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「私は旦那様の妻ですから……」
とても不出来な妻ですが、旦那様の誠実さには応えたいと思うのです。三度目の結婚は良いものだったと、少しでも思っていただきたいのです。
身の置きどころのない私が大事にされて、私はもうとても幸せなのですから。
「ああ、君が、僕の愛する妻だ」
「んっ……」
唇が触れて私は、馬車がひどく揺れたのだと思いました。
だからこうしてキスをしてしまったのでしょう。けれどぶつかったままで、旦那様が離れていくことはありませんでした。
それどころか旦那様の腕が、私の背中を、腰をするりと撫でました。
「あ」
「ミラレッタ……」
「だんな、さ、ま」
がたがたと世界は揺れています。そんな中でも旦那様の腕はしっかりと私を抱きしめています。
狭い馬車の中で、更に狭い場所だけを使っています。偏った重みで馬車がひっくり返ってしまうのではないかと、馬鹿なことを考えました。
でも、それでも、旦那様の腕は離れることはないだろうと思いました。そのくらいに私は安心してしまっているのです。
愚かなことでしょうか。
ずいぶん感情的で、不感症とは対極のようです。
私がぼんやり考えにふける間も、旦那様の手のひらは私を愛撫しています。思わず私はあくびを噛み殺しました。がたん、がたん、と揺れる響きさえ、子守唄のように感じられてきたのです。
ぬくもりはいけません。
眠くなってしまいます。
「ミラレッタ」
旦那様の声にはどんどん熱がこもり、指先はきわどい場所に入り込みます。私は眠気をこらえるのに必死でいます。やはり私は不感症なのでしょう。
がた、がた、ゆらゆら、触れる手はあたたかく。
けれど馬車の中です。
私は旦那様の離婚理由が二度とも「絶倫だから」だったことを思います。きっと旦那様はこうして、いつも全力で愛を示していたのでしょう。
今だって、これほど熱心に私を求めてくれています。元夫の義務的で、雑な手つきとはまるで違うのです。
だから私の眠気も退屈からきたものではなく、安心から来た、心地よすぎるものでした。
ああ、濡れない体を強引に開かせるのではなく、ねち、ねち、と浅い部分に潤いをこすりつけてきます。するとだんだん熱が混ざってきて、私の中に入ってきます。ひとつのものになるという言葉が、とてもふさわしく思えるのでした。
私は不感症ですが、元夫との性交には消しようのない違和感がありました。旦那様との交歓にはそれがありません。
ただ馬車の中です。がた、がた、と揺れるのです。
「ふふ……」
私は思わず笑ってしまいました。
何をしているのでしょうか。熱い。熱いから、じわりと肌が湿っていきます。すこし滑りの悪くなったてのひらが、つ、つ、と私を愛撫します。
「ミラレッタ……とても素敵だ。ああ、君の中は……とても……」
感極まったように旦那様が言葉をなくすので、私はその頭をそっと撫でてあげました。口づけをされると甘いのです。旦那様の飲み込まれた言葉が、そのくらい甘かったのでしょう。
「う、ん……」
旦那様の熱意に応えたくて、私は少しだけ腰を揺らめかせました。
すると、じんわり、中を溶かすようなじれったい感覚がありました。これも甘さです。お腹の中で噛み締めた旦那様は、とても甘いのです。
とても不出来な妻ですが、旦那様の誠実さには応えたいと思うのです。三度目の結婚は良いものだったと、少しでも思っていただきたいのです。
身の置きどころのない私が大事にされて、私はもうとても幸せなのですから。
「ああ、君が、僕の愛する妻だ」
「んっ……」
唇が触れて私は、馬車がひどく揺れたのだと思いました。
だからこうしてキスをしてしまったのでしょう。けれどぶつかったままで、旦那様が離れていくことはありませんでした。
それどころか旦那様の腕が、私の背中を、腰をするりと撫でました。
「あ」
「ミラレッタ……」
「だんな、さ、ま」
がたがたと世界は揺れています。そんな中でも旦那様の腕はしっかりと私を抱きしめています。
狭い馬車の中で、更に狭い場所だけを使っています。偏った重みで馬車がひっくり返ってしまうのではないかと、馬鹿なことを考えました。
でも、それでも、旦那様の腕は離れることはないだろうと思いました。そのくらいに私は安心してしまっているのです。
愚かなことでしょうか。
ずいぶん感情的で、不感症とは対極のようです。
私がぼんやり考えにふける間も、旦那様の手のひらは私を愛撫しています。思わず私はあくびを噛み殺しました。がたん、がたん、と揺れる響きさえ、子守唄のように感じられてきたのです。
ぬくもりはいけません。
眠くなってしまいます。
「ミラレッタ」
旦那様の声にはどんどん熱がこもり、指先はきわどい場所に入り込みます。私は眠気をこらえるのに必死でいます。やはり私は不感症なのでしょう。
がた、がた、ゆらゆら、触れる手はあたたかく。
けれど馬車の中です。
私は旦那様の離婚理由が二度とも「絶倫だから」だったことを思います。きっと旦那様はこうして、いつも全力で愛を示していたのでしょう。
今だって、これほど熱心に私を求めてくれています。元夫の義務的で、雑な手つきとはまるで違うのです。
だから私の眠気も退屈からきたものではなく、安心から来た、心地よすぎるものでした。
ああ、濡れない体を強引に開かせるのではなく、ねち、ねち、と浅い部分に潤いをこすりつけてきます。するとだんだん熱が混ざってきて、私の中に入ってきます。ひとつのものになるという言葉が、とてもふさわしく思えるのでした。
私は不感症ですが、元夫との性交には消しようのない違和感がありました。旦那様との交歓にはそれがありません。
ただ馬車の中です。がた、がた、と揺れるのです。
「ふふ……」
私は思わず笑ってしまいました。
何をしているのでしょうか。熱い。熱いから、じわりと肌が湿っていきます。すこし滑りの悪くなったてのひらが、つ、つ、と私を愛撫します。
「ミラレッタ……とても素敵だ。ああ、君の中は……とても……」
感極まったように旦那様が言葉をなくすので、私はその頭をそっと撫でてあげました。口づけをされると甘いのです。旦那様の飲み込まれた言葉が、そのくらい甘かったのでしょう。
「う、ん……」
旦那様の熱意に応えたくて、私は少しだけ腰を揺らめかせました。
すると、じんわり、中を溶かすようなじれったい感覚がありました。これも甘さです。お腹の中で噛み締めた旦那様は、とても甘いのです。
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