異世界に転生したけどトラブル体質なので心配です

小鳥遊 ソラ(著者名:小鳥遊渉)

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172.1モノ作りは楽しい1(乳液・麹菌)✔ 2024.1.8修正 文字数 前2,968後2,941減27

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 フライドポテトを作るために大豆油を作ったんだけど、副産物の搾りかすから大豆レシチンも作れたんだよ。

 レシチンは水と油を混ぜ合わせるための乳化剤になるんだ。だから、ピンクスライムポーションを使って乳液を作ってみることにした。材料は今回の大豆レシチン、魔法の水、オリーブオイル、ピンクスライムポーションだよ。

 そこの奥様、肌の荒れを癒してくれる乳液はいかがですか? 数に限りがあるから早い者勝ちだよ。なんてね。こっちに来てから乳液は見たことないから、マイバイブルの異世界モノあるあるの、乳液が完成すれば大ヒットは間違いないんじゃないかな。

 乳液材料の配合割合を変えた五種類の試作品を製造してみたんだ。自分でアレルギーテストをして、問題が無ければお母様に試してもらうかな。先ずは材料の最適な配合割合を探す必要があるよね。お母様が使用した感想や意見を聞かせてもらい、改良していけばいいものが作れるんじゃないかな。

 こっちではあまりお風呂に入らないんだよ。体臭を誤魔化すために香水が利用されているからね。だから、配合割合が決まったら柑橘や花を使って香りづけするのもいいと思うんだよ。マシューさんにがまた契約書を手渡してきそうだよね。まあ、乳液はついでなんだけどね。

 本命のお醤油とお味噌造りに取り掛かるよ。そのためには麹菌が必要なんだよね。

 お米の藁とかに麹菌が住んでいたはずなんだけど探せるかな?

 前世なら通販サイトでポチれば購入できたんだけど、自然界から探すとなると、雑菌が沢山あるからハードルが高そうなんだよね。

 それにお米が見つかってないから、目的の藁がないんだよ。いや、麦藁ならあるな、何かの菌は住んでいそうだ。実験なんだから色々とやってみるしかないよね。

 麦を蒸してその上に麦藁を置いてと……麹菌が採取できるといいんだけどな、やっぱり困ったときは神頼みだよね。……《女神様、麹菌を探せますようにお願いします》

 雑菌は摂取すると人体に危険だから注意しないといけないな。色々なカビのようなモノが見つかるはずなんだけど結果がたのしみだよね。

 カビみたいなのを種類で分けて培養するんだけど、菌は小さくて肉眼で分ける事は無理なんだよね。

……六日間ほど培養すると、菌のコロニーができている。青色、緑色、紫色、オレンジ色、灰白色、黄色、白色、黒色と色とりどりだな。これを色ごとに取り分けて更に培養するよ。

 最終的に九種類のカビみたいなものを採取することができたよ。きっとこの中に目的の麹菌があるはずだ。この菌にどんな働きがあるかを検証していくからね。あってほしいな麹菌。

 黒カビみたいなのは見るからに危険な感じがするんだよね。だけど、何かの役に立つかもしれないから培養だけは続けてみようかな。きっと毒素が強いことを確認して廃棄することになりそうだけどね。

 青色の菌の周りには菌が繁殖していないな。これってペニシリンの元になるアオカビの可能性もあるよね。ひょっとしたらひょっとするんじゃないかな。大切に培養して増やさないとだな。

 白いやつと黄色いやつが麹菌だと思うんだけどどうかな。まず、この菌を使って大豆と麦を原料に培養してみよう。上手くいくようならお醤油とお味噌が作れるんだけどな。

 大豆をキレイにして洗ったら蒸して炒った小麦と混ぜ合わせるよ。ここに麹菌と思われる白い菌を加えて麹を作るよ。同じように黄色の菌でも麹を作ってみるからね。

 土魔法で作ったタンクに、この二種類を別々に入れて、魔力水にこの前作った海塩をとかしていれたら、よーくかき混ぜる。これで諸味(もろみ)の仕込みが完了したな。

 ここからは気が長い話だけど、撹拌を重ねながら約六ヶ月~八ヶ月寝かせる必要があるんだよね。寝かせることで麹菌や酵母、乳酸菌などの働きで分解・発酵が進むはずなんだけど結果は早くても半年後になるな。

 醤油は醸造期間が短いと薄口醤油になって、期間が一年と長いと濃い口醤油になるんだ。最後がたまり醤油だね。作りたい醤油の期間で、加熱して菌を殺して発酵を止めたら完成だよ。

 順調に発酵が進んでいたら、もう少し熟成されると醤油特有の色・味・香りが生まれてくる。はずなんだけど……お願いします。後は女神様に祈ることしかできないな。

 お醤油が完成したら、ポン酢が作りたいんだよね。お醤油にレモンなどの柑橘類を絞って混ぜあわせるだけだ。何種類も作れて、味のレパートリーも広がるんだけどな~、やっぱり鍋物がいいよね。

 言い忘れていたけど、雑菌が繁殖しないようにタンクの中は事前に洗って、魔法で殺菌もしているからね。味噌も同じように殺菌してから造っていくよ。

 お味噌の材料は麹菌、大豆、塩、魔力水になるんだ。大豆を選別して綺麗な物を選んで、ゴミを取りキレイに洗うよ。

 大豆を魔法水に浸けて三倍ほどに膨れるのを待ってね。時間は温度や季節などで変わるからね。だいたい、十時間~十五時間になるんじゃないかな。

 これを煮るんだけど、圧力鍋があると便利なんだけど、ないんだよね。仕方ないので普通に煮るよ。

 試しに土魔法で圧力鍋のように固めてみたんだけど、中の様子や圧力が分からなくて、亀裂が入って慌てて加熱するのを止めたんだよ。土魔法は中から押される力には弱いのかもしれないね。そのうち、圧力鍋も作ってみたいかな。

 やっと鍋の温度が下がってきた。あのまま加熱していたら爆発していたかもしれないよね。まだ、危険かもしれないから、危険物と同じように土塁の向こうで開けた方がいいな。

 土魔法で小さな穴を開けて、少しずつ圧力を逃がしたから、豆が飛び散ることはなさそうだよね。最初からやり直しなんて絶対に嫌だからね。次は最初から小さな穴を開けておかないとだな。

 ちゃんと煮られているかな? 大豆十粒ほどを指で押して、ねちゅっと潰れるようなら煮れている。パカッと割れるようなら、煮るのが不足しているからもう少し加熱しないといけないからね。

 暑いから火傷しないようにしないとだな。ねちゅっと潰れる、いい感じに煮てある。

《チビ、ベビ、お豆をペースト状にしてよ》



 チビとベビは顔を見合わせており、分からないと伝わってきている。風魔法で飛び散らないように細かく切ってほしいと説明する。

《任せてダォ! 風は得意ダォ!》《任せてなノ、ベビは風の刃を使うのが上手になったノ》

 張り切ってやってくれているが、ちょっと飛び散っているな。

《散らないようにしてよ》

《やってるダォ!》《これ以上は無理なノ》

 風の刃では難しいかもしれないな。でも、上手にやってくれている。

 大豆が細切れになっていくのも面白い、後は綿棒で潰してやればいいよね。

 麹菌に塩を入れてよく混ぜて、よーく潰した大豆に入れて混ぜるよ。魔法水の入れ過ぎに注意しながら注いで、さらに混ぜ合わせたら団子状にするからね。

 容器に入れて落し蓋と重しを置いたら作業完了だ。ビニールがあるなら蓋をしたいんだけどないんだよね。こまめに変なカビが生えたら、少し広めに取り除かないといけないよ。こっちの熟成期間は二ヶ月~三ヶ月になるかな。

《女神様、美味しいお味噌ができますようにお願いします》

 本日の作業は終了、結構時間がかかったな、今日もよく働いた。味噌と醤油の完成が待ち遠しいな
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