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2公爵令嬢、最終手段

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はぁ……どうして何をやってもダメなのかしら。

「リーナ、私はどうしたらいいのかしら?」

「要は気持ちですよね、殿下に向かって一歩踏み出す勇気を出すのです!」

「一歩踏み出す勇気ね…」

そういえば、自分の性格とか色々悩んだときに、 友人が前世の記憶を思い出したら心機一転出来たって聞いたわね。

「前世後退…そうよ!前世を思い出しましょう!」

「え…?お嬢様?」

そうと決まればあの有名な占い師の所に行くわよ!

「リーナ、行くわよ!」




平民の街って思いのほか活気があるのね。

「お嬢様~戻りましょう~。もしくは、その占い師とやらをお屋敷に呼びましょう。」

「いいえ、それではお父様にバレてしまうわ。みんなに秘密で解決したいのよ!」


この道入って右ね…わぁ。普通の家ね。


コンコン
「ごめんください」

「はーい」

「あの…前世を思い出させれらる占い師ってあなたかしら…?」


出てきたのは30代ほどの綺麗な女性だった。一瞬目を開いた女性はすぐに笑顔になり、中に促した。

「私はマリーと申します。お嬢様、どう言ったお話でしょうか?」

私は婚約者に素直ななれず、勇気が出せない事を話し、今までから最近の失敗を話した。かなり時間がかかってしまったが、マリーさんはじっくりと聞いてくれた。

「前世療法をお望みなのですね。…これは、全員が全員前世を見れる訳ではないんです。それから、みたい前世が見れる訳では無いのです。」

要約すると、婚約者との前世が見たくても見れない場合や、別の人との前世が見れる場合があるらしい。

「それでも…何かが変わるかもしれませんもの。出来ることは全てしたいですわ。」

「……分かりました。では、こちらのベッドに横になって下さい。心の奥に触れますので、通常一緒に来られた方は出ていただいていますが…」

「リーナはいつも一緒だからいてくれて構わないわ。」

「流石に初対面の方の所にお嬢様を置いては出ていけませんわ。」

「そう言うと思っていました。では、このまま始めますね。では軽く目を閉じて……………どんどん深く……」

チリーン 
 チリーン


「はい、目を開けてください。」


涙が出た。ああ……







「何も見れなかったわ。」

「きっと、お嬢様の魂が見る必要は無いと判断されたのですね。お力になれずに申し訳ありません。」

「構わないと言ったのは私だもの。気になさらないで。」


意気消沈でマリーさんにお礼を言った。
最後の頼みの綱が無くなってしまった。
 やっぱり人に頼ってはダメね。自分だけの力で頑張らないといけない問題なのに、人に甘えたからいけないのよ。

もう日が傾いてきたから早く帰らなくては。少し急いでドアを開けて外に出た。



「あら?あなた達は近衛…」

「はっ!」



その瞬間、フワッと後ろから抱きしめられる感覚。目元を抑えて抱えられているけれど、この香りは

「私の姫はお転婆だね。」

「クリス様?!何故ここに!」

「驚いたよ、いきなり下町に出ていくから。」

「えと…それは…」

「あと、私は怒っているんだよ」

何か気に触ることをしてしまったのかしら。どうしましょう………
さぁーっと血の気が引いた。

「なぜ私に頼らないんだ?待ちくたびれて私から動いてしまったよ。本当に…私を動かすことが出来るのは君だけだよ…。」

「え……?」

「何年婚約者だと思ってるのさ。アンリは意外と顔に全部出てるから、伝わってるよ。」

「へ……?では妾は…?」

「……は?妾?」


クリス様の後ろにブリザードが吹き荒れたため、この話は強制終了した。

コツン

 クククククククリス様のおでこが私のおでこに…………!!!
これは一体どんな状況なのかしら?え?私はまだ前世療法中かしら、夢?

「…お離し下さいませ。」


「夢ではないよ。で、顔が真っ赤なのがバレてるから却下。」

「却っ!?」

「アタフタしている様を見ているのも楽しかったけど、そろそろ僕から攻めようと思うんだけど、どう?」

こてんと顔を傾けて私の肩に頭を預ける…………なんて事?!どうしたらいいのかしら?!

 なんだか……気が遠く……


「お嬢様ーー!」


「うーん、これは早かったかな?」

「 クリス第二王子様、お嬢様は純粋培養なのですよ!自重してくださいませ!」

「これもこれで楽しそうだよね♪」




よく分かりませんが、これからはクリス様ともっと仲良くなれそうな気が致しますわ。







fin
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