働くおじさん異世界に逝く~プリンを武器に俺は戦う!薬草狩りで世界を制す~

山鳥うずら

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外伝 簡単なお仕事で、大金が稼げます【その二】

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 魔王の森にカーンカーンと、大木が伐採される音が響き渡る。

「倒れるぞーーーーーっ!」

 一人の木こりが大声を上げ、護衛の冒険者たちに危険を伝えた。

「大丈夫なんだろうな……この森で伐採なんて続けて……」

 倒れた大木の枝木を払いながら、木こりは不安げな表情をする。

「ずいぶん昔、十人以上でこの森の中に入った者たちは、帰って来られなかったと、爺様が口を酸っぱくして言ってたな」

 もう一人の木こりが、不安を煽るように話す。

「おまえらにはそれを承知の上で、高い金を前金で払っているんだ!!」

 冒険者のリーダーは、木こりたちに対して苛立ちを露にした。

「わしらは確かにこの森での伐採を請け負ったが……ここまで沢山の木材を持ち帰るとは想定外だべ」

 鬱蒼と大木が茂る魔王の森の一部が、伐採によって大きく切り開かれ、切り株だらけの空き地になっていた。

「だから、前金をさらに積んだんだ!! 今更つべこべ言うのなら、受け取った金を置いて、山から下りても良いんだぞ」

 木こりたちはその言葉に、表情を強張らせる。

「ちっ……仕事をするのは俺たちなのに……」

 冒険者に聞こえないぐらいの小さな声で、木こりたちは口々に文句を言い合った。

 「お前たち、こんな山奥で何をしておるのか?」

 突然、中性的な顔立ちをした、女とも男ともとれる人物が木こりの前に現れた。透明感のあるパール地の髪の毛を揺らし、青い瞳を木こりに向け尋ねてくる。

「みりゃあ分かるべ。木を切っているんだよ!」

 木こりは気まずそうに視線をそらし、ぶっきらぼうに答える。

「そうかえ、この森で伐採しているのか……」

 その女性(仮)は呆れた様子で辺りを眺め、目を細めるる。

「すまんが仕事の邪魔をしないでくれ!! なんぞ用があるなら、向こうに冒険者がいるから、何なりと聞けばいいべ」

 木こりはその人物に向け、右手をチャッチャッと振り、早く行けと急かした。

「合い分かった」

 そう一言言うと、その場から立ち去る。

「おい! 忘れ物を届けに来た」

 女性(仮)は右手で掴んでいた物を、冒険者に向け無造作に投げつける。

 冒険者はそれを受け取ると、恐怖の悲鳴を上げた、

「ひやあああああー、な、生首だぁ~~~~~!!」

 驚愕の表情に変わった冒険者が、木こりの生首を受け取ったまま尻餅をつく。

「ああ、間ちごうてしまったわ。忘れ物ではなく、害虫駆除にきたのよ」

 いたずらを犯した子供のように、青白い舌をぺろりと出す。

「お、おまえは誰だ」

 冒険者が怯えきった様子で、おずおずと尋ねる。

「アハハハハハ、そう言えば挨拶するのを忘れていたな。われは魔王じゃ」

 凛とした声が森に響く。

「……はあ!? 魔王だと」

 冒険者たちかざわつく。

 騒動に気が付いた残りの冒険者と木こりたちが、魔王と称する人物の前に集まってくる。

「われも見くびられたものよのう……この森には十人以上で入ってはならないということわりを、もう忘れたのかしら」

「わははは! 『九つの匣』の話しなら誰でも知っている昔話だわ」

 それを聞いた冒険者たちが一斉に笑いだし、懐の刀を抜き魔王に襲いかかる。不意を突かれた魔王は、手刀を放って相手の刀を打ち流す。そこに、体制の崩れかけた冒険者の頭にハイキックを放ち、頭を間単に吹き飛ばした。

「なんじゃ、知っておったのか。それなら森から逃げだした方が、助かる確率がちいとだけ。あったのではないのか」

 呆れ果てた声を出し、魔王は首を傾けた。

「お前たち……武器を持っていないからといって油断するな!! 相当ヤベー体術を使う相手だぞ!!」

 険しい顔をしたリーダーが、確認したかのように、仲間に伝える。

「ククク、体術だけとは心外な」

 魔王は左手から炎を放ち、冒険者にぶつけた。炎に巻かれた冒険者は悲鳴を発し、火だるまになりながら地面を転げ回る。

「ひいいいっ!! ばけもんだぁ!! に、逃げろ~~~!!」

 冒険者の後ろで斧を握りしめていた木こりたちが、蜘蛛の子を散らすに、その場から逃げ出した。

「ひいいーーーーーーーーーーーーーー」

 木こりたちの絶叫が、藪の中から聞こえてきた。その声がすぐに途切れたかと思うと、藪がガサリと揺れ人影が現れた。

「魔王様、お仕事中に申し訳にゃいのですが、竜王様から至急お話がしたいという連絡を頂いたのにゃ」

 メイド服を真っ赤に染めた銀髪の女性が、魔王に向けて頭を下げる。

「こちらの仕事は終わったわ。竜王から用件は聞いておるのか?」

 冒険者たちは既に、絶望で声を出すことなく魔王に打ちかり取られ、森の養分に変わり果てていた……。

「はい、人間国の女王が魔王様に謁見したいと、竜王様を通じて依頼されたそうですにゃ」

「そうか……人間が謁見したいとは珍しいの……われに何の用があるのやら。それにしても人間というものは、御し難いものじゃな」

 魔王はにたりと笑い、魔王城に戻っていった――


※ 作中で『魔王の山』とありますが、本編で『魔の山』とかなり間違って書いていた気がします(汗)。『魔王の山』が正しい名称です。ちなみに地図上では『北の森』となっています。詳細は第六十三話 九つの匣【回答編】にて。
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