⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

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ヒトのキョウカイ3巻(時給より安い命)

28 (現場の命、都市の命)

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 レナとジムがハンドガンを構え、スライドドアを開ける。
 後ろには天尊と肥満で走り、汗をダラダラと流すピースクラフトがいる。
 場所はサーバールーム…大型冷蔵庫位のサーバーが6台並び、中央区のシステムを支えている。
 正面には椅子に座り、物理キーボードで操作をする…多分ヘンリーの後ろ姿…。
 レナとジムが中に入り、レナは右からジムは左から敵がいないか銃を向け確認する。
 どうやら、ヘンリー・ジャクソンだけ見たいだ。
「ヘンリー・ジャクソンですね…。」
「ええ、待ってました。」
「待ってた?」
「さあ、ヒトらしく 話し合いで解決しましょう。」
 ヘンリーが最後のエンターキーを押し、椅子を回してこちらを向き、手を上げる。
 レナは銃を降ろしホルスターに入れる…ただセーフティを掛けてはおらず、すぐに抜いて撃てる状態だ。
 レナがハンドサインでジムに銃を下ろせと合図する。
「ジェームズ?」
 ジムが天尊に確認を取る。
「ああ、許可します。」
 ジムがハンドガンを下ろす。
「さて、既に爆弾は投下されています…。
 事態がどう転ぼうと私達の勝ちです。」
「でしょうね…で、何が望み?」
 詰まる所、この作戦は この部屋に来させない為の陽動だ。
 このサーバールームで何かをやる気なのでしょう…。
「私の目的は情報の公開です…。
 安全で公平だと言われている都市管理システムですが、実体はシステム管理者を中心とした特権階級を優遇するシステムです。
 このシステムの仕様を公にして、都市民にこのシステムを続けるか意見を仰《あお》ぎます。
 そして、今、太陽系中のネットへアップしました…もはや駆除するのは無理でしょう。」
「何て事を…そんな事をすれば、この都市がどうなるのか理解しているのか?」
 レナの後ろにいるピースクラフトが言う。
「それが民主主義デモクラシーと言うものです。
 あくまで考えるのは国民…政治家は正確な情報を提供するだけで良いのです。
 そして、民意の元に政策を決定する…これが正しいやり方です。」
「無教養な都市民に何が出来ると言うのか…彼らにシステムを任せたとしてまともに運営出来るとは思えない。」
 ピースクラフトがヘンリーに反論する。
「なら、独裁政治にすればいい…。
 政策に失敗すれば都市民から殺されますが、あなたの好きに出来ますよ…。」
「………。」
「無理でしょうね…そうなった場合、あなたは自分が殺される事を理解している…。
 さてピースクラフト…あなたには、2つの選択が出来ます。
 システム権限を私に変更し、それなりに快適な余生を楽しむか…。
 民主主義に乗っ取り、都市民に殺されるかです。」
 情報を公開された時点で ピースクラフトは確実に都市民の敵になった。
 民衆は 今の過酷な状況をすべてピースクラフトの責任だとし、彼を殺すだろう。
 もし、生き残ったとしても太陽系中のネットに拡散された以上、社会的に抹殺される事は確実だ。
 この状況だと誰かの庇護ひごの元暮らすしか方法が無い。
「1つ聞きたい…ジャクソン…。
 君は、君の言葉で間接的に死んだ人に対してどう思う?」
「ヒトが生きる以上…常に何かを犠牲にしています。
 私達に出来るのは、このバグに対してパッチを当て続ける事だけ…。
 今回の件でこの都市の様々なバグが浮き彫りになりました。
 ピースクラフトの都市システムにパッチを当てて、同じ問題が起きないようにする。
 それが、死者の犠牲を無駄にしない方法だと私は考えます。」
「分かった…
 ピースクラフトはシステムコンソールに触れ、認証をした。
「その決断は、今までの政策の中で一番良かったと思いますよ…。」
 そう皮肉を言い、ヘンリーもコンソールに触れ、管理者を引き継ぐ。
「良いの?」
 ピースクラフトが戻り、レナとすれ違い、レナが聞く。
「ああ、確かにあなたの言う通りだ…。
 あの遺体を見ては、もう人を数字として切り捨てる事は出来ない。
 彼が新しい、ピースクラフトだ。」
 現場は上に対して『人の命を数として考えている』と言う。
 ただ、非情な決断を行えるのは『人の命を数として扱える』人だ。
 そして、現場の命を理解した上で 数として切り捨てが行えるのが、私が思う正しい管理者だ。
 ピースクラフトは もう現場の人になってしまい、切り捨てる事が出来なくなってしまったのだろう。

 その時、天井が崩れ、上から来た何かが6台のサーバーを破壊した。
 瓦礫の破片が散乱銃の散弾の様に降り注ぐ。
 レナはとっさに、ピースクラフトの足をかけて、頭を掴《つか》み地面に叩きつける。
「がはっ」
 レナは頭を抱えて伏せ、散弾をやり過ごす…。
 レナは耐弾素材で出来ているパイロットスーツを着ている為、何発か当たるが、痣《あざ》位で済むだろう…。
 問題は 被弾面積の大きいピースクラフトに数発当たり、血が出た事だ。
「あああああ」
 自分の血が出ると言う体験をした事が無いのだろう…。
『ああ』と声にならない音を発している。
「動かないで…。」
 応急処置程度なら何度もやっている…。
 レナがピースクラフトの傷口を見る。
 破片は ピースクラフトの分厚い皮下脂肪装甲に阻まれ、中まで到達していない。
 出血も少なく…表面の皮膚だけだ。
「大丈夫 死なない…傷口を手で塞いで、それで当分は大丈夫。」
「ぐっ…本当に…。」
「私はから…。」
 レナが笑みを浮かべながら言う。
「皆、大丈夫?」
 レナがハンドガンを抜き、構えながら探す…。
「どうにか…。」
 天尊はスーツ姿だが、下にパイロットスーツを着込んでいた事もあり、無事。
「私も無事です。」
 ジムは伏せれられないので破片がモロに当たったが、DL用の装甲と同じ物を使っている為、大した事は無い。
 問題は…一番近かったヘンリーだ。
「大丈夫…いくつか貰いましたが無事です。」
 突入部隊を指揮していたヘンリーは当然ながらパイロットスーツを着ている。
「さて、何が…。」
 ヘンリーが原因を調べて固まる。
 天井から突き刺さっているのはワームだ。
「でも、前のとは違う…ミサイル形態?」
 レナが銃を向ける…こんなハンドガンでは急所を狙ったとしても致命打は与えられない。
「動かない…死んでいる見たいですが…。」
「気を抜かないで…脱出を…。」
 レナがワームに銃を向けながら後ろに下がり、スライドドアのスイッチを押すが作動しない…。
「閉じ込められた。」
「サーバーが やられたからでしょう…。
 通常なら1時間位で残りのドームからのバックアップが受けられ復旧するはず…。」
「1時間も?」
「この都市の規模だとその位掛かります…残るは空いた穴から出る方法ですね…。
 ワームを足場に使えば登れます。」
「でも目覚める可能性があるわよね…。」
「なら尚更なおさら、時間が経てば経つほど目覚る可能性が上がるのですから…多少無茶でもやった方が良いでしょう…ここで目覚められたら、まず生き残れません。」
「分かった…。
 ただジムとピースクラフトはどうするの?
 あれを上るのは無理よね…。」
「ジェームズ…私の収納ボックスから救急箱を出してもらえますか?
 私はピースクラフトさんを治療しつつ待機します。」
「しかないですかね…。」
 天尊がジムの後ろに乗る為の足掛けの上にある装甲を開けると収納ボックスになっている。
 ドラムはその体型のお陰か余剰スペースが多い…。
 なので追加パーツなどの改造が利く…ジムは緊急用の収納ボックスを装備していた。
「さて、行きましょう。」
『レナ…何処どこだ…レナ』
 スピーカーから私を呼ぶ声…トヨカズだ。
「こっち…こっうああああ」
 トヨカズ機がシャベルでミサイル型ワームを突き刺す。
 レナ達はスライドドアの付近で隠れ伏せる。
「せっかく助かったのに死なすつもり!!」
『ああ、そこにいたのか…今、天井を崩す。』
 ワームが開けた穴が広がり、トヨカズ機のパワードが降りる。
 天井が2.5mしか無く、立っているDLは腹部までしか見えない。
 トヨカズ機がしゃがみ、両手を出す。

「無事で良かった。」
『はぁ…まぁありがと』
 レナの身体を両手で抱え瓦礫がれきの上に上げる。
 戦闘開始から2時間程…やっとトヨカズの戦闘が終わった。
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