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第百八十九話 王女と女王
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魔王に会えると思っていたら、テトラと再開を果たした。
「ここは、魔王様が住んでいる国では無いのか?」
魔王に会いに来たのに、目の前にテトラがいる……。そんな大きな違和感を彼女にぶつける。
「エルフ皇国ですよ」
ナーナ王女がしれっとした顔で、とんでもないことを言う。
「魔王様にパトリシア王女を紹介すると、約束してくれたと思っていたぞ」
「道筋は付けてあげると言いましたが、会えるとは一言も言ってませんが……」
「全くの詭弁だな」
ぽつりとつぶやいたような俺の声だが、それはナーナ女王にもはっきりと聞こえた。
「おっちゃん、そんなにカリカリと怒らないで頂戴。これでも各方面に声を掛けて、小さな道を繋いだのに」
口を尖らせながらそう言うと、テトラの後ろに大きなおっぱい、もといエルゾナ皇女が俺たちを迎えに来ていた。
「そう言うことで、後はエルゾナ皇妃にお任せするわね。またお会いしましょう」
地面に魔方陣を描いた瞬間、彼女はその陣に逃げるように飛び込んだ。
「ちょ、ちょっと待てよ!!」
俺とパトリシアを残して、ナーナ女王は、魔方陣の中に消えてしまった。なんとなく彼女の手のひらの上で、一日中遊ばれたことに腹は立たなかった。
「相変わらず、自由なお方ですね。初めまして人間さん。私、エルフ皇国の皇妃リグ・グレンナダ・エルゾナ……エルゾナと気軽に呼んで下さい。そして隣にいるのが娘のテトラよ」
エルゾナ皇妃が、俺たちの前で一礼して自己紹介を始めた
「初めまして、私ローランツ王国の第二王女パトリシアと申します」
彼女も慌てて、挨拶を交わした。
「とりあえず、こんな場所で立ち話は何ですから、お部屋に入りましょう」
俺たちはエルゾナ皇妃に連れられて、宮殿の中に入った。
「話はナーナ女王からある程度聞いております。パトリシア王女が、魔王様に面会を求めているという事で間違いないですか?」
「はい、私は魔王様に会って、お話ししたいことがあるのです」
「そのお話ってのを、教えて下さらないかしら」
エルゾナ皇妃がそう言うと、俺が口を挟んだ。
「話が大きすぎて、魔王様に直接伝えなければならない案件だと、俺は確信している。悪いが一国の皇妃様に明かすことが出来ない……だからこそ、テトラ王女に預けているカードを切ることにする」
「まあ、親が子の尻拭いをさせると……」
その言葉が自分をからかっているように聞こえる。
「テトラから貰うはずだったが、すまないが気が変わった」
「ふふふ、仕方がないおっちゃんですね。ただ、そんな大切なカードを使わなくても結構です。実は私もパトリシア王女の願いを、叶えることが出来ないからなの」
「なっ……」
思いもしなかった彼女の言葉に、息が詰まった。
「お話を伝えることなら出来ますが、人間という種族を会わすことが不可能なのです」
「どういう事か詳しく教えて欲しい」
俺は身を乗り出して、彼女に問うた。
「私でも魔王様に会うためには、ドラゴニア皇国を経由しなければ、居場所が特定されないので面会は不可能です。竜族は人間を相手に、対話など絶対してはくれません。ましてやその上の魔王様に会わせることなどありえないのです。簡単に例えるなら、小鬼の話を貴方たちはどんな理由があろうと、聞く耳を持たないですよね。おっちゃんには大きな借りがあるので、どのような願いでも叶えたいのですが、私の力では、魔王様に会わすことが出来ないのです」
「それなら問題ない」
「おっちゃん、私の話をちゃんと聞いててくれましたか」
「竜王に俺の名前を伝えれば、すぐに会うことが出来る。俺と竜王はそう言う関係だと思って貰って結構だ」
「なっ……」
今度はエルゾナ皇妃が、意表を突かれ声を詰まらせた。
「魔王様の取り次ぎではなく、ドラゴニア皇国の訪問の仲介を貴方にお願いする」
俺とパトリシア王女は、頭を深々と下げた。
「ここは、魔王様が住んでいる国では無いのか?」
魔王に会いに来たのに、目の前にテトラがいる……。そんな大きな違和感を彼女にぶつける。
「エルフ皇国ですよ」
ナーナ王女がしれっとした顔で、とんでもないことを言う。
「魔王様にパトリシア王女を紹介すると、約束してくれたと思っていたぞ」
「道筋は付けてあげると言いましたが、会えるとは一言も言ってませんが……」
「全くの詭弁だな」
ぽつりとつぶやいたような俺の声だが、それはナーナ女王にもはっきりと聞こえた。
「おっちゃん、そんなにカリカリと怒らないで頂戴。これでも各方面に声を掛けて、小さな道を繋いだのに」
口を尖らせながらそう言うと、テトラの後ろに大きなおっぱい、もといエルゾナ皇女が俺たちを迎えに来ていた。
「そう言うことで、後はエルゾナ皇妃にお任せするわね。またお会いしましょう」
地面に魔方陣を描いた瞬間、彼女はその陣に逃げるように飛び込んだ。
「ちょ、ちょっと待てよ!!」
俺とパトリシアを残して、ナーナ女王は、魔方陣の中に消えてしまった。なんとなく彼女の手のひらの上で、一日中遊ばれたことに腹は立たなかった。
「相変わらず、自由なお方ですね。初めまして人間さん。私、エルフ皇国の皇妃リグ・グレンナダ・エルゾナ……エルゾナと気軽に呼んで下さい。そして隣にいるのが娘のテトラよ」
エルゾナ皇妃が、俺たちの前で一礼して自己紹介を始めた
「初めまして、私ローランツ王国の第二王女パトリシアと申します」
彼女も慌てて、挨拶を交わした。
「とりあえず、こんな場所で立ち話は何ですから、お部屋に入りましょう」
俺たちはエルゾナ皇妃に連れられて、宮殿の中に入った。
「話はナーナ女王からある程度聞いております。パトリシア王女が、魔王様に面会を求めているという事で間違いないですか?」
「はい、私は魔王様に会って、お話ししたいことがあるのです」
「そのお話ってのを、教えて下さらないかしら」
エルゾナ皇妃がそう言うと、俺が口を挟んだ。
「話が大きすぎて、魔王様に直接伝えなければならない案件だと、俺は確信している。悪いが一国の皇妃様に明かすことが出来ない……だからこそ、テトラ王女に預けているカードを切ることにする」
「まあ、親が子の尻拭いをさせると……」
その言葉が自分をからかっているように聞こえる。
「テトラから貰うはずだったが、すまないが気が変わった」
「ふふふ、仕方がないおっちゃんですね。ただ、そんな大切なカードを使わなくても結構です。実は私もパトリシア王女の願いを、叶えることが出来ないからなの」
「なっ……」
思いもしなかった彼女の言葉に、息が詰まった。
「お話を伝えることなら出来ますが、人間という種族を会わすことが不可能なのです」
「どういう事か詳しく教えて欲しい」
俺は身を乗り出して、彼女に問うた。
「私でも魔王様に会うためには、ドラゴニア皇国を経由しなければ、居場所が特定されないので面会は不可能です。竜族は人間を相手に、対話など絶対してはくれません。ましてやその上の魔王様に会わせることなどありえないのです。簡単に例えるなら、小鬼の話を貴方たちはどんな理由があろうと、聞く耳を持たないですよね。おっちゃんには大きな借りがあるので、どのような願いでも叶えたいのですが、私の力では、魔王様に会わすことが出来ないのです」
「それなら問題ない」
「おっちゃん、私の話をちゃんと聞いててくれましたか」
「竜王に俺の名前を伝えれば、すぐに会うことが出来る。俺と竜王はそう言う関係だと思って貰って結構だ」
「なっ……」
今度はエルゾナ皇妃が、意表を突かれ声を詰まらせた。
「魔王様の取り次ぎではなく、ドラゴニア皇国の訪問の仲介を貴方にお願いする」
俺とパトリシア王女は、頭を深々と下げた。
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