恋子のいちご日記 / ほぼ毎日20時連載

第1章 1972年1月

1972年1月23日日曜日

ふと思った。私がもし、「愛媛に連れて行って」と一言、トキオに言えば

私たちは別れずにいられるだろうか。

　私だって、今年で23才。高校を卒業して釈迦に出た子たちなら結婚して子どもがいてもおかしくない年よ。

　よく私と同じぐらいの年のお母さんが赤ちゃんをおぶって買い物をしているもの。クラスメイトの何人かも、卒業後、結婚が決まっている。少ないけどいる。

　そういえば、母は私の大学進学に反対していたな。

「ハイミスになったらどうするつもりなの？」ーー嫌だったな～。


私は英語を生かした仕事をしたかったから。ハイミスでも好きな仕事ができたらいいなと。

　でも結局、父の縁故で印刷会社の事務員どまり。女には社会はとても冷たい。

　もういっそのことミカン農家の嫁になるのもいいんじゃないかしら。




時代背景


1972年当時、女性の平均初婚年齢は24.7才。25才で結婚しないというのは、
今で言うと、30才過ぎても結婚しないというイメージだっただろう。

男性と女性の経済的格差を結婚制度で解決させている時代だったので、
女性が一人で生きていくことは困難なことであった。

結婚しない女性を「ハイミス」と揶揄される。セクハラという言葉もなかった。