エリート警察官僚はようやく見つけた運命の相手を甘やかしたくてたまらない!

波木真帆

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私たちの家

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今日は緊急時以外は警視庁に戻らないで済むように午後休をとっておいた。
これで連絡が来ない間は久代さんのことに専念できる。

内科病棟の出入り口に近い場所に止めていた車まで案内し、そのまま助手席に座ってもらった。
キョロキョロしているが、きっとこの前乗った車と違うことに気づいたのだろう。
でもあの時はすぐに眠ってしまったからもしかしたら自分の勘違いだと思っているのかもしれない。

「この車、気に入りましたか?」

「えっ? あ、この前と違うような……」

「はい。よく分かりましたね。こっちのほうが楽に座れるかと思って選んでみたんです」

「二台も持っていらっしゃるんですね」

「いえ、自宅にはあと五台ほどありますよ。今度出かけるときは違う車にも乗せますね」

「えっ? あと五台?」

目をぱちぱちさせて驚く久代さんの反応が可愛い。

「それでは私の自宅に案内しますね」

「は、はい」

まだ体調が万全ではない久代さんのために、いつも以上に丁寧な運転を心がけ走らせていると、久代さんが何か聞きたげな様子を見せていることに気づいた。

「何か気になることでもありますか?」

「あ、あの……真壁さんの、ご自宅なんですけど……もしかして、警察の宿舎だったりするんですか?」

「えっ?」

「あ、いえ。その……昔、そんな話をしゃ、八尋さんから聞いたことがあって……」

「八尋さんから?」

「はい。独身の警察官は寮や宿舎に住んでいて、結婚しても家族向けの官舎があるって……それを思い出して、真壁さんのご自宅がそうならやっぱりご迷惑はかけてはいけないかなと思って……」

思いがけない久代さんの話に驚きしかない。
確かに警察には独身寮や官舎があり、警察学校を出てからはそこに済むのは一般的となっているようだが、必ずしも強制というわけではない。私の場合は実家が勤務地から近かったということで実家からの通いが認められた。社会人になったら実家を出てやっと一人暮らしをしようと思っていただけに出鼻をくじかれた感じだったが、寮で過ごすよりはずっと楽だったからよかったのだろう。

数年経って自宅の購入を認められ、その時から今もそこに住んでいる。
職業柄、セキュリティのことも考えて一軒家よりはマンションがいいだろうと思い、購入に際し周平さんに相談したところ、偶然周平さんと同じマンションに一部屋空きがあると紹介され、そこを購入した。

七階建てのマンションで高層マンションというわけではないが、一階はロビーとジムやバーラウンジ、温泉やサウナといった豪華な共用スペースがあり、居住スペースの二階から七階までのその全てがワンフロアに一部屋しかない。

そんな造りだからこそセキュリティがとにかく完璧で、隣人に気を遣わなくていいというのもそこを選んだ大きな理由だった。

周平さんも今でもこのマンションに住んでいるが、滅多に顔を合わせたことはない。たまに飲みに行くときに久しぶりに顔を見た……なんてこともよくある話だ。
それくらい住民同士顔を合わせることもなく、居心地がいい。ここを紹介してもらって本当に良かったと思っている。

ワンフロアが全て自宅だからこそ空き部屋があり、久代さんを連れて帰ることができたのだ。
きっとこのマンションを購入した時からこうなる運命だったのだろうと思っている。
だから久代さんは心配する必要などない。そのことをしっかりと伝えておこう。

「大丈夫ですよ。寮でも宿舎でもなく正真正銘私の自宅です。実家ではないので両親も住んでいませんし、遠慮はいりませんよ」

「そう、なんですね……でも、一人だと時々寂しいなって思ったりすることはないですか?」

「そうですね……今までは仕事が忙しくてそんな感情を覚える暇もなかったですね。でもこれからは久代さんがいてくださるから寂しく思うことはないですよ」

「真壁さん……」

「久代さんもでしょう? 今までは寂しいと思っていたんじゃないですか?」

「はい。だからそういう時は八尋さんが声をかけてくださって…… だから寂しくはなかったです」

「そうですか……」

また崇史さんの話題か……。
あからさまに嫌な態度をしてはいけないと思いつつも、つい嫉妬の心が現れてしまう。

なんて言って話題を変えようかと思っているとちょうどいいタイミングで自宅に到着し、私はホッとした。

「久代さん、着きましたよ。ここがこれから住む私たちの家・・・・・です」

さりげなく二人の家だと言ってみたが、久代さんは窓の外を見て茫然としているのが見える。

「どうかしましたか?」

「い、いえ。想像以上にすごいマンションでびっくりしてしまって……」

「大丈夫です。大したことはないですよ」

そう言いつつ、車を地下駐車場に止めた。

さっと運転席から降り、助手席に回ると扉を開け、手を差し出す。
まださっきの驚きが残っているらしい久代さんは茫然としたまま、私の手に小さくて柔らかな手を置いてくれた。
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