上 下
59 / 73

大魔王は指摘したい

しおりを挟む
大魔王城のとある一室。
我こと大魔王の部屋である
そんな一室で今日も…


「報告いたします大魔王様。」

今日はイコールが色々報告しに来てくれている
勇者のことはもちろんのこと
大魔王城のあれやこれやや
台所事情に経理のこととか…

しかし一応ちゃんと聞いているし
頭に入っているのだが…

我は先程から気になることがある…

(イコール社会の窓換してない?)

つまりチャック全開なのである。
イコール真面目だし有能なんだが
たまに抜けておるからな…

「では、これで報告は以上になります。」

そう言ってイコールは大魔王の間を出ようと…

「少し待ってくれぬかイコールよ」

我は平静を装い…止めた
もう来る時に見られて手遅れかも知れぬが
さすがにそのまま帰すのは可哀想だからな…


「イコールよ…あのだな…」  

人は何故、チョケた時以外
チャックのことを指摘できなくなるのだろうか?
…絶対教えてあげた方がいいのに


「どうされましたか大魔王様?」

「…換気は大事だが閉め忘れてはダメであるな?」

我は何を言っているのだろうか?

「そうですね」

そりゃ不思議そうな顔するよな
すまぬイコール…


「…大魔王の間換気しますか?」

「いや…よい」

既にお主が換気しておる…とか
わけの分からぬことを考えてしまった。

「…あのだな…イコール」

「はい?」

よし…言おう!言うぞ!言うぞ!!


「社会のm「あらイコール、ズボンのチャックが全開よ?」」


我が決意して言葉にしようとした瞬間
いつものように何処からか現れたクロハは
ド直球に指摘した。


「…!?」

イコールも慌ててチャックをあげた。

「す、すみません大魔王様!情けない姿をお見せしました。」


「いや…よい…我も教えてあげられなくてすまぬ…」

仲間の為なら時には言いにくいことも
きちんと指摘することの大切改めて知った。
しおりを挟む

処理中です...