時、救いの神の言葉が聞こえてきた。
「周平さん。俺も剣道大会を見に行ってみたいな。こんな機会でもないと見に行けないし、その後イリゼホテルでお茶もできるし。ね、周平さん。いいですよね?」
浅香さんが周平さんに寄り添いながら甘えた声をかけながらさらに耳元で何かを囁いた。
すると、周平さんはすぐに頷いてくれた。
「わぁ、やった。要くん。歩夢くん。翼くん。その日は応援に行ったらイリゼホテルで美味しいスイーツ食べて帰ろう」
浅香さんの言葉に三人は顔を見合わせて笑顔を見せていた。
「いいなぁ。僕も一緒に行きたいな」
「真琴は次の機会にな。あんまり大勢で応援に行くと、体育館に入れなくなるぞ」
「あ、そっか。それなら仕方ないか」
成瀬はすっかり真琴くんの扱い方を知っているようだな。
というわけで、二週間後にある全国剣道大会には愛しい要さんの応援付きで出場することになった。
要さんの前で無惨に負けるわけにはいかない。今年もちゃんと優勝しないとな。
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