Pomegranate I

Uta Katagi

文字の大きさ
70 / 97
第三章 探求

量子と心

しおりを挟む
 段ボール箱の方に戻って、宗教に関係する本を段ボール箱から取り出した後、箱の中を覗くと、『宇宙と量子と心』というタイトルの書籍が目に入った。宇宙や量子という言葉があるので、これは宇宙物理学研究所の本ではないのかと思ったが、その本を開いてみると、これまで見てきた科学の本とは全く違っていた。宇宙と量子の他に、『心』とあった。

 これまで読んだ本では、科学者はこの世界の全ての現象は科学で証明できると言っていた。その考え方は、物質からなる世界、物質世界がこの世界の存在の前提であり、人間の精神や魂は存在するとしても、その存在する物質の中から産まれるものであるとするものだった。

 なので、科学者の夢である統一理論も、物質世界を支配する全ての法則を明らかにすることを目的としていて、そこに精神世界を支配する考え方や哲学などは必要とはされていなかった。先日来の書籍を見ていて、偉い科学者達が言うので、そんなものかなと私も思っていた。

 だけど、この本の概要を記した冒頭のくだりを読むとそうではないと言っていた。この世界には、物質世界の他に精神世界が存在するということを言っていた。

 もちろん、これが宗教家や哲学者であれば、そのような主張をすることは理解できる。私も小さい頃から、両親によく言われていた。悪いことをすると地獄に落ちると。その一方で良い子にしていれば天国に行けるから、良い子にしようねと。

 そういう宗教の話しは、科学に疎い私も、現代科学の対象ではないと思っていた。しかし、この本を執筆した人は著名な科学者だ。その世界的に有名な科学者が、非科学的ともとれる精神世界の存在を認める説を主張しているのには、少し驚いた。


 確かに、人間の意識や魂を精神世界というのなら、それは物質世界とは独立している気がする。地球環境問題なども人間の意思による活動が確実に物質世界に影響していて、人間の意思を考慮しないと、この世界の全てのことは物理法則だけでは説明できないと思う。

 明るい未来にするか、そうでないかは物理の法則ではなく、人間の意識や創造力で決まると考えてみたい。AIがどれだけ発達したとしても、それは過去の情報を大量に調査分析できるだけで、人間の創造力を超えることは出来ないと信じてみたい。

 この話は難しい科学の話しではなく、哲学的な話で興味があったのと、これからの自分の未来のことに関わる問題である気がしたので、詩は本の中身を詳しく読んでみた。そうすると、この話は統一理論の夢に関係していることがわかった。

 現代科学の研究者たち未だにわからないと悩んでいる課題は、広大な宇宙の現象と、見えないくらいに小さな世界の現象。このため、宇宙物理学や量子力学の分野で精力的な研究が進められていて、それらが解決されれば、科学者達の夢である統一理論が完成する。

 これが一般的な科学者たちの理解だ。だけど、わからない問題は本当にそれだけだろうか、人間の心もわかっていないのではないだろうかというのが、この本のテーマだった。

 そもそも、物質から精神が生じるという考え方には問題があり、人の感情や創造力は物理の法則では解明できない神秘だということを、宗教や哲学ではなく科学者らしく脳の中の現象を列挙して、論理的に主張している本だった。
 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

皇帝陛下!私はただの専属給仕です!

mock
恋愛
食に関してうるさいリーネ国皇帝陛下のカーブス陛下。 戦いには全く興味なく、美味しい食べ物を食べる事が唯一の幸せ。 ただ、気に入らないとすぐ解雇されるシェフ等の世界に投げ込まれた私、マール。 胃袋を掴む中で…陛下と過ごす毎日が楽しく徐々に恋心が…。

睡蓮

樫野 珠代
恋愛
入社して3か月、いきなり異動を命じられたなぎさ。 そこにいたのは、出来れば会いたくなかった、会うなんて二度とないはずだった人。 どうしてこんな形の再会なの?

声を聞かせて

はるきりょう
恋愛
動物の声が聞こえる彼女と冷たい第二王子の物語。完成しました。 「……反対されない、というのは、寂しいことだと思いますの。だから…私が反対してさしあげます」  サーシャは最上級の笑顔を浮かべた。そして、思い切り息を吸い込む。 「何でも思い通りいくと思うなよ、くそ王子!!」 「サ、サーシャ様!?」  なりゆきを見守っていたハリオが慌てたようにサーシャの名を呼んだ。一国の王子への暴言は不敬罪で捕まりかねない。けれど、言わずにはいられなかった。  そんなサーシャの言動にユリウスは一瞬目を丸くし、しかしすぐに楽しそうに笑った。  「お前面白いな。本当に気に入った」 小説家になろうサイト様にも掲載してします。

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

【完結】エレクトラの婚約者

buchi
恋愛
しっかり者だが自己評価低めのエレクトラ。婚約相手は年下の美少年。迷うわー エレクトラは、平凡な伯爵令嬢。 父の再婚で家に乗り込んできた義母と義姉たちにいいようにあしらわれ、困り果てていた。 そこへ父がエレクトラに縁談を持ち込むが、二歳年下の少年で爵位もなければ金持ちでもない。 エレクトラは悩むが、義母は借金のカタにエレクトラに別な縁談を押し付けてきた。 もう自立するわ!とエレクトラは親友の王弟殿下の娘の侍女になろうと決意を固めるが…… 11万字とちょっと長め。 謙虚過ぎる性格のエレクトラと、優しいけど訳アリの高貴な三人の女友達、実は執着強めの天才肌の婚約予定者、扱いに困る義母と義姉が出てきます。暇つぶしにどうぞ。 タグにざまぁが付いていますが、義母や義姉たちが命に別状があったり、とことんひどいことになるザマァではないです。 まあ、そうなるよね〜みたいな因果応報的なざまぁです。

愛しの第一王子殿下

みつまめ つぼみ
恋愛
 公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。  そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。  クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。  そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。

不能と噂される皇帝の後宮に放り込まれた姫は恩返しをする

矢野りと
恋愛
不能と噂される隣国の皇帝の後宮に、牛100頭と交換で送り込まれた貧乏小国の姫。 『なんでですか!せめて牛150頭と交換してほしかったですー』と叫んでいる。 『フンガァッ』と鼻息荒く女達の戦いの場に勢い込んで来てみれば、そこはまったりパラダイスだった…。 『なんか悪いですわね~♪』と三食昼寝付き生活を満喫する姫は自分の特技を活かして皇帝に恩返しすることに。 不能?な皇帝と勘違い姫の恋の行方はどうなるのか。 ※設定はゆるいです。 ※たくさん笑ってください♪ ※お気に入り登録、感想有り難うございます♪執筆の励みにしております!

処理中です...