1 / 9
最初で最後に
しおりを挟む
「これから貴様の裁判を始める。なにかいいたいことはあるか?」
「あるよ」
あぁ、ついに始まった。
僕は自分のやったことが悪いとは思わない。
─────────────────
僕の名前はルノー
僕は、皆から嫌われている。
呪いの象徴とされる黒髪に赤い目をもって生まれたから、それでも五歳くらいまでは大事にされていた記憶はある。
僕が六歳の誕生日の時、お母さんが死んだ。
周りの大人たちはお母さんがいたから僕に優しくしていただけだった。
そしてその日から、ご飯は不味かったけどもらえた。
でも僕を殴ったり蹴ったりしてきた。
やめて、痛いって何度も言った。でも、皆笑ってやめてくれなかった。父親でさえも見て見ぬふりをした。
この国では12歳から学園に通う必要があって、お父さんが世間体をきにして、僕は通っていた。
学園に通って二年がたった頃かな?
僕はそこで君を見つけた。
君はたくさんの人に囲まれてとても楽しそうに笑って、幸せそうだった。
でも、その子は僕と同じ見た目だった。
その時、僕はどう思ったと思う?
僕と同じ忌み子なのに、何で君は笑っていられるの?
なんで周りに人がいるの?
どうして幸せそうなのって思ったんだ。
僕はこんなに辛いのに苦しいのに。
助けを求めたって誰も助けてくれなかったのにッ
それなのに君は公爵の息子である僕に対してこういってきたよねぇ?
〝あなたが壁をつくってるから誰も寄り付けないんじゃないんですか?〟ってね。
ねぇその時、僕はどんな気持ちだったかわかる?
壁をつくってる?誰も寄り付かない?
そっちが先に〝僕〟を否定したのに。
忌み子だから、一緒にいると呪われるって言ってきたのに?
じゃあ、お前らのとなりにいるそいつはなんだ?
僕と同じ忌み子じゃないのか?
何が違うんだ?同じ忌み子だろ?
それなのに僕と一緒にいてくれた大切な人をお前らは殺した。
知ってた?
僕と一緒にいてくれた大切な人はいじめられて、最後は屋上から突き落とされたんだ。
君の周りにいるやつらにね!
その時、そいつらがなんていったかわかる?
「その男もお前に関わらなければ生きていられたのにな」って嘲笑ってきたんだ。
知らなかった?
それなのに君はなんにも知らないでのうのうと生きて僕に説教じみたことを行ってハハッ。
ほんと、無知って怖いねー。
だからむかつく。
僕と同じ苦しみを味わえばいいのに。
だから、僕はいじめたのさ。
あぁ、でも僕がやってないこともやったって言われたときすっげぇ腹立ったな~。
でも、とても楽しかったし面白かったからいいかなー?
だって、お前らがやって来たことをそっくりそのままやり返すことができたから。
─────────────────
「それが貴様のしでかした理由か?」
「理由?フフッそうだよ。だっておかしいでしょ?僕と同じ忌み子なのに幸せそうにいるんだから。忌み子は幸せになってはいけない。」
「ッそんなことない!皆幸せになるべきなんだ!」
「フフフッアハハッ、
君はおかしなことを言うねぇ?
この世界じゃあこれが当たり
前なんだ。みんながみんな君
みたいに愛される訳じゃな
い」
「それはッ」
「違わないでしょ?実際に君はみてきたはずだよ」
そう、君はみてきたんだ。
それを見て見ぬふりをしていたんだ。
君が何かを言う前に僕は隠し持っていた短刀を取り出した。
本当、君らは詰めが甘いよ。
君を守るように立ってた奴らは一斉に剣を構えだした。
ハハハッ、そんなことしても意味ないのに。まぁでも都合がいいのかな?
そう思って僕は短刀を大きくふりかざし自分に刺した。
刺したときの感触ってずいぶん生々しいんだな。
あぁ痛いなぁ、けどあったかい。
口からたくさんの血をはいた。
視界は霞んで、周りの声も聞きにくくなってきた。
痛い、痛いなぁ。
これ以上の我慢はもう無理だよ。
君のいなくなった世界はとてもつまらないんだ。
だから今そっちに向かうことを許して?
「愛してるよ、アル」
来世でまた、一緒になれたらいいな……
「あるよ」
あぁ、ついに始まった。
僕は自分のやったことが悪いとは思わない。
─────────────────
僕の名前はルノー
僕は、皆から嫌われている。
呪いの象徴とされる黒髪に赤い目をもって生まれたから、それでも五歳くらいまでは大事にされていた記憶はある。
僕が六歳の誕生日の時、お母さんが死んだ。
周りの大人たちはお母さんがいたから僕に優しくしていただけだった。
そしてその日から、ご飯は不味かったけどもらえた。
でも僕を殴ったり蹴ったりしてきた。
やめて、痛いって何度も言った。でも、皆笑ってやめてくれなかった。父親でさえも見て見ぬふりをした。
この国では12歳から学園に通う必要があって、お父さんが世間体をきにして、僕は通っていた。
学園に通って二年がたった頃かな?
僕はそこで君を見つけた。
君はたくさんの人に囲まれてとても楽しそうに笑って、幸せそうだった。
でも、その子は僕と同じ見た目だった。
その時、僕はどう思ったと思う?
僕と同じ忌み子なのに、何で君は笑っていられるの?
なんで周りに人がいるの?
どうして幸せそうなのって思ったんだ。
僕はこんなに辛いのに苦しいのに。
助けを求めたって誰も助けてくれなかったのにッ
それなのに君は公爵の息子である僕に対してこういってきたよねぇ?
〝あなたが壁をつくってるから誰も寄り付けないんじゃないんですか?〟ってね。
ねぇその時、僕はどんな気持ちだったかわかる?
壁をつくってる?誰も寄り付かない?
そっちが先に〝僕〟を否定したのに。
忌み子だから、一緒にいると呪われるって言ってきたのに?
じゃあ、お前らのとなりにいるそいつはなんだ?
僕と同じ忌み子じゃないのか?
何が違うんだ?同じ忌み子だろ?
それなのに僕と一緒にいてくれた大切な人をお前らは殺した。
知ってた?
僕と一緒にいてくれた大切な人はいじめられて、最後は屋上から突き落とされたんだ。
君の周りにいるやつらにね!
その時、そいつらがなんていったかわかる?
「その男もお前に関わらなければ生きていられたのにな」って嘲笑ってきたんだ。
知らなかった?
それなのに君はなんにも知らないでのうのうと生きて僕に説教じみたことを行ってハハッ。
ほんと、無知って怖いねー。
だからむかつく。
僕と同じ苦しみを味わえばいいのに。
だから、僕はいじめたのさ。
あぁ、でも僕がやってないこともやったって言われたときすっげぇ腹立ったな~。
でも、とても楽しかったし面白かったからいいかなー?
だって、お前らがやって来たことをそっくりそのままやり返すことができたから。
─────────────────
「それが貴様のしでかした理由か?」
「理由?フフッそうだよ。だっておかしいでしょ?僕と同じ忌み子なのに幸せそうにいるんだから。忌み子は幸せになってはいけない。」
「ッそんなことない!皆幸せになるべきなんだ!」
「フフフッアハハッ、
君はおかしなことを言うねぇ?
この世界じゃあこれが当たり
前なんだ。みんながみんな君
みたいに愛される訳じゃな
い」
「それはッ」
「違わないでしょ?実際に君はみてきたはずだよ」
そう、君はみてきたんだ。
それを見て見ぬふりをしていたんだ。
君が何かを言う前に僕は隠し持っていた短刀を取り出した。
本当、君らは詰めが甘いよ。
君を守るように立ってた奴らは一斉に剣を構えだした。
ハハハッ、そんなことしても意味ないのに。まぁでも都合がいいのかな?
そう思って僕は短刀を大きくふりかざし自分に刺した。
刺したときの感触ってずいぶん生々しいんだな。
あぁ痛いなぁ、けどあったかい。
口からたくさんの血をはいた。
視界は霞んで、周りの声も聞きにくくなってきた。
痛い、痛いなぁ。
これ以上の我慢はもう無理だよ。
君のいなくなった世界はとてもつまらないんだ。
だから今そっちに向かうことを許して?
「愛してるよ、アル」
来世でまた、一緒になれたらいいな……
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
契約結婚だけど大好きです!
泉あけの
BL
子爵令息のイヴ・ランヌは伯爵ベルナール・オルレイアンに恋をしている。
そんな中、子爵である父からオルレイアン伯爵から求婚書が届いていると言われた。
片思いをしていたイヴは憧れのベルナール様が求婚をしてくれたと大喜び。
しかしこの結婚は両家の利害が一致した契約結婚だった。
イヴは恋心が暴走してベルナール様に迷惑がかからないようにと距離を取ることに決めた。
......
「俺と一緒に散歩に行かないか、綺麗な花が庭園に咲いているんだ」
彼はそう言って僕に手を差し伸べてくれた。
「すみません。僕はこれから用事があるので」
本当はベルナール様の手を取ってしまいたい。でも我慢しなくちゃ。この想いに蓋をしなくては。
この結婚は契約だ。僕がどんなに彼を好きでも僕達が通じ合うことはないのだから。
※小説家になろうにも掲載しております
※直接的な表現ではありませんが、「初夜」という単語がたびたび登場します
優秀な婚約者が去った後の世界
月樹《つき》
BL
公爵令嬢パトリシアは婚約者である王太子ラファエル様に会った瞬間、前世の記憶を思い出した。そして、ここが前世の自分が読んでいた小説『光溢れる国であなたと…』の世界で、自分は光の聖女と王太子ラファエルの恋を邪魔する悪役令嬢パトリシアだと…。
パトリシアは前世の知識もフル活用し、幼い頃からいつでも逃げ出せるよう腕を磨き、そして準備が整ったところでこちらから婚約破棄を告げ、母国を捨てた…。
このお話は捨てられた後の王太子ラファエルのお話です。
愛などもう求めない
一寸光陰
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる