⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

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ヒトのキョウカイ3巻(時給より安い命)

07 (太陽系殲滅兵器『天尊株』)

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 1時間前、ナオとクオリアがダイブする直前…。
 トヨカズは シミュレーターでパワードに乗っていた。
 ガッシリとした機体で背中には 弾薬コンテナを背負っている。
 パワードが走り出す…。
「これならフルスペックでも十分使えるな…。」
 パワードは 拠点防衛と孤立した味方機への補給、高火力での援護攻撃と幅広い使い方が出来る。
 それは遠距離から正確に目標を撃ち抜く、トヨカズのスタイルとマッチしていた。
 だが、積載重量が多く取れるようになった事で 機体重量が増し、敏捷性びんしょうせいは他の機体に比べ下っている。
 ただ、舗装された道路を足についているタイヤで走るなら それなりに速い…。
 のだが…エレクトロン仕様のフルスペック機体では、機体出力が上がった事で敏捷性びんしょうせいが上がっている。
 機体出力でゴリ押している感が強くスマートでは無いが、広い視野を持ちつつ 脳内リソースの確保も出来ている…。
「よし、これに決めた…。」
 一通り機体を乗り回し、トヨカズはパワードに決める。
『武装は…実践テストをして見たかった これを使ってみるか?』
 量子光がライフルの形になって行き、パワードの隣にライフルが現れる。
 形状はスナイパーライフルだが、バレルの下にAQBがバッテリホルダーに入れられ収められている。
 銃を構える…重心が少し前に行っているが…これは感覚で補正をすれば大丈夫だろう。
 目標は7km先の人型の板…通常装備なら5kmが限界だ。
 殆《ほとん》ど地平線で 地球上での最大射程…。
 それも立ち姿勢での射撃…当たる方がおかしい。
 が、それでも狙うのがスナイパー…。
 トヨカズ機がスナイパーライフルに指をかけ…撃った。
 量子光がマズルブレーキから放たれ、大出力の電気が流れて弾が加速し飛ぶ。
 弾が驚くほど真っすぐに飛び…人型の頭をかすった。
 感覚を掴《つか》んだ…。
 着弾から1秒置いて、2射目を発射…今度は的の真ん中に当たり木製の的が粉々に砕けた。
 何だろうこの感覚…驚くほど狙った所に当たる…。
『どうだ?』
 ジガが聞いてくる…。
「気に入った…持ってく」
『よっしゃー!』
 さっきから機体の問題ばっかりを言っていたので 好感触の評価が嬉しいのかジガが言う。

 さて、コクピットブロックからトヨカズが出る…。
 しばらくして、ゴンドラパレットにドラムのジムに天尊…ロウとレナを乗せたフォークリフトがこちらにやってくる。
 運転しているのはエルダー・コンパチだ。
「お疲れ…エレクトロンの機体はどうだった?」
 ゴンドラパレットで運ばれているレナがトヨカズに言う。
「スピーダーは 正直扱いきれない…大幅なリミッターが必要だな。
 ベックとパワードはフルスペックでも十分行ける。
 むしろ機動性が上がった分…弱点を克服したと見えるんじゃないか…。」
「なら、ベックとパワードを2機ずつ購入で話をまとめましょうか…。
 いいですね…エルダー。」
「ええ、購入なら言ってください。
 24時間で製造から配送まですべて出来ますから…。」
「?機体を買うのか?」
「そう、ワームと戦うなら次世代機へのアップグレードは必要でしょうから…。」
 なるほど…分解して解析か…。
「それとトヨカズさんに僕からプレゼントです。」
 ジムから降りた天尊が箱を取り出す…。
「開けてみてください…。」
 見た所、遺伝子認証ロック…トヨカズは指でスイッチを押し認証…開ける。
「やっぱり」
 天尊は小さく言った。
 中に入っていたのは小さなプラスチック製のカードだ。
 トヨカズがカードをよく見る…キャッシュカード?
 今では完全に電子マネー化されているので必要ないが、旧時代は紙の金に換える為のカードがあったらしい。
 それがキャッシュカード。
「キャッシュカードなんて初めて見るな…いくら入ってるんだ?」
「10兆UM相当の株です。」
「は?10兆?なんでオレに?」
「遺言です…あなたのお父様からの…。」
「お父様って…いや…生きて、ああオリジナルの方か…。」
「ええ、リ・トヨカズです。
 豊和重工ほうわじゅうこうの跡取り候補の1人だった人です。」

 豊和重工ほうわじゅうこうは DLを中心に当時の自衛隊に兵器を納入していた日本の重機メーカーだ。
「当時、我が社は資金繰りが難しくてですね…。
 豊和重工ほうわじゅうこうに全体の4分の1の株を買い取って貰ったのですよ。
 その後も軍事品の輸送で取引もありましたしね。」
「アンタらが死の商人と化してた時代か…。」
「言っときますけど各国の軍備増強が目的で、我が社は抑止《よくし》狙いでしたよ…。
 えーと話を戻します。
 当時の社長の遺言で、資産は子供達で等分…。
 中国人との愛人との間に生まれた リ・トヨカズには、天尊の株券を譲渡《じょうと》…。
 ですが…遺言の書き方で問題になりまして…。」
「書き方?」
 天尊はARウィンドウを出し、その部分を読み上げる。
『豊和の名を持つ我が子は、弁護士立ち合いの元、資産を当分しなければならない。
 なお、めかけの子である李・豊和には、豊和重工ほうわじゅうこうが所有する天尊株のすべてを譲渡《じょうと》する。』
「どこが?」
「当時の社長としては リ・トヨカズには天尊株を与えるだけだったのでしょうが…。
 これ、漢字に当てると『ほうわ』と読めるんです…。
 つまり、リ・トヨカズは 資産の4分の1と天尊株を貰える事になります。」
「うわぁ…ふりがな振っとけよ…。」
「トヨカズと名前を付けたのも、妾の子でも一族の一員にしたかったとの事なので、理屈は通っているんです。
 そして、13歳のリ・トヨカズの後継人、母の李・真意シンイーと一族が揉めまして、李・真意と李・豊和は、テロリストに護衛のDL、6機と移動用の装甲車1台を大破させられ、2人は殺害、乗り捨てられたDLは メッセージ性があるのか純正の黒鋼でした。
 そして、資産は3人で分割になり、リ・トヨカズの精子は李・真意の元、天尊の精子バンクに預けられました。
 クローンなら相続権は、リ・トヨカズの下…兄弟の上と判断されるのでバックアップの為でしょう。」
「母親の方も相当クズだな…。」
「それだけ莫大なお金だったのです…。
 なので、あなたは 1億UM相当で買った株券を10兆UMで売る事が出来ます。
 リ・トヨカズのクローンとして相続しますか?」
「そりゃあ勿論…だが、売る事が条件か?」
「ええ、例えば今10兆UMを市場で売ったらどうなると思います?」
「えーと」
 トヨカズが少し考える。
「株の量は市場を独占できるレベルだから、株の価格が急下落…。
 企業に問題があって株を手放したと思われるわね」
 ゴンドラパレットから降りたレナがトヨカズに言う。

「そうなれば 天尊だけでは無く、系列の企業が総倒れになる可能性もあります。
 つまり、太陽系全体の経済崩壊です。」
 うわっ…普通に売るだけで、太陽系の経済が崩壊するのか。
「てことは、売る役は専門家に任せるのか?」
「ええ、手続きとしては『天尊カンパニー』に株を無償で譲渡《じょうと》…。
 そのお礼として10兆UMを渡す…と言う感じになります。
 株は数年かけて市場に売られます。」
「う~ん…分かったやろう」
 確かに10兆UMの株券を持つのは危険だ。
 なら、専門家に渡してこっちは報酬を貰った方が安全か…。
 天尊が端末を差し出す。
 端末には、契約内容が延々と書いてあり、トヨカズはしっかりと読み、間違いない事を確認して、タッチペンでサインをする。
 そして、指を差し込み遺伝子情報を記録する。
「凍結していたリ・トヨカズの口座をトリデ・トヨカズに切り変わりました。
 10兆UMは、1ヶ月後こちらから中央銀行の口座に送ります。
 精子バンクや設備維持費は配当金と言う形で処理しますのでご心配なく…では。」
 天尊がドラムのジムに乗り立ち去った。

「おいおい、どうするよ…」
 一瞬で大富豪か…。
「てか、アントニーも関わっているでしょうしね…」
「うわぁそう言う事か」
 Y染色体の劣化問題で先祖のクローンを作って遺伝子プールを増やす事を言ったのは、都市長のアントニーだ。
 それでオレは作られたんだが、まさか…相続させる為にオレを産み出したのか…。
 ずる賢いヤツとは思ってたが…ここまでとは…。
 トヨカズは、はぁとため息を付く…。
「ジガ…パワードと、あのライフルの所に連れてってくれ。」
「はいよ…」
 ジガがフォークリフトに乗り、トヨカズがゴンドラパレットに乗り、動き出した。
 まぁ生まれた以上…楽しんだ方が勝ちだ。
 とは言え後でその辺りの事ははっきりさせないとな…。
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