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第二章「長沢の戦い」
第九話「三河」
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慶長二十年五月 大坂
「これが本多平八郎忠勝の初首級と、拙者の名前が世に知られるようになった最初の物語でございまする」
老将の誇らしげな態度に、若武者は微笑を浮かべる。
「なるほど」
そして、老将は話を続ける。
「その後、大御所様は今川方の者たちや近隣の諸豪族などを屈服させていき、永禄六年には御名前を松平家康と改名。今川義元殿の『元』の字を廃することにより今川との決別を明確に示し・・・」
老将がそこまで言うと、若武者が割って入る。
「ついに三河を統一し遠江(とおとうみ)へ進出、というわけか」
若武者の言葉に老将は笑い出す。
「何がおかしい、忠右衛門」
笑われたことに不満な表情を浮かべる若武者。
「いやいやいや、そう簡単に事は進みませぬ。実は、家康公の三河統一を目前で阻んだ者がおりました」
「ほほー、それは一体どこのどやつじゃ?」
若武者の質問を聞き、老将は待っていましたと言わんばかりに、にやりと笑う。
「それは何を隠そう・・・」
「何を隠そう?」
「・・・某でございまする」
「は?」
若武者は、老将を白い目で見る。
「忠右衛門、くだらん冗談もほどほどに致せ」
その言葉に老将は再度笑い出す。
「はっははははは、失礼失礼。しかし、若。あながち冗談でもありませんでな」
老将の言葉に若武者の目の色が変わる。
「どういうことじゃ?」
若武者が興味を示した事に対し老将はにんまりと笑う。
「某が、大御所様に刃を向けたという事でございまする」
老将の発言に、若武者は驚きの声を上げる。
「なんと!それは真か?」
頷く老将。若武者は嬉々とした表情を浮かべる。
「・・・実におもしろい。是非、話してもらおうか」
若武者の要望に老将は笑顔で応える。
「それは、三河一向一揆の折のことでございまする・・・」
「これが本多平八郎忠勝の初首級と、拙者の名前が世に知られるようになった最初の物語でございまする」
老将の誇らしげな態度に、若武者は微笑を浮かべる。
「なるほど」
そして、老将は話を続ける。
「その後、大御所様は今川方の者たちや近隣の諸豪族などを屈服させていき、永禄六年には御名前を松平家康と改名。今川義元殿の『元』の字を廃することにより今川との決別を明確に示し・・・」
老将がそこまで言うと、若武者が割って入る。
「ついに三河を統一し遠江(とおとうみ)へ進出、というわけか」
若武者の言葉に老将は笑い出す。
「何がおかしい、忠右衛門」
笑われたことに不満な表情を浮かべる若武者。
「いやいやいや、そう簡単に事は進みませぬ。実は、家康公の三河統一を目前で阻んだ者がおりました」
「ほほー、それは一体どこのどやつじゃ?」
若武者の質問を聞き、老将は待っていましたと言わんばかりに、にやりと笑う。
「それは何を隠そう・・・」
「何を隠そう?」
「・・・某でございまする」
「は?」
若武者は、老将を白い目で見る。
「忠右衛門、くだらん冗談もほどほどに致せ」
その言葉に老将は再度笑い出す。
「はっははははは、失礼失礼。しかし、若。あながち冗談でもありませんでな」
老将の言葉に若武者の目の色が変わる。
「どういうことじゃ?」
若武者が興味を示した事に対し老将はにんまりと笑う。
「某が、大御所様に刃を向けたという事でございまする」
老将の発言に、若武者は驚きの声を上げる。
「なんと!それは真か?」
頷く老将。若武者は嬉々とした表情を浮かべる。
「・・・実におもしろい。是非、話してもらおうか」
若武者の要望に老将は笑顔で応える。
「それは、三河一向一揆の折のことでございまする・・・」
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