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第二章
2-16 決着
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「ば……馬鹿な!」
何が起きたのか全く理解できず、無様に地面に転がったままあっけにとられる。
すぐさま体勢を元に戻そうと身体を起こすが、足がうまく動かない。それもそのはず、なんと両足がグニャグニャに折れ曲がってしまっていたのだ。
自分が大きな怪我を負っていることを認識して、ようやく意識が痛みを認識する。
「グオオオオオォォォ」
すぐさま癒しの魔法を施し足を元に戻す。しかし治った足をまた動かそうとすると、またさっきのように足がひん曲がってしまう。
(どうなってる!)
ダウターは地を這う私をじっと見物しながら、再度スピードアップフィールドを唱えている。他のアンタッチャブル共もどこか白けた目で壇上から私を見下ろしていた。
(そんな目で私を見るな!)
倒れてようが魔法は撃てる。ダウターに向け地獄の炎を撃ちだそうと腕をそちらに向けた時……
「ガアアアァァ!」
なんとその腕もひん曲がってしまった。一体何がどうなっているのだ! 何故私に攻撃が通用している!?
「何故私に攻撃が! みたいな顔しとるなあ」
「グッ」
「ほんまは自分の勝ち筋とか能力とか人には絶対教えるもんじゃないねんけどな、オールは俺たちの大事な仲間やから特別や。『完敗です、参りました。二度と皆さんには逆らいません』って宣言したら種明かししたるで。名前呼ぶときはさん付けな、様付けじゃないだけ優しいやろ」
勝ち誇ったようにダウターが言う。
「わ……私は天聖軍、第一軍、軍団長……全能のオール。アンタッチャブルの、軍門に……下るわけには、いかぬ」
足が折れ曲がろうが、腕がひん曲がろうが、魔法はどこからでも撃てる。コントロールのイメージが難しいので細かく威力や方向を調節することはできないが、極論頭からでも耳からでも魔法は撃てるのだ。
「も、申し訳、ございません……女神様、や、やはり……私は、このような者達とは……」
最後の攻撃の準備を行う。私一人の命でアンタッチャブルを全員道連れに出来るのなら何の後悔もない。自分の中に渦巻く魔力の速度を上げ、暴走させていく。暴走した魔力はコントロールを失い、この場の全てを飲み込んでいくだろう。
「うお……さすがにこれはやばいか?」
今更慌ててももう遅い、今私を殺したとしても、その瞬間に体内で暴走したこの魔力が外に飛び出るだけだ。
視界の隅でホールダーが立ち上がるのが見えた。だがどうすることもできまい。私は終わりを確信してゆっくりと目を閉じる。
私の魔力は動きをどんどん早くし、もはや私一人の力ではコントロールできない速度に達した。
(女神様の為に……)
あとはこの魔力が身体を突き破るだけだ。予想よりも随分と時間がかかってしまったが、アンタッチャブル達が逃げ出さなかったのは幸いだ。私を舐めたその代償を、命で支払うがいい。
魔力が今まさに私の身体から世界に飛び出そうとした瞬間、ふと大きな手が私に触れる感触がした。同時に私の中の魔力は急速に静まり、いつものように規則だって私の中を循環し始めた。
「な……なぜだ……」
私の身体には癒しの魔法がかけられ、自由を取り戻す。ヨロヨロと立ち上がると、私の側にはいつの間にかホールダーが立っていた。
「君の魔力は君だけのものじゃないからね」
奴はそれだけ言うと元の場所へ戻っていく。
「リーダー! すんません! あのお姿に戻らせる事になるなんて……、すんません!」
「いいんだ。ほんの一瞬さ。何人かは死んでしまったようだけど」
「すんません……すんません……」
あのいつもニヤニヤと笑っていたダウターが、泣きそうな顔をしてずっと謝っていた。
「さて、オール。君はダウターとの戦いに敗れ、その上で自爆玉砕も封じられた。君の負けで問題ないかな」
「殺せ」
屈辱の極みであった。女神様に全能という祝福を与えられておりながら、たった一人のアンタッチャブルも倒せずに足元に転がり、命を捨てた最後の攻撃まで止められ、こうして情けまでかけられている。この先どうして生きていくことができようか。
「人を救う天聖軍の元トップが聞いて呆れるね。君は何のために命をかけてまで戦っているんだい?」
「……無論人のためだ。貴様らとは違ってな」
「本当かい? 一度負けただけで死にたくなるような安い命で出来るのは、せいぜい自己満足ぐらいじゃないのかい?」
侮辱の言葉にホールダーを睨みつける。
「君は指示を受けてここに来たんじゃないのか? 『協力しろと言われましたがやっぱり戦ってしかも負けたので自死しました』と報告でもするつもりか?」
「クソッ……」
腹立たしいが奴の言っていることに反論できない。私は今女神様のご指示を無視し、あまつさえ恥を恐れて命まで捨てようとしていた。私の目的は勝負に勝つことでも恥のない一生を送ることでもない。世界と人々を助ける事なのだ。
「まあ一緒に過ごしてればきっと私たちの弱点も見つかるよ。一石二鳥じゃないか。ご指示に従って、私たちを殺すチャンスが山ほどできるんだから」
勝者の余裕を感じて癇に障るが、まさにその通りだ。
「……よろしく頼む」
いつか殺してやるからな。
何が起きたのか全く理解できず、無様に地面に転がったままあっけにとられる。
すぐさま体勢を元に戻そうと身体を起こすが、足がうまく動かない。それもそのはず、なんと両足がグニャグニャに折れ曲がってしまっていたのだ。
自分が大きな怪我を負っていることを認識して、ようやく意識が痛みを認識する。
「グオオオオオォォォ」
すぐさま癒しの魔法を施し足を元に戻す。しかし治った足をまた動かそうとすると、またさっきのように足がひん曲がってしまう。
(どうなってる!)
ダウターは地を這う私をじっと見物しながら、再度スピードアップフィールドを唱えている。他のアンタッチャブル共もどこか白けた目で壇上から私を見下ろしていた。
(そんな目で私を見るな!)
倒れてようが魔法は撃てる。ダウターに向け地獄の炎を撃ちだそうと腕をそちらに向けた時……
「ガアアアァァ!」
なんとその腕もひん曲がってしまった。一体何がどうなっているのだ! 何故私に攻撃が通用している!?
「何故私に攻撃が! みたいな顔しとるなあ」
「グッ」
「ほんまは自分の勝ち筋とか能力とか人には絶対教えるもんじゃないねんけどな、オールは俺たちの大事な仲間やから特別や。『完敗です、参りました。二度と皆さんには逆らいません』って宣言したら種明かししたるで。名前呼ぶときはさん付けな、様付けじゃないだけ優しいやろ」
勝ち誇ったようにダウターが言う。
「わ……私は天聖軍、第一軍、軍団長……全能のオール。アンタッチャブルの、軍門に……下るわけには、いかぬ」
足が折れ曲がろうが、腕がひん曲がろうが、魔法はどこからでも撃てる。コントロールのイメージが難しいので細かく威力や方向を調節することはできないが、極論頭からでも耳からでも魔法は撃てるのだ。
「も、申し訳、ございません……女神様、や、やはり……私は、このような者達とは……」
最後の攻撃の準備を行う。私一人の命でアンタッチャブルを全員道連れに出来るのなら何の後悔もない。自分の中に渦巻く魔力の速度を上げ、暴走させていく。暴走した魔力はコントロールを失い、この場の全てを飲み込んでいくだろう。
「うお……さすがにこれはやばいか?」
今更慌ててももう遅い、今私を殺したとしても、その瞬間に体内で暴走したこの魔力が外に飛び出るだけだ。
視界の隅でホールダーが立ち上がるのが見えた。だがどうすることもできまい。私は終わりを確信してゆっくりと目を閉じる。
私の魔力は動きをどんどん早くし、もはや私一人の力ではコントロールできない速度に達した。
(女神様の為に……)
あとはこの魔力が身体を突き破るだけだ。予想よりも随分と時間がかかってしまったが、アンタッチャブル達が逃げ出さなかったのは幸いだ。私を舐めたその代償を、命で支払うがいい。
魔力が今まさに私の身体から世界に飛び出そうとした瞬間、ふと大きな手が私に触れる感触がした。同時に私の中の魔力は急速に静まり、いつものように規則だって私の中を循環し始めた。
「な……なぜだ……」
私の身体には癒しの魔法がかけられ、自由を取り戻す。ヨロヨロと立ち上がると、私の側にはいつの間にかホールダーが立っていた。
「君の魔力は君だけのものじゃないからね」
奴はそれだけ言うと元の場所へ戻っていく。
「リーダー! すんません! あのお姿に戻らせる事になるなんて……、すんません!」
「いいんだ。ほんの一瞬さ。何人かは死んでしまったようだけど」
「すんません……すんません……」
あのいつもニヤニヤと笑っていたダウターが、泣きそうな顔をしてずっと謝っていた。
「さて、オール。君はダウターとの戦いに敗れ、その上で自爆玉砕も封じられた。君の負けで問題ないかな」
「殺せ」
屈辱の極みであった。女神様に全能という祝福を与えられておりながら、たった一人のアンタッチャブルも倒せずに足元に転がり、命を捨てた最後の攻撃まで止められ、こうして情けまでかけられている。この先どうして生きていくことができようか。
「人を救う天聖軍の元トップが聞いて呆れるね。君は何のために命をかけてまで戦っているんだい?」
「……無論人のためだ。貴様らとは違ってな」
「本当かい? 一度負けただけで死にたくなるような安い命で出来るのは、せいぜい自己満足ぐらいじゃないのかい?」
侮辱の言葉にホールダーを睨みつける。
「君は指示を受けてここに来たんじゃないのか? 『協力しろと言われましたがやっぱり戦ってしかも負けたので自死しました』と報告でもするつもりか?」
「クソッ……」
腹立たしいが奴の言っていることに反論できない。私は今女神様のご指示を無視し、あまつさえ恥を恐れて命まで捨てようとしていた。私の目的は勝負に勝つことでも恥のない一生を送ることでもない。世界と人々を助ける事なのだ。
「まあ一緒に過ごしてればきっと私たちの弱点も見つかるよ。一石二鳥じゃないか。ご指示に従って、私たちを殺すチャンスが山ほどできるんだから」
勝者の余裕を感じて癇に障るが、まさにその通りだ。
「……よろしく頼む」
いつか殺してやるからな。
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