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序章:冷たい雨と二つの居場所
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1. 聖域の診察室
外は、すべてを灰色に塗りつぶすような冷たい雨が降っていました。
41歳になる比呂美(ひろみ)は、古びた産婦人科の診察台の上で、天井にある蛍光灯をじっと見つめていました。チカチカと点滅する光が、彼女の不安を映し出しているようです。
ここ「大島産婦人科」は、彼女にとって特別な場所でした。
院長の大島は55歳。白衣を着たその男は、診察という名目で彼女の体に触れます。
比呂美は、自分の体に自信が持てなくなっていました。40歳を過ぎ、鏡を見るたびに少しずつ緩んでいくお腹のラインが嫌でたまりませんでした。しかし、大島は違います。
「比呂美さん、今日も本当に美しい……。熟した果実のように、今が一番食べごろだ」
大島は、まるで宝物を扱うような手つきで、彼女の体を褒め称えます。3年前の健康診断の日、医療の範囲を超えた指先の動きに、比呂美の心は一瞬で奪われました。夫には決して見せられない、女としての顔。大島の情熱的な言葉と愛撫は、比呂美にとって、枯れかけた花に水を与えるような救いだったのです。
「旦那さんには、こんな贅沢な体はもったいないですよ」
カーテン越しに聞こえる大島の低い声に、比呂美は小さく吐息をもらします。彼に強く求められるたびに、「私はまだ、女として価値があるんだ」と強く実感することができたのです。
2. 静まり返った家
しかし、病院を出ると現実に引き戻されます。雨に濡れたアスファルトを歩きながら、比呂美の足取りはどんどん重くなっていきました。家には、彼女のすべてを見抜いているような、恐ろしい「静寂」が待っているからです。
午後7時。比呂美がキッチンで夕食の準備をしていると、玄関のドアが開く音がしました。
「ただいま、比呂美」
帰ってきたのは、夫の栄(さかえ)です。彼は36歳。比呂美より5歳年下で、顔立ちも整っており、誰に対しても丁寧な言葉を使う「理想の夫」でした。
「おかえりなさい、栄さん。今日は早かったのね」
比呂美は努めて明るく振る舞い、野菜を切る手を止めません。しかし、栄は彼女のすぐ後ろに立ち、首筋に顔を寄せました。
「……今日は、少し香水の匂いが強いね。また大島先生のところへ行ってきたのかな?」
比呂美の肩が、びくりと大きく跳ねました。
栄は大島の名前を口にします。ですが、決して「浮気」や「不倫」という直接的な言葉は使いません。彼はすべてを知っているのです。妻がどこで、誰に、どんな風に抱かれてきたのか。彼はそれを知りながら、あえて優しく微笑み、彼女を追い詰めていくことを楽しんでいるようでした。
「……ただの診察よ。更年期の相談だって言ったでしょ」
比呂美は、学生時代はバレーボールで国体に出場するほどのアスリートでした。元々は気が強く、後輩からも恐れられるような姉御肌な性格です。彼女はその気の強さを盾にして、鋭い口調で言い返しました。
しかし、栄は動じません。彼は比呂美の細い手首を、逃げられないような強さで、しかしそっと掴みました。
「そうだね、治療は大事だ。だったら、その『続き』は家で僕がやらなきゃいけない。……比呂美、奥の部屋へ行こうか」
3. 調教の儀式
寝室の重い扉が閉まると、家の空気は一瞬で凍りつきます。
栄は、比呂美がパート先で感じたストレスや、大島への未練を一つずつ剥ぎ取っていくように、ゆっくりと彼女の服を脱がせていきました。
「やめて……! 今日は疲れてるって言ってるじゃない!」
比呂美は激しく抵抗します。かつてのスポーツ選手らしい力強さで彼を突き放そうとしますが、これも5年前から続く「儀式」の一部に過ぎませんでした。比呂美が反抗すればするほど、栄の心にある冷ややかな情熱は、静かに、そして激しく燃え上がるのです。
栄は、比呂美が気にしているふっくらとしたお腹を、まるで愛おしいものを愛でるように撫でました。その一方で、彼女がコンプレックスに感じている平坦な胸には、わざと冷たく、厳しい刺激を与えます。
「比呂美、外で不倫なんて面倒なことをしなくてもいいんだよ。君の体のことは、僕が世界で一番よく知っているんだから」
「……黙って……っ、嫌……」
栄が棚から取り出したのは、冷たく光る革製の拘束具でした。
大島がくれるのは、お世辞と甘い悦び。
けれど、栄が与えるのは、プライドをズタズタにするような屈辱と、逃げられない支配の快楽でした。
「さあ、今日は大島先生にどんな風に触られたのか、その体で僕に教えて。一言も隠さずに、全部だよ」
栄の言葉はどこまでも優しいのに、比呂美の体には容赦のない刺激が走ります。
「嫌だ」と口では拒絶しながらも、夫の手によって自分という人間がバラバラに解体されていく瞬間に、比呂美は抗いようのない熱い快感を感じてしまうのでした。
外は、すべてを灰色に塗りつぶすような冷たい雨が降っていました。
41歳になる比呂美(ひろみ)は、古びた産婦人科の診察台の上で、天井にある蛍光灯をじっと見つめていました。チカチカと点滅する光が、彼女の不安を映し出しているようです。
ここ「大島産婦人科」は、彼女にとって特別な場所でした。
院長の大島は55歳。白衣を着たその男は、診察という名目で彼女の体に触れます。
比呂美は、自分の体に自信が持てなくなっていました。40歳を過ぎ、鏡を見るたびに少しずつ緩んでいくお腹のラインが嫌でたまりませんでした。しかし、大島は違います。
「比呂美さん、今日も本当に美しい……。熟した果実のように、今が一番食べごろだ」
大島は、まるで宝物を扱うような手つきで、彼女の体を褒め称えます。3年前の健康診断の日、医療の範囲を超えた指先の動きに、比呂美の心は一瞬で奪われました。夫には決して見せられない、女としての顔。大島の情熱的な言葉と愛撫は、比呂美にとって、枯れかけた花に水を与えるような救いだったのです。
「旦那さんには、こんな贅沢な体はもったいないですよ」
カーテン越しに聞こえる大島の低い声に、比呂美は小さく吐息をもらします。彼に強く求められるたびに、「私はまだ、女として価値があるんだ」と強く実感することができたのです。
2. 静まり返った家
しかし、病院を出ると現実に引き戻されます。雨に濡れたアスファルトを歩きながら、比呂美の足取りはどんどん重くなっていきました。家には、彼女のすべてを見抜いているような、恐ろしい「静寂」が待っているからです。
午後7時。比呂美がキッチンで夕食の準備をしていると、玄関のドアが開く音がしました。
「ただいま、比呂美」
帰ってきたのは、夫の栄(さかえ)です。彼は36歳。比呂美より5歳年下で、顔立ちも整っており、誰に対しても丁寧な言葉を使う「理想の夫」でした。
「おかえりなさい、栄さん。今日は早かったのね」
比呂美は努めて明るく振る舞い、野菜を切る手を止めません。しかし、栄は彼女のすぐ後ろに立ち、首筋に顔を寄せました。
「……今日は、少し香水の匂いが強いね。また大島先生のところへ行ってきたのかな?」
比呂美の肩が、びくりと大きく跳ねました。
栄は大島の名前を口にします。ですが、決して「浮気」や「不倫」という直接的な言葉は使いません。彼はすべてを知っているのです。妻がどこで、誰に、どんな風に抱かれてきたのか。彼はそれを知りながら、あえて優しく微笑み、彼女を追い詰めていくことを楽しんでいるようでした。
「……ただの診察よ。更年期の相談だって言ったでしょ」
比呂美は、学生時代はバレーボールで国体に出場するほどのアスリートでした。元々は気が強く、後輩からも恐れられるような姉御肌な性格です。彼女はその気の強さを盾にして、鋭い口調で言い返しました。
しかし、栄は動じません。彼は比呂美の細い手首を、逃げられないような強さで、しかしそっと掴みました。
「そうだね、治療は大事だ。だったら、その『続き』は家で僕がやらなきゃいけない。……比呂美、奥の部屋へ行こうか」
3. 調教の儀式
寝室の重い扉が閉まると、家の空気は一瞬で凍りつきます。
栄は、比呂美がパート先で感じたストレスや、大島への未練を一つずつ剥ぎ取っていくように、ゆっくりと彼女の服を脱がせていきました。
「やめて……! 今日は疲れてるって言ってるじゃない!」
比呂美は激しく抵抗します。かつてのスポーツ選手らしい力強さで彼を突き放そうとしますが、これも5年前から続く「儀式」の一部に過ぎませんでした。比呂美が反抗すればするほど、栄の心にある冷ややかな情熱は、静かに、そして激しく燃え上がるのです。
栄は、比呂美が気にしているふっくらとしたお腹を、まるで愛おしいものを愛でるように撫でました。その一方で、彼女がコンプレックスに感じている平坦な胸には、わざと冷たく、厳しい刺激を与えます。
「比呂美、外で不倫なんて面倒なことをしなくてもいいんだよ。君の体のことは、僕が世界で一番よく知っているんだから」
「……黙って……っ、嫌……」
栄が棚から取り出したのは、冷たく光る革製の拘束具でした。
大島がくれるのは、お世辞と甘い悦び。
けれど、栄が与えるのは、プライドをズタズタにするような屈辱と、逃げられない支配の快楽でした。
「さあ、今日は大島先生にどんな風に触られたのか、その体で僕に教えて。一言も隠さずに、全部だよ」
栄の言葉はどこまでも優しいのに、比呂美の体には容赦のない刺激が走ります。
「嫌だ」と口では拒絶しながらも、夫の手によって自分という人間がバラバラに解体されていく瞬間に、比呂美は抗いようのない熱い快感を感じてしまうのでした。
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