これから君と

レインボー

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第一章 始まり

19

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アルside

あぁ、熱い、痛い。

苦しい、頭が割れそうだ。

はじめのうちはただの風邪だと思っていた。
しかし、日がたつにつれどんどん症状が悪化してきた。

レイにはとても心配そうな顔をされ、大丈夫だと言ってやりたかったがあまりの痛みにそう言ってやることができなかった。

そして食欲もなくなり、ベッドから出ることさえむずかしくなってきた。

レイは俺の看病をしながらお金を稼いだり、俺の症状を調べたりしてくれたが、見つからなかった。

その時には俺は起きることもできず、ほとんどが寝ている状態だった。

最近は、特定の夢を見るようになった。

その夢はどこか悲しくて、辛くて苦しい夢だった。

そして夢に出てくるのは俺に似たような人物と女の魔法使いだった。

────────────────────

「どうして私を愛してくれないんですか⁉私はこんなにもあなたを愛せているのに」

女は国一番の権力者で、男は神の愛し子だった。

どうやらこの世界にも愛し子は二人いてその二人は恋仲だった。

恋仲だった二人は国一番の権力者である女王によって関係を引き裂かれた。

女王は愛し子の片割れに恋をしたらしく、もう片方の愛し子を殺し、もう片方を自分の王配にした。

片割れを殺された男は女王を殺そうとした。

しかし、それはできなかった、なぜなら男は魔力封じの枷をはめられたからだ。

それから男はしゃべることもせず食事をとることをしなくなった。

食事を無理に食べさせようとしてもかたくなに口を開けることはしなかった。

それから女王は、必死に魔術を研究し、なんとか生きながらせる方法を見つけた。

それが血を飲ませることだった。

早速その魔術を男にかけ、自分の血を飲ませた。

しかし、男はその血を飲むどころか拒絶反応が出た。

女王はその魔術をよく理解できていなかった、なんせ古代文字でかかれていて、はっきりと読み解けていないまま魔術を使用していたのだった。

その魔術にはある特性が存在していた。

その特性は、魂が受けず枯れたものにもこの魔術はかかり、自らが望んだ相手以外の血を飲むことはできないというものだった。

なぜこのような魔術が存在しているのかは魔術の作成者でないとわからないことだが、今いえることは、この男は女王様を受け入れることはできず、ただ静かに朽ちていくだけとなった。

女王様は男が死ぬまで必死に解決策を探したが見つからなかった。

そしてその見た目はまるで魔女のようだったことから女王様は国民から魔女と言われるようになった。

「なぜ、私を愛してくださらなかったの、私の何がいけなかったの。ただ愛している人に自分だけを見てもらいたかったのに」

女王様はそう言いながら男の死を見届けた。


アルは自然と目が覚めた。

アルは、この夢を見て今まさに自分がかかっているのはこの魔術ではないかと思った。
ここまではっきり見たのは今が初めてである。

そして、自分はこの男の魂を引き継いでいて、きっとレイもあの殺されたものの魂を引き継いでいるとなぜか直感した。
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