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富塚君の彼女
中途採用の正社員君が来て
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一月下旬、富塚君との事、母にバレた……と富塚君に相談したところ。
「じゃあ、もう料理教室の先生じゃなくて良いんだ。俺……」
「そうだね……」
「仕事のことは言ってないんだ?」
「うん、言えるわけないよ。料理教室の先生が女じゃないって分かった瞬間のお母さん、かなり喜んでて、その可能性があるって言うの無理だって思っちゃった」
「そうか……。じゃあ、日下の家、行こうかな?」
「え?! そんな気軽に?」
「いや、気軽ではないよ。日下の為じゃん?」
なんて言ってくれちゃって。
私はその数日後の休日には富塚君を母に会わせていた。
「この調子で俺の親にもね?」
「う、うん……」
と、ここはもうそういうノリというか流れに身を任せるしかないと私はかなりの緊張の中、富塚君のお父さんとお母さんに会うことになった。
「緊張した?」
「うん、したよ! 何でお父さんにまで会ってるんだ?! って感じで!」
「そう」
と、終わってみれば大した事なかったでしょ? と富塚君に言われ、そんなことなかったですぅ! と泣きそうになって、もうこれっきりね! と言っていた。そうこうしているうちに二月初旬になって、問題の彼がやって来てしまったのだ。
彼の名は衣笠君。普通の感じのする中途採用の正社員だ。
「あーあー、彼、絶対課長に気に入られてる」
「うん」
と潔く富塚君は認めた。
「紳士だし、若いし、二十代前半でしょ?」
「そうだね」
と帰りの駅のホームで富塚君は言う。
「でも、衣笠変わった所あるからなぁ……」
「何?」
「言わない」
富塚君は教えてくれなかったけれど、代わりに井村君が教えてくれた。
彼、衣笠君は優しそうで私のような感じの体型をした年上女性が好きみたいだ。
それはそれは、私に教えたがらない理由が分かって、少しくふふ……と心の中で笑ってしまった。富塚君ったら~! というやつだ。
「ねえねえ! 富塚君!」
言ってはいけないことを言ってしまう心理はここにあるのだろう。
「衣笠君って、私がドストライクなんでしょ?」
「な?! 誰に聞いて?!」
「井村君」
「あのヤロー」
富塚君が怒っている。仕事以外の事であまり怒らない富塚君が間接的に私の事で怒っている。それが何だか嬉しくてたまらない。
「日下、お願いだからあんまり衣笠と話すなよ? 絶対、俺より良い男だから」
「うん!」
とっても富塚君がいつものような感じじゃなくて、ついつい弾んだ声で言ってしまった。
そんな気分を害する電話がとうとうやって来た。
衣笠君が落ち着いた頃に来るなんて……取る前に覚悟を決める。
「はい、日下です」
やっぱりだった。
富塚君に報告するのは明日で良いか、だから、一人で居る時にこの電話に出たんだし……と。私は明日、相楽さんにも言わなくては……と思った。ここまでお世話になったのもあるしと。
何か月くらい働いただろう。
だけど、寂しさはなかった。
すっきりと三月の期間満了で辞められる。それだけが救いだった。
「じゃあ、もう料理教室の先生じゃなくて良いんだ。俺……」
「そうだね……」
「仕事のことは言ってないんだ?」
「うん、言えるわけないよ。料理教室の先生が女じゃないって分かった瞬間のお母さん、かなり喜んでて、その可能性があるって言うの無理だって思っちゃった」
「そうか……。じゃあ、日下の家、行こうかな?」
「え?! そんな気軽に?」
「いや、気軽ではないよ。日下の為じゃん?」
なんて言ってくれちゃって。
私はその数日後の休日には富塚君を母に会わせていた。
「この調子で俺の親にもね?」
「う、うん……」
と、ここはもうそういうノリというか流れに身を任せるしかないと私はかなりの緊張の中、富塚君のお父さんとお母さんに会うことになった。
「緊張した?」
「うん、したよ! 何でお父さんにまで会ってるんだ?! って感じで!」
「そう」
と、終わってみれば大した事なかったでしょ? と富塚君に言われ、そんなことなかったですぅ! と泣きそうになって、もうこれっきりね! と言っていた。そうこうしているうちに二月初旬になって、問題の彼がやって来てしまったのだ。
彼の名は衣笠君。普通の感じのする中途採用の正社員だ。
「あーあー、彼、絶対課長に気に入られてる」
「うん」
と潔く富塚君は認めた。
「紳士だし、若いし、二十代前半でしょ?」
「そうだね」
と帰りの駅のホームで富塚君は言う。
「でも、衣笠変わった所あるからなぁ……」
「何?」
「言わない」
富塚君は教えてくれなかったけれど、代わりに井村君が教えてくれた。
彼、衣笠君は優しそうで私のような感じの体型をした年上女性が好きみたいだ。
それはそれは、私に教えたがらない理由が分かって、少しくふふ……と心の中で笑ってしまった。富塚君ったら~! というやつだ。
「ねえねえ! 富塚君!」
言ってはいけないことを言ってしまう心理はここにあるのだろう。
「衣笠君って、私がドストライクなんでしょ?」
「な?! 誰に聞いて?!」
「井村君」
「あのヤロー」
富塚君が怒っている。仕事以外の事であまり怒らない富塚君が間接的に私の事で怒っている。それが何だか嬉しくてたまらない。
「日下、お願いだからあんまり衣笠と話すなよ? 絶対、俺より良い男だから」
「うん!」
とっても富塚君がいつものような感じじゃなくて、ついつい弾んだ声で言ってしまった。
そんな気分を害する電話がとうとうやって来た。
衣笠君が落ち着いた頃に来るなんて……取る前に覚悟を決める。
「はい、日下です」
やっぱりだった。
富塚君に報告するのは明日で良いか、だから、一人で居る時にこの電話に出たんだし……と。私は明日、相楽さんにも言わなくては……と思った。ここまでお世話になったのもあるしと。
何か月くらい働いただろう。
だけど、寂しさはなかった。
すっきりと三月の期間満了で辞められる。それだけが救いだった。
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