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番外編
離れたくないのに……
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悠真さんを連れて二人の元に近づくと、おしゃべりに花が咲いていて、要さんのさっきまでの緊張もほぐれているようだ。やはり浅香さんにも来てもらって正解だったな。
誰も知らない人の中に入れるよりはずっと良かった。
「真壁さんのお相手、可愛らしい人ですね」
「ええ、私の大事な姫です」
悠真さんの言葉に、自然に出た言葉で返すと悠真さんが驚いた表情を見せて立ち止まった。
「どうかしましたか?」
「いえ、まさか真壁さんからそんな台詞を笑顔付きでいただけるとは思っていなかったので……」
要さんと出会って、要さんに誤解されたくなくて心のままに告げるのが当然になっていたが、要さんと出会う前の私しか知らない悠真さんから見れば驚くのも無理はない。
「要さんが変えてくれたんです。でもそれは安慶名も同じだったでしょう?」
「そうですね。皆さんも私と出会った頃の伊織さんを見て驚いてましたもんね。真壁さんもやっぱり伊織さんの親友ですね」
悠真さんを紹介してもらった日のことを言っているのだろう。
あの時、終始悠真さんしか目に入らないと言った安慶名の表情に驚かされた。
それ以上に、真琴くんを溺愛する成瀬の姿が強烈で驚かされたが……。
今の私はその時の二人と同じなのかもしれない。
「真壁さんの大事な方を紹介していただけて嬉しいです」
「私の可愛い姫は少し自己評価が低いんですが、本当は優秀な人なんですよ」
「ええ、それは敬介さんと楽しそうにおしゃべりをしている姿でわかります。敬介さんがあれだけ前のめりになってお喋りしているのは珍しいですから」
確かに浅香さんはいつも聞き役が多い印象だ。
それが要さんと一緒の時はお互いが同じだけ喋っている気がする。
悠真さんと浅香さんが一緒にいる時の様子によく似ている。
だからか……。
悠真さんと要さんは相性がいい気がしたんだ。
「要さん」
私は浅香さんとのおしゃべりが一息ついたタイミングで声をかけた。
「あ、冬貴さん……っ」
私を見てさっと立ち上がる要さんの表情全部が一気に笑ったように見えて嬉しくなる。
「彼の満開の花みたいな笑顔を引き出せるのは真壁さんだけですね」
隣にいる悠真さんからそんな声が聞こえてきて、私も笑顔になった。
「要さん。こちら私の大学時代の親友の恋人で砂川悠真さん。西表島の観光ツアー会社の社長秘書というか、社長代理を任されている方ですよ」
「わぁ……綺麗な人……」
要さんがポツリと呟いた言葉に、悠真さんが笑顔を向ける。
「ありがとうございます。でも要さんの方がずっとお綺麗ですよ」
悠真さんににこやかな表情を向けられて要さんの顔が一気に赤くなる。
その表情を見て、思わず要さんを抱きしめてしまった。
「わっ、ふ、冬貴さんっ。あの……どうしたんですか?」
私の腕の中で要さんは驚きの声をあげながら不思議そうに見上げてくる。
けれど、自分でも想定外の行動に言葉が出ない。
「いえ、あの……」
「ふふ、真壁さんの嫉妬を目の当たりにしましたね。敬介さん」
「本当! 真壁さん、可愛い要くんの顔を悠真くんに見られたからって心狭すぎですよ」
「仕方ないですよ、まだ恋人になったばかりですから」
悠真さんと敬介さんの二人に揶揄われて恥ずかしくなるが、腕のなかの要さんはなぜか私をじっと見つめている。
「要さん……あの、あまりにも狭量すぎて引きましたか?」
「ちがっ――、冬貴さんが、嫉妬してくださったなんてびっくりで……でも、嬉しいです」
「要さんっ……」
ああ、もうどうしてこんなに可愛いんだろうな。
まずますこの腕の中から離したくなくなってしまう。
しばらくの間、こうしていたいと願っていたのだがキッチンから大きな声が飛んでくる。
「おい、真壁! イチャイチャしていないでいい加減、こっちを手伝ってくれ」
くそ、もう少し要さんと一緒にいたかったのに。
「ほら、真壁さん。伊織さんが呼んでますから、ここは私たちに任せてください」
「あ、でも……」
「いいから、どうぞ行ってください」
笑顔だが、有無を言わさない表情の二人にそう言われては拒むこともできず、私はすごすごと引き下がるしかなかった。
誰も知らない人の中に入れるよりはずっと良かった。
「真壁さんのお相手、可愛らしい人ですね」
「ええ、私の大事な姫です」
悠真さんの言葉に、自然に出た言葉で返すと悠真さんが驚いた表情を見せて立ち止まった。
「どうかしましたか?」
「いえ、まさか真壁さんからそんな台詞を笑顔付きでいただけるとは思っていなかったので……」
要さんと出会って、要さんに誤解されたくなくて心のままに告げるのが当然になっていたが、要さんと出会う前の私しか知らない悠真さんから見れば驚くのも無理はない。
「要さんが変えてくれたんです。でもそれは安慶名も同じだったでしょう?」
「そうですね。皆さんも私と出会った頃の伊織さんを見て驚いてましたもんね。真壁さんもやっぱり伊織さんの親友ですね」
悠真さんを紹介してもらった日のことを言っているのだろう。
あの時、終始悠真さんしか目に入らないと言った安慶名の表情に驚かされた。
それ以上に、真琴くんを溺愛する成瀬の姿が強烈で驚かされたが……。
今の私はその時の二人と同じなのかもしれない。
「真壁さんの大事な方を紹介していただけて嬉しいです」
「私の可愛い姫は少し自己評価が低いんですが、本当は優秀な人なんですよ」
「ええ、それは敬介さんと楽しそうにおしゃべりをしている姿でわかります。敬介さんがあれだけ前のめりになってお喋りしているのは珍しいですから」
確かに浅香さんはいつも聞き役が多い印象だ。
それが要さんと一緒の時はお互いが同じだけ喋っている気がする。
悠真さんと浅香さんが一緒にいる時の様子によく似ている。
だからか……。
悠真さんと要さんは相性がいい気がしたんだ。
「要さん」
私は浅香さんとのおしゃべりが一息ついたタイミングで声をかけた。
「あ、冬貴さん……っ」
私を見てさっと立ち上がる要さんの表情全部が一気に笑ったように見えて嬉しくなる。
「彼の満開の花みたいな笑顔を引き出せるのは真壁さんだけですね」
隣にいる悠真さんからそんな声が聞こえてきて、私も笑顔になった。
「要さん。こちら私の大学時代の親友の恋人で砂川悠真さん。西表島の観光ツアー会社の社長秘書というか、社長代理を任されている方ですよ」
「わぁ……綺麗な人……」
要さんがポツリと呟いた言葉に、悠真さんが笑顔を向ける。
「ありがとうございます。でも要さんの方がずっとお綺麗ですよ」
悠真さんににこやかな表情を向けられて要さんの顔が一気に赤くなる。
その表情を見て、思わず要さんを抱きしめてしまった。
「わっ、ふ、冬貴さんっ。あの……どうしたんですか?」
私の腕の中で要さんは驚きの声をあげながら不思議そうに見上げてくる。
けれど、自分でも想定外の行動に言葉が出ない。
「いえ、あの……」
「ふふ、真壁さんの嫉妬を目の当たりにしましたね。敬介さん」
「本当! 真壁さん、可愛い要くんの顔を悠真くんに見られたからって心狭すぎですよ」
「仕方ないですよ、まだ恋人になったばかりですから」
悠真さんと敬介さんの二人に揶揄われて恥ずかしくなるが、腕のなかの要さんはなぜか私をじっと見つめている。
「要さん……あの、あまりにも狭量すぎて引きましたか?」
「ちがっ――、冬貴さんが、嫉妬してくださったなんてびっくりで……でも、嬉しいです」
「要さんっ……」
ああ、もうどうしてこんなに可愛いんだろうな。
まずますこの腕の中から離したくなくなってしまう。
しばらくの間、こうしていたいと願っていたのだがキッチンから大きな声が飛んでくる。
「おい、真壁! イチャイチャしていないでいい加減、こっちを手伝ってくれ」
くそ、もう少し要さんと一緒にいたかったのに。
「ほら、真壁さん。伊織さんが呼んでますから、ここは私たちに任せてください」
「あ、でも……」
「いいから、どうぞ行ってください」
笑顔だが、有無を言わさない表情の二人にそう言われては拒むこともできず、私はすごすごと引き下がるしかなかった。
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