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イコールは忙しいらしい

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こんにちは皆さん私は【絶対のイコール】
大魔王軍No.3にして大魔王様の右腕。
そして…



「またですか…」 

書類を片付けたり
部下の報告を纏めたり
…つまり


「中間管理職イコールです。」

私は誰も居ない部屋で少し大きな声で
意味の分からないことを言った

「ダメだ…疲れているのかも知れない」

この程度で疲れていては大魔王様のお役に立てない


「私は…死んでもお役に立たねば」

それこそが私が生きている意味なのだから。


「イコール様、いる?」

私がそんなことを考えていると部屋を…おそらく
テンがノックしてきた


「入ってかまわないよ」


「失礼します」

テンは無表情だが非常に礼儀正しい
正直、かわいいと思っている。


「どうしましたかテン?」

「イコール様、疲れてると思ってお茶を淹れてきた」


天使だ…いや、魔族ですけどね

「クッキーも焼いた よかったら 食べてほしいです」

ありがとう
「バケツ一杯食べたいですね!」


「バケツ一杯は無い…ごめんなさい」

しまった!心の声と出た声が逆だ!

「ジョ、ジョークですよ?いただきます」


危なかった…


「イコール様もジョーク言うんだね おもしろい」

「そ、そうですか」

私はクッキーを一口食べる

口一杯に塩辛い味が広がり
何とも言えない苦味が口に残る
歯応えはレンガを思わせ
手触りは鉄を思い出させる


「ふ、不思議なクッキーですね?」

「ボクの家ではこれが普通だったよ?」

「こ、個性は大事ですよね?」

何をどうしてこうしたらこうなるのか
そこには興味があるので後でレシピをいただきましょう


「じゃあ、大魔王様にも差し入れしてくる ばいばい」


「あ、ありがとうございまし…た?」

テンはそそくさと出ていった


「大魔王様に…差し入れ?」

何を?……あのクッキーを?
………


「まずい」

私はすぐに大魔王様に連絡をした


「大魔王様!緊急事態です!」

『どうしたイコールよ!?』

「テンがそちらにクッキーを持っていきます!」

『やったぜ!』

「喜んでる場合ではないのです!」

『何故だ!?部下からのプレゼントなら我、そこら辺の石でも嬉しいぞ!?』


「それはそれでどうかと思います大魔王様!?」

『それで、何が緊急事態なのだ?』

「テンのクッキーなのですが…非常に独特なのです!」


『どんな風に?』

「手触りが鉄で食感がレンガで塩辛いのに後味が苦いのです!」


『…手触りが鉄が一番分からないんだが!?』

「そうとしか言い表せないのです!」


『お、おう…分かった一応気を付けておく』


「そうしてください…では失礼いたします。」


これで、大丈夫だろう…

翌日、大魔王様はお腹を少し壊した。
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