⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

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ヒトのキョウカイ2巻(エンゲージネジを渡そう)

15 (生活保障金本位制)

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 砦都市が所属するトニー王国は 北大西洋の ど真ん中にある島だ。
 そこから高度100kmまであがり重力を振り切る…。
 いや厳密には地上に向かって延々と落ち続けているだけなんだが、ただ あまりにも速度が速いので 落下する前に水平線に到着してしまい…地表から100kmを維持している。
 そして 日の出と日の入りが90分で訪れる。
「あれ?陸が丸く えぐれてる?…えーと場所は…オーストラリア…シドニー付近?」
 レナが視覚映像から陸地の形をスキャンし検索をかける。
『何?…コロニーでも落ちたか?』
 トヨカズが冗談を言いつつ、天井を両手で押し レナとロウの隣に上手く着地する。
『うわっマジでえぐれてる…』
『それは 大戦後に出来たものだ…。
 やったのは当時のエレクトロンだと言われている。』
 トヨカズの後ろからクオリアがやって来る。
「大量破壊兵器でも使ったの?でも大戦後でしょ…」
『圧政を引いていたからだ…。
 シドニーの近くの町に人を集めて…シドニーを消滅させて見せた…。』
「うわっそれ恐怖政治」
『そうなる…でも、上の命令で間接的に殺される低所得者の大部分を救う事が出来た。
 今の社会システムの基本も簡単に押し付ける事が出来たし…少なくとも元は取れたと思う。』
『ちなみにシドニーを指定したのはウチな…。』
 ジガが副操縦席から通信で話す。
「本当に必要だったの?」
『今思うと確かに やり過ぎだったと思うんだが…ウチらは未来を見れないからな…。
 少なくともあの時点での最適解だと思ってる…。』
「もしかしてエレクトロンが『歩く大量破壊兵器』って呼ばれるのはこれが原因?」
『そう言う事…他にも『逆らえば粛清《しゅくせい》されるとか』…『新ソビエト』とか』
『もしかして参考にしたのはスターリン?』
 ナオがジガに聞く。
『そうなる。
 まぁ技術力を付けさせる為に無理やり働かせる事はあったが、粛清《しゅくせい》情報はネットに流しただけ…。
 過労死も粛清《しゅくせい》による死亡もいないはず…ああ『シベリア送り』はしたか…。』
 クオリアが思い出したように言う。
『うわぁ』
『一応言っとくが、シベリアは都市の名前な…。
 実際はここに入れられた奴がアーコロジーを建設して人の自立都市を作ったんだ。』
「てことは砦都市も?」
『そう…あそこは『オーパーツを使わない。』人が作った都市…オーパーツを使えないから、
 エレクトロンがまともな支援も出来なくて かなりの数が死んだんだ…。』
「ああ…それでオーパーツにやたらと、こだわっていたのね…マズかったかしら?」
『ルールの大前提は、都市民が幸せに暮らせるようにする事…。
 それが都市民の幸福に繋がらないなら、必要に応じて破るべきだろう』
 クオリアが言ってくる…。
「う~ん」
 それは正しいと思う…。
 だけどあの時、最後に決めた理由は私の感情だ。
 理屈も関係なく…感情で選んでしまった。
 後悔はしてないし、むしろあれで良かったと思っている…。
 けど…遺族や慰霊碑《いれいひ》の前で自信を持って正しかったと言えるだろうか…。
『今はまだ分からなくてもいい…見習い期間なんだから、目一杯考えて学べばいい』
「そうしてみる…」
 『オーパーツを使用しないと言う規則に違反する』
 『例え住民が生き残ったとしても都市の理念が崩壊してしまう』
 ワーム進行事件の時に聞いた言葉だ…。
 あの時は『都市民を殺す理念なんていらない』と思っていた…いや今も思っているけど…。
 もしかしたら命より大事なものだったのでは?
 レナは床を蹴り上げて席に戻る…やっぱり私は馬鹿だ…。
 だけど、もう馬鹿で済まされる事でも無い。
 私の言葉で間接的にヒトが死ぬのだから…。
 今はとにかく学ぼう…考えよう…知らなければ 判断すら出来ないんだから。

 宇宙に上がり地球を回る…。
 1周目は降下距離が稼げない為、目的地の状況確認をして2週目でゆっくりと降下する。
『警告…下方向に降下機…注意をお願いします。』
『了解した。』
 クオリアがコクピットシートから下を向く…。
 透過された機体が大きな地球を映し、降下機のシルエットが赤く強調されている…。
『機種、エアトラS2…如何どうやら この周回で『エクスマキナ』に降りる見たいですね…。』
『客か…名前は分かるか?』
『所属は天尊てんそんカンパニー…。
 搭乗者はプライバシーの為 話せませんが 所有者は『ジェームズ・天尊』です。』
『面倒だな…』
「天尊ってネットインフラを作って ネット通販で成功した会社だよな…まだ生きていたのか…。」
 ナオはクオリアの後ろの席から話す。
『生きているどころか…殆《ほとん》ど太陽系の管理者だよ。
 物流をすべてを握っているんだから』
 副操縦席のジガが、ナオの方を向き言う。
「そんな危ない会社を大戦後に野放しにしていたのか?」
『天尊カンパニーの所在地がスペースコロニー…つまり宇宙だったから私達の管理外。
 大戦後も外注とは言え、エレクトロンの物流業を委託されて営業はしていたから信用はあった。
 そもそも、ちゃんと自立している以上手を出す理由も無い』
 今度はクオリアだ。
『共通通貨のUMユニバーサル・マネーも天尊が発行しているし…。
 そもそも今の経済システムは 天尊が作ったようなものだしな…。』
「ちょっと待て…それはマズくないか?」
『そこまでマズくはない…。
 実際、今の経済は殆《ほとん》ど最適解だ…。』
『生活保障金本位制だね…。』
 レナがシートを押してこっちに向かってくる。
『勉強したみたいだな…』
『そりゃね~都市長になるんだし…。
 それに昔見たいな複雑ふくざつな事はやってないから、すんなり理解出来たわね』
『じゃあ説明は任せようか…ジェームズ・天尊と会うなら絶対に必要な知識だ。』

『ナオ…金本位制は知ってる?』
 レナがナオに聞く。
「ああ国が金の重さを値段で保証する事で、金の引換券で取引する方法だ」
 例えば、10万トニー分の金引換券で金100gと交換すると国が決める…。
 そうすると引換券で取引出来るようになり、ただの紙に価値を生む事が出来る…。
 日本の場合なら小判が米の引換券になっていた。
『そう…ただ金には限りがある事もあって21世紀には債務借金の貸し借りが基本の複雑なシステムになってたのね…。
 でも国民は複雑怪奇なシステムを理解出来なくって、まだ本位制感覚だったのよ』
「オレも信用と通貨を交換出来ると思っていた。」
『で、2100年位に分かり易い本位制に戻ったって訳…。』
「一体、何の引換券になったんだ?」
『各都市が決める『1ヵ月分の生活費』を『10万UMの固定相場』で取引する事を天尊が保証したのよ。』
「あーそれが『生活保障金』か…。
 期限付きのベーシック・インカムだと思ってたけど…」
『そう…各都市は『1ヵ月分の生活費』=『10万それぞれの通貨』=『10万UM』になるのね…。
 で各都市が自国通貨の価値を保障する為の『生活保障金制度』…。
 1ヵ月の期限付きなのも使い切ってくれないと1ヵ月の生活費を供給出来ているかどうか証明が出来ないから…。』
「そうなると…」
 ナオが少し考え込む…。
「発展途上の都市の『雑な1ヵ月の生活』と『高度文明の1ヵ月の生活』が等価になるんじゃないか?」
『そう、低文明ほどコストが安く、高度文明の機材を買えるって事…。
 つまり生活水準が上がって、通貨価値が上がって 高度文明の仲間入りになるって訳』
「なら高度文明は?雑な機材が手に入っても得にならないだろう。」
『天然物の食料とか 民芸品は結構な価値があるし、何よりUMを確保出来るのも大きいわね。
 高度文明になればなる程、物資の確保が重要になるから…』
「時間が経過すればするほど、都市の生活水準が上がって行くシステムか…。
 なら天尊はどうやって儲けている?」
 高度文明だろうが低文明だろうが1ヵ月の生活費を10万通貨で買わないといけない。
 低文明の方が両替は多いだろうから、システムを作った天尊は損をする。
『自国通貨建てだから 通貨発行は実質いくらでも出来るし、天尊カンパニーは各都市の輸送を任されているから送料が入る。
 それにネット通販もやってるから…物資の行き来そのものが お金になるのね。』
「誰も損する人がいないシステムだな…」
『『一次的な独占は、一時的に利益は出しても、相手の恨《うら》みを買って長期的には利益が下がる。
 自分の利益を抑えつつ相手に得をさせれば、長期的に利益を出しつつ恨《うら》みも買われない…。』
 天尊の言葉だ。』
 機長席に座り、計器を確認しならがクオリアが言う。
「すんごい企業だな…。
 武力じゃ無くて、経済で世界征服を果たしたって事か…。」
『で、その太陽系の王様の子供の王子が『ジェームズ・天尊』だ。
 まだ見習いの次期社長の地位だが いくつものプロジェクトを成功させている。
 太陽系人口30億を制御する人間だ…気を付けるに越した事は無い。』
「分かったよ…。」
 機体の下ではジェームズ・天尊機が、下部の耐熱パネル空気を受けて、まるでサーフィンをするように降りて行った…。
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