触れる唇(短編詰め合わせ)

イツキカズラ

文字の大きさ
8 / 24
触れる唇(物語中盤)

触れる唇②

しおりを挟む


「は?や、そういうん」

「だめだよ久」

​ 俺の言葉を遮り、するりとその顔を俺の首に埋める。首筋に唇の柔らかい感触が二度、三度と重なり、じわりと顔に熱が集まるのを感じる。

「久は気持ちいのに弱いんだから。…こうなったらもう引き返せないんだからさ、来ちゃだめでしょ」

「あッ!?ちょ、葉……っ……はっ…ッ!」

 性急な動きで葉大の手が下着の中に潜り込む。体温の高い大きな手のひらが陰茎を包み、するすると撫でられて吐息が溢れる。反応したそこを無遠慮に刺激されて戸惑った。
 
 そのつもりで来ていたとはいえ、普段とは違う流れに心臓の音が急速に大きくなる。いつもなら薄暗くした部屋でしつこいほどの全身への愛撫を受けてとろとろに溶かされるのだ。今日のようにいきなり触れられることなんてなかった。

「っ…んっ……、っは」

 首筋をなぞっていた唇はフェイスラインを辿り、こめかみから耳へと移動し、甘噛みされるたびにピクリと体が震える。絶え間なく与え続けられる刺激で局部からくちゅくちゅと濡れた音がし始めて、それがひどく鼓膜に響く。

「かわいい久」
 
 ぽそりと呟かれた言葉がじわじわと脳を焼く。空いた右手が薄いTシャツの上からするりと胸をなぞった。

「この姿勢触りにくい。久、ベッド行こっか」

「…ん」

 今、視線を合わせたら「好きな人」を見透かされるような気がして、目を伏せたまま小さく頷いた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

処理中です...