働くおじさん異世界に逝く~プリンを武器に俺は戦う!薬草狩りで世界を制す~

山鳥うずら

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第八十四話 エルフ皇国【其の三】

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 食事を取った後、皇国の中心街を徒歩で散策する。すれ違うエルフ達は皆美形なので、美的感覚が少しおかしくなる。テトラを横目でちらりと見ると、神々しい雰囲気を身にまとっていた。例えは全く合っていないが『腐っても鯛』を思い出しほくそ笑んだ。

「いやらしい目で、エルフを見てたんでしょう」

「まあな、テトラが一番可愛いから見取れていたよ」

「そんなお世辞ぐらいで誤魔化されませんよ」

 彼女は頬をぷくっと膨らませながら隣を歩く。歩いてみると同じように見えた建物にも個性の違いがあるのが分かる。 

 街は華やかさと活気に満ちて、エルフの繁栄ぶりを感じ取れた。

 行き交うエルフに見とれながら、一軒の商店の窓を覗く。内装は豪華な宮殿の様であった。

「宝飾店ね、エルフ細工は名産品よ」

 俺は扉を開け店に入った。

 最初は俺を見て訝しげな目をしていた店員も、テトラと後ろに控えている衛兵を見て何も言わなかった。

「レイラ姉たちのお土産ね」

「いいや、飲み屋の姉ちゃんのお土産だ」

「うわー最低オヤジ……」

 綺麗な宝石の付いた髪留めを一つだけ買った。

「よくそんなお金があったわね!?」

「エルゾナ皇妃にお小遣いを貰っているからな。テトラも好きな物を買ってやるぞ」

 硬貨の入った小袋をチャラチャラ鳴らす。

「そんなのいらない!」

 口をイーッ!! とした顔で怒った。

「いい女は嘘でも、男のプレゼントは喜んだふりをして貰うものだ」

 どこかで覚えた台詞を使ったが、テトラには響かなかったようだ。

「エルフ名物といった、出来るだけチープなお土産のお菓子が欲しいので店を案内してくれ」

「うーん 難しいわね……安いお菓子ってここでは食べたこと無いのよね」

 お嬢様発言頂きました! テトラは後ろに付いてきていた衛兵に相談している。その中の一人がある店に案内してくれた。俺はその商品に大満足だった。

「そんなもの、人間国に幾らでもあったじゃないの」

「エルフ皇国で買ったという付加価値が大切なんだ」

「そんなものかしら」

「そんなもんだ」

 おっちゃんの言葉にテトラは、渋々と納得してしまう。

「テトラは行きたいところは無いのか?」

 ――しばらく考えてから

「うーん……そうだ! あそこに行きましょう」

 彼女は俺の手を握り走り出した。入り組んだ細い路地を抜けると、大きな噴水のある広場に着いた。

 その泉には俺がイメージする、薄着のエルフの彫刻が泉の周りに配置され一つの物語を切り取っていた。その彫刻は、噴水の水に反射して幻想的な雰囲気を醸し出している。どうやらデートスポットらしく、沢山の若いエルフの恋人たちが、噴水の周りで歓談している。

「エルフィーナの泉よ! 昔ここで美しいエルフの少女が、神様に振られて入水自殺したの。神様はたいそう嘆き、ここの水を飲んだ恋人たちは一生添い遂げる魔法を掛けたの。まあ、言い伝えなので誰も飲まないけど、ここを訪れたエルフは仲睦まじく一生、夫婦(恋人)であると誓う場所になったわ」

 エルフたちを掻き分けて、泉の側まで近づいた。

「ちょっと、場違いな気がして照れくさいな」

「そんなこともないんじゃない」

 目をそらしながら答える。

「まったく……どう見ても年齢が釣り合わないぜ」

 俺はぼやきながら彼女を見ると、落ち着きなそうに、噴水の前でそわそわしている。

 彼女はさっきまで握っていた俺の手を離し、くるりと踵を返して泉とは反対の方向へ走っていく。

「おじさん、この氷菓子下さいな!」

 テトラが向かった先は、観光客目当ての露店であった。

 果物を固まらせた氷菓子を美味しそうに舐めながら、俺のほうに真っ直ぐ目を向け言った。

「だって、ここの名物を一人で食べるのは、恥ずかしかったの……」

 色気より食い気の皇女であった―― 
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