異世界に転生したけどトラブル体質なので心配です

小鳥遊 ソラ(著者名:小鳥遊渉)

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連載

SS. 今日のサーシャ18(サーシャにお義姉様と妹と弟ができたの❤)※コミカライズに感謝して作成、いずれ非公開にすると思います。✔

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 サーシャにアルテミシアお義姉様と弟のチビと妹のベビができたの、あと、キャスペル殿下もお義兄様になるの。

 チビとベビはアルフレッドお兄様が魔大陸に連れて行っちゃったから、もう会えないと思っていたの、でも、男の子と女の子になって帰って来てくれたの。身長はサーシャと同じくらいだけど、まだ一歳だから弟と妹なの。

 アルテミシア様はアルフレッドお兄様のお嫁さんになるの、すごく優しくて、王都の街にも連れて行ってくれるの。

 チビとベビは龍になるとすごく大きくなれるの、そして、空をすごーく早く飛べるの。王都のお城まで飛んで行くのも直ぐなの。

 馬車で行ったことがあるけれど、何回も泊まらないといけないの、それにお尻が痛くなるの。それが、その日のうちにお買い物して美味しいものをいーぱい食べて帰って来れるの。

 チビとベビがバクバク食べているけど、アルテミシアお義姉様がぜーんぶ出してくれるから心配はいらないの。

 アルテミシアお義姉様は『これくらいの支払いなんて、龍に乗れるなら安いものよ!』と言って嬉しそうにしているから、きっとこれでいいの。

 ベスは体が大き過ぎて一緒に来れないのが可哀そうなの、チビの背中の箱に入れれば一緒に来れるのに、いつもお留守番なの!

 サーシャとチビ、ベビは、アルフレッドお兄様が作ってくれたサングラスを王都ではつけているの、瞳の色や形が他の人と違うからするように言われているの。

 チビとベビが一緒だと護衛は要らないの、だけど、アルテミシア様はお姫様だから、騎士団の人がいーぱいいて、少し離れて護ってくれているの。

 今日もチビとベビと一緒にアルテミシア様を迎えに来たの。

「サーシャちゃん、迎えに来てくれてありがとう! 今日はお兄様も一緒なのよ!」

 アルテミシアがチビの背中の籠に乗っているサーシャに笑顔で言った。

「サーシャちゃん、今日もかわいいね! 今日は父上と母上も一緒に行くからよろしくね!」

 キャスペル殿下は籠に乗り込むとサーシャの頭を軽く撫でる。サーシャは少し照れているが嬉しそうにしている。

「アルテミシアお義姉様、キャスペルお義兄様もお願いしますなの!」

 メダリオン三世も同じように乗り込みサーシャの頭を軽く撫でる。

「サーシャは今日もかわいいのう! よろしく頼むぞ、小さな龍騎士よ!」

 続いて王妃も乗り込むと「サーシャちゃんはかわいい龍騎士なのね!」と、サーシャの頭を撫でた。

 サーシャは「龍騎士なの?」と小首をかしげた。

 四人は椅子に取り付けられた転落防止用のロープで腰を縛り、しっかりと縛られていることをサーシャに伝えた。

「チビ、出発してなの!」

 チビとベビの二匹の龍が空に舞い上がると、ハイルーン領に向けて一気に加速した。

 王都の街からは、いつものように空を見上げた人々の大きな歓声が聞こえた。

 ハイルーン邸の庭に到着すると、チビとベビがするすると小さくなり、籠の下から抜け出した。子供の姿に変わったふたりは急いでシルクスパイダー製のワンピースを着こんだ。

 メダリオン三世たちは門を抜けると隣のマシュー商会に向かう。サーシャとチビ、ベビも後について行く。

「マシューはおるか? 依頼があるぞ!」

「陛下! 少々お待ちください!」

 突然、店の中にメダリオン三世が現れたため、店員は慌ててマシューを呼びに向かった。

 息を切らせながらマシューと妻のカリナが店の奥から走ってきた。

「陛下、どうされたのですか?」

「これを造ってくれ、土地はいくらでもあるのだろう? 金はちゃんと支払うから安心せよ!」

 メダリオン三世は巻物のようなモノをマシューに渡した。マシューは受け取りその場で広げ確認する。

「屋敷でございますね。どちら様がお住まいになられるのでしょうか?」

「ここは治安もいいからな、別荘にと考えておるのだ」

 メダリオン三世はニコニコと上機嫌だ。マシューも気持ちが分かるのだろう小さく頷いている。

「造るのは温泉の近くにでしょうか?」

「いや、ここの近くがいい! 買い物も便利だし、アルテミシアを王都から毎日行き来させるのも可哀そうだと思ってだな。それに、ワシ達も来れるようになるし、いいことずくめだとは思わんか?」

 メダリオン三世は弾むような声でマシューに同意を求めた。

「そうですね! 丁度、二軒の屋敷を建築中です、すぐ近くでよろしければ、早々に着手できます。馬車でご案内できますがどうされますか?」

「頼む、案内してくれ!」

「馬車を準備しますので少々お待ちください!」

「サーシャちゃん、チビちゃん、ベビちゃんもよく来てくれたわね!」

 カリナはサーシャの頭を撫でると飴を渡した。サーシャは飴を受け取るとチビ、ベビ、アルテミシア、キャスペルにひとつずつ渡す。

「美味しそうな飴だの、ワシと王妃にもくれぬか!」

 カリナは慌てて飴を取って来るとメダリオン三世に渡し、申し訳なさそうにしている。王妃の冷たい視線がメダリオン三世に突き刺さったことは言うまでもない。

 サーシャはアルテミシアの膝の上にちょこんと座っており、十分ほど馬車に揺られると目的の場所に到着した。そこはまだ開拓中で建築中の二軒以外に畑すらなかった。

「これは誰が住む家なのだ!」

 メダリオン三世がマシューに声を掛けた。

「サーシャ、このお家は誰のお家か知っているの! カイルお兄様とクロードお兄様が住むお家なの!」

 サーシャは先日、家族と共にマシューから説明を受けたばかりだ。

「あら、サーシャちゃんはよく知っているわね! 教えてくれてありがとう!」

 王妃が優しく言うと、サーシャは少し自慢げな表情をしている。別荘は建築中の屋敷の近くに決めた。その後、開拓中の様子や畑などを馬車で見て回る。

「ここの水車で、綿あめが作れるの! ここはスライムが掃除してくれるの! こっちに行くとグラン帝国があるの!」

 サーシャはその間も、知っていることを嬉しそうに話して聞かせた。

「サーシャ様に、マシューの仕事を全部取られてしまいましたな! ワハハハハ」

 マシューが笑いながら言うと、馬車の中は笑い声で満たされた。

 マシュー商会の並びにあるハイルーンのお店だが、上位種のオーク肉が使われることが多く、王都の店よりも美味しいと噂されている。お肉の提供者はレックス家族なのだが、このことを知るものはマシューを始め数えるほどしかいない。 

「アルテミシアお義姉様、王都よりお肉が美味しかったの!」

「そうね、ワタシもこっちのお肉が美味しかったわ! 次からはここで食べましょう!」

「ワタシも一緒させてくれよ!」

 キャスペル殿下がふたりの会話に割り込む。

「ワシ達も一緒に呼んでくれ! 馬車で来るなんてできんぞ!」

 メダリオン三世たちはハイルーンのお店で料理を堪能すると、王都に帰って行った。
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