触れる唇(短編詰め合わせ)

イツキカズラ

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触れる唇(物語中盤)

触れる唇④

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 視線が交わったまま近付けられた顔に思わず目を瞑る。口と頬の間に柔らかい感触がした。その感触は顎からフェイスラインへとなぞるように触れていく。

 …ちゅーされるかと思った。顔が熱い。心臓の音がバクバクとうるさい。
 もし、この柔らかい唇に深く求められたらどれほど気持ちいいんだろうか?

 初めて触れられた日にされかけたのを咎めてから一度だって唇を合わせようとしてくることはなかった。きっともう二度としてくることはない。自分で禁じたことなのに勘違いして受け入れようとした自分が恥ずかしい。あの日拒んだ自分を少し恨めしく思った。

「っん!?あっ、ぅあ………~~っ!ん゛っ…ん!」

「久こうやってぎゅーって前立腺潰されるの好きだよね、気持ちぃ?」

 腹を先走りと白濁液で汚しながら快楽に身を悶えさせる。絡めた手に力が入る。葉大の手が体のラインをなぞるたびにぞくぞくとしたものが背中を走ってたまらない。荒い呼吸を飲み込むように唇を結んだ。

「ん…かわいい。もうちょっと頑張れる?」

 快楽に蕩かされた頭で頷く。揺られる度に響く濡れた音も葉大の荒い呼吸音も熱を帯びた目もその全てが俺を抗えなくさせる。



 気付けばちょっとどころではないほどに追い立てられていた。葉大の荒い呼吸がすぐ耳元で聞こえる。

 気持ちのいいところを集中的に突かれて、何度も目の前がチカチカするような快感に襲われる。脳が溶けるような強烈さにナカがきゅうきゅうと葉大のものを締め付けるのが自分でもわかった。
 
「あ゛っぁ…う、…んッ!よぉ…葉大…っも、っ…ん、ん……よ…っぁ、はっ……ぁッ!」

 途切れることなく与えられる快感が恐ろしくて、なんとか逃したくて、縋り付くように葉大の背に腕を回した。

「今までで一番気持ちよくなろっか」

 言い聞かせるような優しい声が腰に響く。絶え間ない快感の波に涙が溢れた。それを拭う手は優しい。

「もっ!きもち…ッ……気持ちいいからっ!きもちぃのキツ、い、からッ…ッ!ゔ~~っ」

「久。腰逃げんな」

 無意識に浮かした腰を引き戻されて奥まで届いたその質量に目を見開いた。

「んぁ゛っ…!ふ、ぅ…なんっ、…~ッ゙!」

 無遠慮にごちゅごちゅと責め立てられる。こんなにも快感を与えられて、愛しいものに触れるみたいに撫でられていたら頭がおかしくなる。勘違いしてしまう。それが怖くて、押し寄せる甘い波に悶えながら自分を言い聞かせる。わかっていても苦しい。

「ふー…。久締めすぎ。イキそ…抑えて」

「はっぁ…ッ…!もッむり…!も…いけよ!んっ、っ…も、お、おしまい…ッ」

 ジタバタと必死に快感に震える手足を動かし、首を振る。これ以上気持ちよくなるのも涙でぐしゃぐしゃになった顔を見られるのも怖かった。

「…ぁ……あ゛っ!…~ッッ!!」

 小さく「ごめん」と呟いて髪に唇を落とされる。その後すぐに屹立したものを一際押し込まれて声にならない声を上げる。ナカを圧迫するものがピクリと動いたのを感じた。

 入っていたものをずるりと引き抜かれると甘い余韻を残したまま、ふっと体の力が抜けて一気に眠気が襲う。ぼやけた視界でも葉大が曇った表情で俺を見ているのがわかった。

「久」

 微睡む俺の涙に濡れた顔を優しい手つきでぬぐってふわりと髪を撫でる。そっと名前を呼ぶその声に初めて本当にこいつは俺のことが好きなんじゃないか、なんて思った。


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