エリート警察官僚はようやく見つけた運命の相手を甘やかしたくてたまらない!

波木真帆

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眩しい笑顔

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久代さんの部屋の前で深呼吸をしてから、部屋を軽くノックしたが応答はない。
開けようかどうしようか悩んでいると、

「真壁、戻ってきたのか?」

と声が聞こえた。

「沖野。久代さんの様子はどうだ?」

「ははっ。まずは彼の心配か。大丈夫、食事も八割方は摂れていたしだいぶ顔色も良くなっているよ。今は少し寝ているかな」

「そうか。それならよかった」

ずっと食事が摂れていなかった中で八割食べられていれば大丈夫だろう。
安心できる場所で睡眠も摂れたのなら私が付き添えない間、ここにいさせておいてよかった。

「そっちはもう終わったのか?」

「ああ。まぁな。私が自ら乗り込んだからな」

「さすがだな。このまま連れ帰るつもりなら手続きをしておくぞ」

「頼むよ」

沖野を見送って静かに部屋の中に入ると、病院着に着替えた久代さんが眠っているのが見える。
そっと近づいてみると、その穏やかな表情にホッとする。

本当に顔色が良くなっている。よかった。

かわいい寝顔につい触れたくなってベッド横に置かれていた椅子に座り、久代さんに手を伸ばした。

クマが出ていたのも少し薄くなっている。
ここで安心して眠れたからだろうが、今日からは我が家で心から安心して眠ってもらおう。

「ずっと私のそばにいてください……」

心の声を漏らしながら、頬に触れると久代さんが嬉しそうに笑った気がした。
それだけで心が温かくなっていく。

しばらく寝顔を眺めていると、

「んっ……」

かわいい声が漏れ聞こえて久代さんの目が開いていく。

「目が覚めましたか?」

「えっ、あっ……まかべさん。いつの間に?」

「今さっき来たところです。体調はいかがですか?」

「は、はい。久しぶりにこんなに寝た気がします。頭も軽いです」

「それならよかった」

久代さんの笑顔が眩しい。

「あ、あの……ストーカーの件は、どうなりましたか?」

「大丈夫です。安心してください。今朝、現行犯で逮捕しました」

「現行犯ってことは、他にも被害者がいたんですか?」

「ええ。久代さんと同じように服を切られそうになっていたのを寸前で逮捕しました」

そう言いながら、嫌なことを思い出させてしまって、今のは失言だったと心配になったが、久代さんは気にする様子を見せないどころか、ホッとした顔を見せてくれた。

「よかったです……今日の被害者の方があんな辛い思いをしないで済んで……。真壁さんのおかげですね」

「――っ!!!!」

自分が辛い思いをしたからこそ、今日の被害者が同じ目に遭わなくてよかったなんて……こんなことを言えるサラッと言える人がどれだけ存在するだろう。

久代さんは本当に心が綺麗な人だな。
仕事柄、人間の嫌な部分ばかり目にしているだけに久代さんの優しさが心に沁みる。

「あ、八尋さんの大事な人はどうだったんですか?」

「――っ」

崇史さんの話題が出てきて思わず言葉に詰まる。
やはり久代さんの中で崇史さんが大きな存在になっているのではないかと思わずにいられない。
それでも何も言葉を返さないわけにはいかなくて、正直に答えた。

「奴の部屋を捜索したところ、その彼をターゲットにしていた記録が残っていました」

「――っ、そう、なんですね……。その方はもちろん、八尋さんも辛いでしょうね」

「そうですね。でも、彼は服を切られるようなことはなかったようです」

「そうなんですか?」

「ええ」

「そうなんですね。よかったと言っていいのかわからないですけど、でも……よかったです」

心底ホッとした表情を見せる久代さんの姿に胸が痛くなる。
本当に崇史さんは罪作りな人だな。

「久代さん。これから過ごしていただく私の家にお連れしますね。久代さんの部屋にあった荷物は全て搬入していますので安心してください」

「えっ? もう?」

「ええ。すぐに戻ってきますから、帰宅する準備をしておいてください」

病院着から着替える間に、私は一旦外に出て病院代を支払っておいた。
沖野が退院手続きをしてくれたおかげでスムーズだったな。

看護師に断りを入れて、沖野のところに連れて行ってもらい、声をかけた。

「いろいろ世話になったな。目を覚ましたから連れて帰るよ」

「しばらくは安静に過ごさせてやってくれ。ちゃんと思いが通じ合ったら連絡してくれ。食事でもしよう」

「ああ。必ず連絡するよ。その時は奢るから楽しみにしていてくれ」

私の言葉に笑顔で頷く沖野に感謝して診察室を出た。

特別室に戻ると、久代さんはスーツに着替え終わっていて私を待ってくれていた。

「すみません、お待たせして」

「いえ、大丈夫です」

「それじゃあいきましょうか」

立ち上がる彼の腰に腕を回して支えた。

「――っ、あ、あの、一人で大丈夫です」

「今は無理しないほうがいいですよ。さぁ、行きましょう」

「は、はい」

私の勢いに押されたのか、久代さんはそれ以上抗うこともなく私の支えを受け続けてくれた。
私の腕の中に久代さんがいる。その事実が驚くほど私を興奮させていた。
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