異世界に転生したけどトラブル体質なので心配です

小鳥遊 ソラ(著者名:小鳥遊渉)

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241.2怪しい帆船2(消えた帆船)✔

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 爆裂弾を取りに帰り戻って来たら、帆船の姿が無くなっていた。辺りを探してみても見つけることはできなかった。まるで何かに化かされたみたいだ。

 帆船がもう一隻いて、曳航していたなら見失うほどの時間は離れていない。沈んだのであれば帆船の残骸が海に漂っているはずだが、それも見つからなかった。

 どうやって操船したのか不思議でならないが、南側には小さな島が点在している。きっとどこかに帆船を隠すことができるのだろう。

 邪神教の帆船を探すことも重要だが、人魚の未来がかかっている。シーサーペントの討伐を優先しなければならない。早々に帆船を探すことを止め、実験を続けることにした。

 情けないことに、騒動で二隻目のボートを失ってしまった。再度、港まで戻ると三隻目のボートに肉を積み込む。ロープで引っ張って先程の場所まで飛んで来た。

 ボートから海の中にロープで肉をぶら下げる。すると、数分でサメがボートの周りに集まり始めた。

 海の中の肉にサメが喰らいつき暴れている。あまり時間を空けずに十メートルほどのシーサーペント数匹が姿を現した。サメに襲い掛かっている。辺りが血で染まり始めるとどんどんとサメが集まり、シーサーペントも集まる。小さめなシーサーペントは、おおきなサメに襲われているようだ。捕食者同士、入り乱れての戦いになっている。待っていればあの大きなシーサーペントも現れるかもしれない。

 待ってみたが宴は終了し、いつの間にかサメもシーサーペントも姿が見えなくなってしまった。サメは大きなモノは七メートル以上にあり、かなり狂暴でシーサーペントも襲って食べることが分かった。もしかするとメガロドン並みの十メートル~二十メートルの大きさの奴もいるかもしれないな。

 シーサーペントを集める方法も確認することができた。大きなシーサーペントが現れるかどうかについては運次第だな。魔大陸に行くため、この島に長く留まるのは避けたい。明日には計画を実行に移しできるだけ討伐することにしよう。

◇    ◇

 樽にロープを結んだもの用意してもらう。招待してもらった時の大きな樽も含まれている。ロープの反対側の先は大きな輪の状態にしてもらった。

 漁船のなかでも大きいものを準備してもらう。この漁船にも端を輪にしたロープを何本も結び付けている。

 漁船に樽を積み込むと、お肉を積み込んだボートを曳航する。島の南側に漁船を曳航して来たので皆には帆船に移ってもらい退避してもらう。漁船の船縁にロープで結んだ肉をぶら下げる。

 後はシーサーペントが現れるのを待つだけ。漁船の上でのんびりと待つことにする。この漁船の上にもお肉を積み込んでいる。今回のお肉は特別しようだ。ヤドクガエルのような強力な毒と、ウミヘビの強力な毒を人魚から譲り受け、これを肉の中に入れている。

 さらに爆裂弾も、中に鉄の釘や毒も詰めて普段の倍の大きさで製作した。ちゃんと爆発するのかが実験できていないが、毒だけでは心もとないので急いで作成している。

 お出ましのようだ。サメがボートの周りに集まり始めて肉に食いついている。ロープが繋がっているボートが揺れ始めた。

 宴の始まりだ。シーサーペントが現れた。数がだんだんと増えている。そろそろ上空に飛び上がった方がよさそうだ。そう思ったところにシーサーペントの首が海から伸びて来た。危なかった。油断しないように気をつけなければ。

 肉はロープで船にぶら下げているので動いて見える。それが功を奏したのだろう。肉を巻きつけた爆裂弾に喰らいついている。毒の効果はないのだろうか? この毒は食べただけでは無害なのか? それとも体の大きさ的に量が足りないのだろうか? 

 小さなシーサーペントの何匹かがおかしな動きをしている。毒が効いてきたようだな。今のうちに棒手裏剣を投擲して討伐することにした。上空高く飛び上がり急降下から棒手裏剣を射出して急上昇する。シーサーペントの動きがおかしいので、簡単に当てることができた。水魔法が発動できなかったのではないだろうか。

 漁船の周りがシーサーペントで凄いことになり始めた。肉に喰らいついているがロープが結ばれているためグルグルとローリングして引き千切ろうとしている。

 今なら爆裂弾を発動ができそうだ。危険だが船の上に降り立つと爆裂弾を魔力操作した。肉巻き爆裂弾に喰らいついていたシーサーペントの頭が爆発していく。

 一度に六匹ほど倒すことができた。これで十メートル級のシーサーペントを少しは減らすことができたのではないだろうか。 

 なかなか大きなシーサーペントが現れないと思っていたら、昨日の帆船を引っ張って現れた。

 帆船が消えた理由は、シーサーペントに引っ張らせていたからだな。そこまで操ることができるとは思ってもいなかった。
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