触れる唇(短編詰め合わせ)

イツキカズラ

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本編後

愛してるゲームの続き*

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本気で言ったわけではないのだが、葉大は何度名前を呼んでも俺のところまで来て、手を引いてくれた。最初は言葉通り、肩を貸してきたがむしろ歩きづらいからやめると言った結果、なぜか手を繋ぐことになった。

 

「…流石に自分で食べれるんだけど、てか俺の好きな鍋にしたんなら好きに食わせて」

 言い終えたそばからまた口元に箸が運ばれてくる。

「えー、でも久が「もう俺なんもできないから全部やって」って言ったんだよ。ほら、あーん」
「別にそれは本気じゃなく…うま」
「もっと白菜食べる?」
「ん、自分で食う」

 葉大の方へと置かれたカトラリーケースへ手を伸ばし、自分の箸を手に取った。一度目は妨害されたが、今回は「ちぇー」と呟くだけで特に邪魔されることはなかった。

「美味いんだから葉大も熱いうちに食えよ。ん」

適当に鍋から具材をつまみ、葉大へと差し出すとパッとその顔が明るくなる。

「好き」
「知ってる」


 ニマニマと見つめられ、俺は鍋へと視線を落とした。ようやく自分のペースで食べられるようになった俺は思う存分、鍋を堪能した。


 食後、ソファでテレビを見ているとトイレに行きたくなった。立ち上がり、キッチンの横を横切ると、「久」と名前を呼ばれた。振り向くと、じとっとした目で俺を見つめる葉大と目が合う。


「俺のこと呼んでよ」
「トイレ行くだけだから」
「ふーん」
「ついてくんな」
「俺がサポートしないと」
「いらんって、帰れ。扉閉めたいから離れてもらっていいですかー」 

 不服そうなまま手を離してくれない。

「…しつこくすんなら風呂も一人で入る」
「ごめんなさい」

 パッと両手をあげて「これ以上はしません」と意思表示する葉大にリビングへ行けと指で合図をし、しっかりとその姿を確認してふっと息を吐く。流石にトイレまでくるのはプライバシーの侵害だ。



 リビングへと戻り、ソファに腰かけている葉大の隣へと腰を下ろす。しばらく週末の予定なんかを話しながらだらだらしていると、廊下から「お風呂が沸きました」と音が聞こえた。

 葉大がこちらを振り向く気配に視線を動かす。

「入る?」
「うん」

  葉大へと伸ばした手が絡めとられた。ソファから立ち上がったところで抱き留められて顔を見上げると唇が重なった。食むようにして、数度リップ音が鳴らされた後、舌がぬるりと口内へ侵入してきた。

「…っ」

 ぐっと腰を寄せられ、次第に足に力が入らなくなっていく。

 唇が離れると、再びソファへと座り込んでしまった。行為のせいか、酸欠のせいかドキドキと心臓の音がうるさい。

「じゃあ行こっか」

 はあはあと呼吸を整えている俺とは対照的に葉大の声は随分と軽やかに聞こえる。

「ちょっとまっ…」
「ちゃんと捕まってて」
「うえっ」
 
 瞬く間に抱き上げられて、咄嗟に首へ腕を回し、身を寄せる。

「ちょ、重いだろっ、いいって!」
「うん、だから暴れちゃだめ」

 言い聞かせるようなトーンで言われ、グッと身を縮こめる。脱衣所に行くまでの間、俺はぎゅっと葉大にしがみついた。

 脱衣所で下ろされ、手際よく衣服が剥かれていく。ひんやりとした空気が肌を撫でて、鳥肌がたつ。

「ひっ…!」

 不意にすりすりと胸の中心を撫でられ、ビクリと体が跳ねた。 

「乳首勃ってる」
「ちがっ、寒くて…っ!いいからっお前も脱げよ」

 くにくにと指先で遊ぶ手を必死に掴んだ。楽しげな笑みを浮かべた葉大を睨み付ける。

「ごめん、早くあったまろっか」

 葉大はサッと服を脱ぎ、俺の手を引いて浴室へと入る。軽くシャワーを浴び、湯船へと浸かった。

 流石に男二人で入ると窮屈だが、体の芯まで温まる感じがして気持ちいい。10分ほど浸かって、ぽかぽかしてきたので湯船から出て体を洗うことにした。
 
「あちぃ。先に洗うわ」
「ちょっと待って、だめ、俺が洗う」

 浴槽から出てきたかと思うと、俺を椅子へと座らせた。長い指がワシャワシャと頭の上でシャンプーを泡立てる。ちょうどいい力強さで気持ちいい。頭を流し終えると、次は俺が葉大の髪を洗ってやった。

 髪を洗い終え、交互に背中を流した。肩へと置かれた手にドクドクと心臓が脈打って、下唇を軽く噛んだ。ざらりとした触感のボディタオルが泡を纏って肌の上を往復する。

 首回り、肩、腕と順に洗われ、ついに胸へと手が伸びてきた。思わず息をのみ、葉大の腕に触れていた手に少しの力が入る。

 しかし、予想とは裏腹に普通に洗われるだけだった。ボディタオルの曖昧な刺激のせいで物足りなさを覚える。

 足元まで何事もなく洗われ、泡が洗い流されてく。ほっとしたような、肩透かしを食らったような気分で息を吐く。まあ、この後ベッドに行くんだし…なんて考えたところで、後ろから伸びてきた手にすっと乳首を撫でられてビクリと体を震わせた。

「うぁ…っ」
「乳首ぴんぴんだけど、また寒い?」

 クスクスと耳元で笑う声に顔が熱くなった。

「っ…ちが、ぅ…」

 呼吸が上がっていく。気持ちよくて切なくて、抑えようと思っても体が動いてしまう。片方の手が胸から下半身へと移動していくのをただ見つめる。硬くなったそれを軽く撫でられただけで先走りが溢れていく。

「心臓すご。こっちも、さっき洗ったばっかなのに」
「んっ…だって…っ」
「こっち向いて久」

 体を翻されると、勃ちあがったお互いのものがぶつかり、腰の動きに合わせてすりすりと擦れ合った。唇が重なり、舌を絡ませている間も無意識にゆらゆらと腰が揺れる。

 掴まれた手が擦れ合う場所へと誘導され、混ざり合った先走りを手のひらに塗りつけた。快感を求めて、欲しいようにぐちゅぐちゅと手を動かす。葉大の指が再び胸の先へと触れると、その気持ちよさともどかしさで先程までのように上手く呼吸ができなくなっていく。

「んっ、ん…っ…ぁ…は…」

 唇と唇の隙間から吐息が漏れる。体が引けて後退さったものの、すぐ後ろに壁があるせいで意味がなかった。

「久。手止まってる」
「ン…」

 いつの間にかただ握っているだけになっていた手をまた動かす。舌も、胸も、動かす度にいやらしい音を立てるそこも、強い快感に逃げ場がなくガクガクと体が震える。

「ふっ…ふーっ…、ぁっ…んん…っ、っ…ッ…ン」

 ドッと体の力が抜け、二人分の精液が手を汚す。ぼんやりしたまま名残惜しげに唇が啄ばまれるのを受け入れた。

「また汚れちゃったな」
「ん…」

 てきぱきとシャワーで洗い流しながら言う葉大の言葉に、未だ快感が抜けきらず空返事をする。

「大丈夫?久、湯冷めした?」

 ニヤニヤした顔が眼前に現れて、ぶんぶんと首を振って胸元を隠した。



 液晶画面に映る映像を眺めながら、葉大の足の間でドライヤーの暖かい風に吹かれる。髪の間を通る指が気持ちよくて、いつの間にか瞼が落ちてきた。名前を呼ばれて再び目を開けた時には俺の髪も葉大の髪もすっかり乾いていた。目を瞑っていると心地よくてゆっくりと瞬きを繰り返す。

「もう寝る?」

 髪を撫でる温かな手がますます眠気を誘う。

「…………もうねんの?」

 最後までしてないのに。まさかあれで終わりじゃないだろう。

「葉」
「眠いんでしょ」
「…もう目ぇ覚めた。…頭触んのやめて、眠くなるから」

 寝かしつけようとでもいうのか頭を撫でてくる手から逃れ、葉大の隣へと座り直す。

 じっと目を合わせていると、ちゅっと軽いリップ音を立てて唇が重ねられる。もう一度重なる時に舌先でチロリと葉大の唇を舐める。応えるように唇が開き、俺たちは舌先を合わせた。

 早く抱かれたくてうずうずして、そろりと葉大の股へと手を伸ばした。

 
「どこで覚えてくんの」
「お前から」
「そうじゃなきゃ困るけど…」
「うん、全部お前から」

 鼻先が触れるほどの距離。急速に熱が上がっていくのを肌で感じる。

「やっぱ眠いとかナシだから」
「わかってる」


 薄暗い寝室の中、仰向けで足を広げ、全てをおおっぴろげにした状態でベッドに転がっていた。何度しても恥ずかしくて、こういう時は決まって手や腕で顔を隠す。ナカをほぐす二本の指がイイトコロを掠めて、ピクリと体が跳ねた。

「気持ちいい?」
「っ…」

 黙ったままでいると、そこをコリコリと愛撫される。逃げるように浮かせた腰を手のひらで押し戻され、いてもたってもいられず体を捩る。

「んんっ…!も、はいるから…っ」

 下ばかり構っていないでほしい。
 
 その思いが聞き入れられ、ぐぷりと葉大のものがナカへと挿入ってきた。ゆっくりと奥まで挿しこまれてナカが葉大の形へと押し拡げられていくのが自分でもわかった。

「ふっ…う……」
「そんな可愛い顔してもだめ。馴染むまで待って」

 挿入っているだけで動いていないのに、じわじわと気持ちいい。唇を重ね始めるとキュウキュウと締め付けてしまうのを感じて恥ずかしくなる。自分でこんなにわかるなら、ナカにいる本人にもバレているだろう。

 触れ合う素肌から伝わる体温も気持ちいい。

「久。動くよ」
「ん、はやく」

 ゆっくりと引き抜かれたかと思うと、ナカの壁に押し付けるようにまた挿入れられてゾクゾクとした強い快感が体に走る。馴染ませた分、その動きが敏感に感じ取れてたまらなくなる。
 
「ああぁ…っ!ぅっ…あ、あ…っ…っ、ん、……フーッ…ふっ……うあっ!」

 動きに呼吸を合わせ、声を抑えようとしてもカリ首がナカのしこりに引っかかると息と共に声が溢れた。

「気持ちいいね」
「ん…っ」

 葉大はゆるやかに腰を動かしたまま、覆い被さるような体勢で唇を食む。気持ちよくて幸せで頭がバカになりそうだ。

 少しずつ動きが速まり、ぱちゅぱちゅと肌がぶつかる音が部屋に響く。甘イキを繰り返して目の前がチカチカした。

 滲んだ汗で顔に張り付いた髪を葉大の優しい指が払う。目が合うと幸せそうな顔で笑うから胸が高鳴る。

「愛してるよ」

 不意打ちで囁かれた言葉に嬉しさが込み上げてきて熱くなる。

「ッ…ク…っ、おれ、俺もっ…」

 ビリビリとした快感が全身に広がって、キツく葉大のモノを締め付けた。離れないよう、その体温をぎゅっと抱き締める。

「ンッ…締め付けすご」

 長い余韻にビクビクと体を震わせる。ナカで硬いそれも脈打っているのがわかった。

 葉大も横になり、しばらく抱き合ったまま呼吸を整える。このまま眠ってしまいそうなほどにクッタリとした脱力感が心地いい。

「このまま寝たい」
「うん、俺もそうしたい。…でも流石に抜いてゴム取んないと」
「……あと30秒…1分だけこのままがいい」


 そんな会話をしたのが最後。2秒、3秒と心の中で数を数えているうちに眠りに落ちた。


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