2 / 3
中
しおりを挟む
目を覚ますと白い天井が見えた。見覚えが無いのでどうやら自宅ではないらしい。カーテンで仕切られている様で息が詰まる様に思えた。そこでようやくここが病院だということに気付く。それ以外にも、気付いた事があった。体を動かすことが出来なかったのである。先程から、起き上がろうと何度も試してみたが、指一本動かす事さえ体は拒んだ。
ふと、足音が聞こえた。
「おはよう、起きてるかい?」
課長のようだ。
「返事は…できないのか。そらそうだ、アレを昨日の飲んだからなあ」
アレ とは…?そこで思い出した。昨日、取引先から帰ってきた時に渡された缶コーヒーの事だ。
「あの缶コーヒー、全部飲んだら60年は意識は残ったままで植物人間になる薬が入っていたんだよ。人体実験の一環でね。にしても何故俺が選ばれたんだと思ったろう?」
当たり前だ、と言いそうになるも、今は言葉を発する事すら出来ない体だった。
「近くに居たからだ。深い関係を持つ人間が周りに居なく、出来るだけ若い人間であれば誰でも良かったんだが、偶然お前が手から届く範囲に居たから、お前にした。」
だが何故、それを誰かに飲ませる必要があるのか、という考えが脳内を埋めた。
「成功すれば五千万貰えると聞いて引き受けたが丁度いいヤツが居なくてな…助かったよ」
クックッと課長が笑う。課長は金に困っている様子は無かった筈だ。だが、今の表情を見ると、目がギラついてる様に見えた。ただ単に大量の金を懐に入れる事が楽しくて仕方が無いだけなのだろう。同時に、何か隠しているような不敵な笑みにも見えた。
「俺は今から用事が出来たのでもう行くが、今後は看護婦の後ろ姿でも眺めて暇を潰すといい」
じゃあ、お元気で。と去って行くのを追いかけたい衝動に駆られたが、体は沈黙したままで、強制的に気持ちは落ち着かされた。
このまま私は後60年、こんな場所に人生を捧げないといけないのか。
貯金も少しずつ出来てきて、やっと安定してきたというのに何て事をしやがる。
あの野郎、起き上がったらタダでは済まさない。
絶望と憤りが頂点に達し、口からは荒い息が漏れ出るだけだった。
少し時間が過ぎ、ふと思い出した。
さっき、「全部飲んだら」と課長は言っていた。だが私は十分の一程のしか飲んでいなかった。つまり、80年もこうして病院のベッドに埋もら無いのではないか、と思った。
そうとなれば希望が見えてきた。仕事の疲れも取りたかったし、妄想か何かで暇でも潰しておけばすぐだろう。
そうして私は、妄想に耽った。
ふと、足音が聞こえた。
「おはよう、起きてるかい?」
課長のようだ。
「返事は…できないのか。そらそうだ、アレを昨日の飲んだからなあ」
アレ とは…?そこで思い出した。昨日、取引先から帰ってきた時に渡された缶コーヒーの事だ。
「あの缶コーヒー、全部飲んだら60年は意識は残ったままで植物人間になる薬が入っていたんだよ。人体実験の一環でね。にしても何故俺が選ばれたんだと思ったろう?」
当たり前だ、と言いそうになるも、今は言葉を発する事すら出来ない体だった。
「近くに居たからだ。深い関係を持つ人間が周りに居なく、出来るだけ若い人間であれば誰でも良かったんだが、偶然お前が手から届く範囲に居たから、お前にした。」
だが何故、それを誰かに飲ませる必要があるのか、という考えが脳内を埋めた。
「成功すれば五千万貰えると聞いて引き受けたが丁度いいヤツが居なくてな…助かったよ」
クックッと課長が笑う。課長は金に困っている様子は無かった筈だ。だが、今の表情を見ると、目がギラついてる様に見えた。ただ単に大量の金を懐に入れる事が楽しくて仕方が無いだけなのだろう。同時に、何か隠しているような不敵な笑みにも見えた。
「俺は今から用事が出来たのでもう行くが、今後は看護婦の後ろ姿でも眺めて暇を潰すといい」
じゃあ、お元気で。と去って行くのを追いかけたい衝動に駆られたが、体は沈黙したままで、強制的に気持ちは落ち着かされた。
このまま私は後60年、こんな場所に人生を捧げないといけないのか。
貯金も少しずつ出来てきて、やっと安定してきたというのに何て事をしやがる。
あの野郎、起き上がったらタダでは済まさない。
絶望と憤りが頂点に達し、口からは荒い息が漏れ出るだけだった。
少し時間が過ぎ、ふと思い出した。
さっき、「全部飲んだら」と課長は言っていた。だが私は十分の一程のしか飲んでいなかった。つまり、80年もこうして病院のベッドに埋もら無いのではないか、と思った。
そうとなれば希望が見えてきた。仕事の疲れも取りたかったし、妄想か何かで暇でも潰しておけばすぐだろう。
そうして私は、妄想に耽った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる