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大きなどよめき
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要さんを一度トイレに連れて行ってから、ベッドに戻った。
流石にトイレの手伝いまではさせてもらえなかったが、もうしばらく二人で時間を過ごすようになったらさせてもらえる日が来るだろう。
「少し休んでいてください。すぐに朝食を持ってきますね」
要さんは一緒に行きたそうにしていたが、身体が辛いのか大人しく待っていてくれた。
急いでスープとパンを用意して、寝室に運んだ。
一緒にベッドに入り、私がスープを食べさせる。
「あの、自分で……」
最初こそ遠慮している様子だったが、今日は私にお世話させてくださいと頼むと頷いてくれた。
まぁ、今日だけでなくこれからは毎回私が世話をするのだが。その辺はおいおいわかってくれるだろう。
要さんが美味しいと言ってくれたスープを私も食べながら、朝食を済ませた。
「すみません、要さん。午後は休みが取れたんですが午前中は仕事に行かなくてはいけなくて……四時間ほどで帰ってきますから、ゆっくりベッドで休んでいてください」
「わざわざ午後休を? いいんですか?」
「大丈夫です。午後からは特に必要なこともありませんから。それに明日はお休みですし、そのままゆっくり過ごせますよ」
ずっと自分がお世話をする方だったからか、私の世話になるのが気になってしまうらしい。
でも私はもっと要さんに甘えて欲しいんだ。
「絶対に無理しないで休んでいてください。そうでないと痛みが酷くなって数日ベッドの住人になってしまいますよ」
「数日……わかりました。おとなしく過ごしています。だから、冬貴さんも無理しないでくださいね」
「ええ。わかりました。何かあれば……いえ、何かなくても連絡してください」
要さんのスマホを枕元に置いて、そのほか飲み物など必要なものを用意して準備万端で家を出た。
要さんのスマホには、八尋さん関係の人からの連絡はつながらないように設定しておいたから心配はない。
あの家のことも、祖父の史秀さんが雇った弁護士と八尋さんの頼んだ人たちの手によって売却手続きも進んでいると聞いた。資産は全て国に寄付するのだから税金等の心配もない。
史秀さんの遺骨も本来ならば四十九日を待って納骨するのだが、私が要さんと共に家を出た翌日には、弁護士立ち会いのもと親戚たちの手によって、八尋家の墓に納骨されたそうだ。ずっと一人であの家に置かれているよりはその方がずっといい。
要さんの諸々の件が落ち着いたら、一度一緒に手を合わせに行こうと考えている。
きっとそれが終わらなければ、要さんは先に進めないだろうから。
一人で自宅に置いていくことに後ろ髪を引かれつつも、私は仕事へ向かった。
さっさと終わらせて急いで戻るとしよう。
いつものように駐車場に車を止め、警視庁に入ると何故かザワザワとしている。
チラチラと顔を見られることは普段もなくはないが、今日はやけに目につく。
一体なんなんだ?
少しイライラしつつも自分のデスクに向かうと、すでに出勤していた新海が私に気づいた。
「お、おはようございます。警視正」
「ああ、おはよう。今日も早いな」
「――っ! は、はい」
ただ返事を返しただけだが、新海は何故か頬を赤らめこちらをじっと見てくる。
「何かあったか?」
「い、いえ。その……」
「どうした? 何かあったなら報告しろ!」
なんとも煮え切らない様子に痺れを切らして、少し強めに尋ねれば新海はまだ顔を赤らめたまま声を上げた。
「な、何かあったのは、警視正の方ですよ」
「何? 私がなんだというんだ?」
「なんというか、男のフェロモンを撒き散らしているというか……警視正から出ている色気がすごくて、正直私も警視正の目を見るだけでドキドキするくらいです。警視正、一体何かあったんですか?」
何かあった……そうだな。確かにあった。
愛しい要さんの全てを手に入れて濃密な時間を過ごした。
自分でも驚くほどの欲望を要さんに受け入れてもらった。
要さんを満足させられたことに男としての自信もできたし、何より最愛の相手に幸せだと言われたんだ。
昨日までの私と同じわけがないな。
「何かあったといえば、そうだな。ずっと独身で過ごしてきたがとうとう身を固めることにしたよ。新海、愛しい人と一緒に暮らすというのは幸せなことだな」
実際には結婚という形式は取れないが、ずっと一緒に暮らすのだから同じことだ。
堂々と笑顔で宣言すると、とてつもなく大きなどよめきに包まれた。
* * *
私ごとですが今日は私の誕生日。
その日に冬貴がみんなに幸せを宣言しました♡
皆さんも幸せな一日になりますように……(ㅅ˃̶͈ᴗ˂̶͈⑅)Нαρργஐ:*ஐ
流石にトイレの手伝いまではさせてもらえなかったが、もうしばらく二人で時間を過ごすようになったらさせてもらえる日が来るだろう。
「少し休んでいてください。すぐに朝食を持ってきますね」
要さんは一緒に行きたそうにしていたが、身体が辛いのか大人しく待っていてくれた。
急いでスープとパンを用意して、寝室に運んだ。
一緒にベッドに入り、私がスープを食べさせる。
「あの、自分で……」
最初こそ遠慮している様子だったが、今日は私にお世話させてくださいと頼むと頷いてくれた。
まぁ、今日だけでなくこれからは毎回私が世話をするのだが。その辺はおいおいわかってくれるだろう。
要さんが美味しいと言ってくれたスープを私も食べながら、朝食を済ませた。
「すみません、要さん。午後は休みが取れたんですが午前中は仕事に行かなくてはいけなくて……四時間ほどで帰ってきますから、ゆっくりベッドで休んでいてください」
「わざわざ午後休を? いいんですか?」
「大丈夫です。午後からは特に必要なこともありませんから。それに明日はお休みですし、そのままゆっくり過ごせますよ」
ずっと自分がお世話をする方だったからか、私の世話になるのが気になってしまうらしい。
でも私はもっと要さんに甘えて欲しいんだ。
「絶対に無理しないで休んでいてください。そうでないと痛みが酷くなって数日ベッドの住人になってしまいますよ」
「数日……わかりました。おとなしく過ごしています。だから、冬貴さんも無理しないでくださいね」
「ええ。わかりました。何かあれば……いえ、何かなくても連絡してください」
要さんのスマホを枕元に置いて、そのほか飲み物など必要なものを用意して準備万端で家を出た。
要さんのスマホには、八尋さん関係の人からの連絡はつながらないように設定しておいたから心配はない。
あの家のことも、祖父の史秀さんが雇った弁護士と八尋さんの頼んだ人たちの手によって売却手続きも進んでいると聞いた。資産は全て国に寄付するのだから税金等の心配もない。
史秀さんの遺骨も本来ならば四十九日を待って納骨するのだが、私が要さんと共に家を出た翌日には、弁護士立ち会いのもと親戚たちの手によって、八尋家の墓に納骨されたそうだ。ずっと一人であの家に置かれているよりはその方がずっといい。
要さんの諸々の件が落ち着いたら、一度一緒に手を合わせに行こうと考えている。
きっとそれが終わらなければ、要さんは先に進めないだろうから。
一人で自宅に置いていくことに後ろ髪を引かれつつも、私は仕事へ向かった。
さっさと終わらせて急いで戻るとしよう。
いつものように駐車場に車を止め、警視庁に入ると何故かザワザワとしている。
チラチラと顔を見られることは普段もなくはないが、今日はやけに目につく。
一体なんなんだ?
少しイライラしつつも自分のデスクに向かうと、すでに出勤していた新海が私に気づいた。
「お、おはようございます。警視正」
「ああ、おはよう。今日も早いな」
「――っ! は、はい」
ただ返事を返しただけだが、新海は何故か頬を赤らめこちらをじっと見てくる。
「何かあったか?」
「い、いえ。その……」
「どうした? 何かあったなら報告しろ!」
なんとも煮え切らない様子に痺れを切らして、少し強めに尋ねれば新海はまだ顔を赤らめたまま声を上げた。
「な、何かあったのは、警視正の方ですよ」
「何? 私がなんだというんだ?」
「なんというか、男のフェロモンを撒き散らしているというか……警視正から出ている色気がすごくて、正直私も警視正の目を見るだけでドキドキするくらいです。警視正、一体何かあったんですか?」
何かあった……そうだな。確かにあった。
愛しい要さんの全てを手に入れて濃密な時間を過ごした。
自分でも驚くほどの欲望を要さんに受け入れてもらった。
要さんを満足させられたことに男としての自信もできたし、何より最愛の相手に幸せだと言われたんだ。
昨日までの私と同じわけがないな。
「何かあったといえば、そうだな。ずっと独身で過ごしてきたがとうとう身を固めることにしたよ。新海、愛しい人と一緒に暮らすというのは幸せなことだな」
実際には結婚という形式は取れないが、ずっと一緒に暮らすのだから同じことだ。
堂々と笑顔で宣言すると、とてつもなく大きなどよめきに包まれた。
* * *
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