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269.1エルフ国の次の町へ1(お供はエルフとドワーフ)✔
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ガンツさんに明日出発すると挨拶に行ったら、トールとオールが一緒にお酒を飲んでいた。
チビとベビ迄一緒にいるではないか。姿が見えないと思っていたら、ドワーフと一緒にいたんだな。
〈ベビ、チビ楽しそうにしているね〉
〈楽しいノ! このおじちゃんが美味しいものをたくさん食べさせてくれるノ〉〈そうダォ! このおじちゃんはいいおじちゃんなんダォ!〉
ガンツさんがベビとチビを食べ物で釣って連れて来たみたいだな。やけに楽しそうにしていると思ったら龍と友達だと自慢しているようだ。
「ガンツさん、明日ここを出発するのでお別れの挨拶に来ました。お世話になりました。トンネル工事はガンツさん達なら問題なく作れると信じています! それと、ベビとチビの面倒を見てもらってありがとうございました」
「任せておけ! 今回のお前の設計図もいい出来だった。お前が作ったようなものだからな! 龍とはこんなに仲良くなっているぞ!」
ガンツさんが恐る恐るベビとチビを両脇に抱えようとする。だが、ベビとチビがいち早く逃げ出して俺の体に巻き付いてきた。
「またダメか」
ガンツさんがボソリとつぶやき残念そうにしている。この調子なら何度かチャレンジしていそうだな。
「今回の仮のトンネル工事で、ガンツさん達ドワーフの土魔法と技術力のすごいのがよく分かりました!」
「分かってくれるか、そう言ってくれるのはエルフの女王とアルフレッドくらいだ!」
ガンツさんの表情がぱぁっと明るくなり、少し胸を張った。誇らしげにさえ見える。
「アルフレッド、会えてよかった。俺達戻って来れたから一緒に龍の所まで護衛するよ!」
トールが話に入って来た。さっきから声をいつ掛けようかとしているのはなんとなく感じていた。
「ここからエルフの森まででも五日も掛かるんだよ。龍の所までどれだけかかるか分からないし、危険かもしれないよ!」
「龍を討伐しに行くなら危険だけど、アルフレッドは龍と仲がいいみたいだから大丈夫だろう! それにエルフが護衛してくれるなら、弓と精霊魔法が使えて強いから安心だな!」
「エルフの森まで一緒に行くだけだよ!」
「次期女王のエルフが、勇者様と龍の所まで一緒に行くとあちこちで言ってたんだけどおかしいな!?」
トールとオールが見つめ合って、首を傾げている。
「エルフの女王様から聞いたから間違いないよ!」
「魔の森の深い場所は強い魔物が多いからな。……エルフが行かなくても勇者の仲間の末裔だから行くよ! 俺達、力だけは自信があるんだ!」
トールとオールは悩んでいたが、うんうんと頷くと、手に持ったジョッキを一気に飲み干した。
「エルフのお酒は美味しい! アルフレッドのお陰で普段飲めないお酒が飲めて最高だよ!」
ふたりともかなりお酒が入っているようだ。
「トールとオールは行くと言っているから連れて行ってくれ!」
「ガンツさん! 危険かもしれないから、かわいい孫に何かあったら困りますよ!」
「運が悪ければ、丈夫なドワーフでも死ぬ時は死ぬ! 鉱山での落盤や浸水に、魔物や盗賊に襲われることもある。今回のように船が沈むことだってあるんだぞ。それは運命だから受け入れるしかなかろう!」
「トールとオールは行くんだろ!」
ガンツさんがトールとオールの顔を見るとふたりとも親指を立て、ニカッと微笑んで「行く」と返事をした。
明日朝立つことと、宿泊している宿を伝えると、泊る宿が無いから泊めてほしいとお願いされた。
ガンツさんと別れて宿に戻って来たが、トールから地位が上のエルフが泊る宿であることを聞かされた。どおりで高そうな宿だったわけだ。
ふたりは体を流せることが分かると、直ぐに向かいスッキリした表情で部屋に戻って来た。二言三言会話したら、お酒と疲れのせいかガーガーと鼾をかいて寝付いてしまった。お陰で俺は寝不足になりそうだ。
朝食は焼き魚と沢山のニンジンやジャガイモ、それに卵丸々一個が入ったスープだ。塩コショウとハーブか香草で香りもつけられている。パンも魔大陸で食べた中では一番ふっくらとして美味しい。流石は地位が上のエルフの泊る宿だな。パンがもう少しフワフワなら百点満点だが、酵母菌の膨らませる力が弱いのだろう。
他にもベーコンのようなお肉を焼いたものと、目玉焼きにサラダが出てきた。サラダのドレッシングが酸っぱ辛いモノだったが、辛い粉を少なくしてもらうとさっぱりして美味しい。
パンに挟んで食べたかったが、周りのエルフを見ると木製のナイフとフォークで食べていたので止めておいた。
朝食を食べ終わるといよいよ宿を立つことになったんだけど、エルフもドワーフも酒臭いし、だるそうにしている。きっと二日酔いなのだろう。アルコール度数は低めだけど、お酒はどれも濁って泡もプクプク出ていたからね。これからヤーク車に揺られてケロケロしなければいいけど。
チビとベビ迄一緒にいるではないか。姿が見えないと思っていたら、ドワーフと一緒にいたんだな。
〈ベビ、チビ楽しそうにしているね〉
〈楽しいノ! このおじちゃんが美味しいものをたくさん食べさせてくれるノ〉〈そうダォ! このおじちゃんはいいおじちゃんなんダォ!〉
ガンツさんがベビとチビを食べ物で釣って連れて来たみたいだな。やけに楽しそうにしていると思ったら龍と友達だと自慢しているようだ。
「ガンツさん、明日ここを出発するのでお別れの挨拶に来ました。お世話になりました。トンネル工事はガンツさん達なら問題なく作れると信じています! それと、ベビとチビの面倒を見てもらってありがとうございました」
「任せておけ! 今回のお前の設計図もいい出来だった。お前が作ったようなものだからな! 龍とはこんなに仲良くなっているぞ!」
ガンツさんが恐る恐るベビとチビを両脇に抱えようとする。だが、ベビとチビがいち早く逃げ出して俺の体に巻き付いてきた。
「またダメか」
ガンツさんがボソリとつぶやき残念そうにしている。この調子なら何度かチャレンジしていそうだな。
「今回の仮のトンネル工事で、ガンツさん達ドワーフの土魔法と技術力のすごいのがよく分かりました!」
「分かってくれるか、そう言ってくれるのはエルフの女王とアルフレッドくらいだ!」
ガンツさんの表情がぱぁっと明るくなり、少し胸を張った。誇らしげにさえ見える。
「アルフレッド、会えてよかった。俺達戻って来れたから一緒に龍の所まで護衛するよ!」
トールが話に入って来た。さっきから声をいつ掛けようかとしているのはなんとなく感じていた。
「ここからエルフの森まででも五日も掛かるんだよ。龍の所までどれだけかかるか分からないし、危険かもしれないよ!」
「龍を討伐しに行くなら危険だけど、アルフレッドは龍と仲がいいみたいだから大丈夫だろう! それにエルフが護衛してくれるなら、弓と精霊魔法が使えて強いから安心だな!」
「エルフの森まで一緒に行くだけだよ!」
「次期女王のエルフが、勇者様と龍の所まで一緒に行くとあちこちで言ってたんだけどおかしいな!?」
トールとオールが見つめ合って、首を傾げている。
「エルフの女王様から聞いたから間違いないよ!」
「魔の森の深い場所は強い魔物が多いからな。……エルフが行かなくても勇者の仲間の末裔だから行くよ! 俺達、力だけは自信があるんだ!」
トールとオールは悩んでいたが、うんうんと頷くと、手に持ったジョッキを一気に飲み干した。
「エルフのお酒は美味しい! アルフレッドのお陰で普段飲めないお酒が飲めて最高だよ!」
ふたりともかなりお酒が入っているようだ。
「トールとオールは行くと言っているから連れて行ってくれ!」
「ガンツさん! 危険かもしれないから、かわいい孫に何かあったら困りますよ!」
「運が悪ければ、丈夫なドワーフでも死ぬ時は死ぬ! 鉱山での落盤や浸水に、魔物や盗賊に襲われることもある。今回のように船が沈むことだってあるんだぞ。それは運命だから受け入れるしかなかろう!」
「トールとオールは行くんだろ!」
ガンツさんがトールとオールの顔を見るとふたりとも親指を立て、ニカッと微笑んで「行く」と返事をした。
明日朝立つことと、宿泊している宿を伝えると、泊る宿が無いから泊めてほしいとお願いされた。
ガンツさんと別れて宿に戻って来たが、トールから地位が上のエルフが泊る宿であることを聞かされた。どおりで高そうな宿だったわけだ。
ふたりは体を流せることが分かると、直ぐに向かいスッキリした表情で部屋に戻って来た。二言三言会話したら、お酒と疲れのせいかガーガーと鼾をかいて寝付いてしまった。お陰で俺は寝不足になりそうだ。
朝食は焼き魚と沢山のニンジンやジャガイモ、それに卵丸々一個が入ったスープだ。塩コショウとハーブか香草で香りもつけられている。パンも魔大陸で食べた中では一番ふっくらとして美味しい。流石は地位が上のエルフの泊る宿だな。パンがもう少しフワフワなら百点満点だが、酵母菌の膨らませる力が弱いのだろう。
他にもベーコンのようなお肉を焼いたものと、目玉焼きにサラダが出てきた。サラダのドレッシングが酸っぱ辛いモノだったが、辛い粉を少なくしてもらうとさっぱりして美味しい。
パンに挟んで食べたかったが、周りのエルフを見ると木製のナイフとフォークで食べていたので止めておいた。
朝食を食べ終わるといよいよ宿を立つことになったんだけど、エルフもドワーフも酒臭いし、だるそうにしている。きっと二日酔いなのだろう。アルコール度数は低めだけど、お酒はどれも濁って泡もプクプク出ていたからね。これからヤーク車に揺られてケロケロしなければいいけど。
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