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第十八話 魔王の決断
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広間の中心に置かれた大きな円卓に、僕と魔王が向かい合って座っている。
「まさか勇者とこの席で会談をするとは、思わなんだ……」
冗談めかして魔王が最初に口を開く。
「だからこそ貴方は、負けたんじゃないんでしょうか」
魔王に向かって、辛辣な言葉で皮肉を投げ掛ける。
「ハハハ、そうじゃの、我は勇者を甘く見ていたようじゃ。まあ、そんな話を今更言ったところで詮無きこと。こちらの条件は、勇者が丸一年掛けて、我から奪った領土を一人で巡ることだ」
それは魔王自らの死と交換する対価としては安すぎた――
「えっ!? その条件で命を差し出すのですか」
僕は疑問と驚きの声を上げる。
「そうだ、ただしそこに条件は付けさせて貰う。勇者は一年間、魔族に手を出さないというのが大前提じゃ。占領地で何があろうと、勇者は介入して欲しくない。もちろん勇者が魔族に命を狙われたら、いつでも反撃してくれればよい。我が望むのは。勇者が一傍観者として、戦地を巡り、この屋敷にもう一度戻ってくることじゃ。もちろんこの間、バルザ王国との連絡は一切絶ってくれ」
魔王はわずかに身を前へと乗り出して説明する。
「僕の力を封じ込め、反撃の機会を狙うということですね」
「もう……我以上の力のある魔人なぞ生きてはおらんよ……ギレンを倒したお前たちに、力でかなう同族はもう存在せぬわ」
「それを信じろとでも言うのですか」
如何に魔王の言葉とはいえ、僕はにわかに信じがたかった。この条件をはいそうですかと納得できるものではない。
「もし、そうなれば契約は無効でよい。お前たちがここに辿り着いたということは、もう我が軍の力がないのは、勇者自身が分かっているはずじゃ。この条件が飲めんのなら、すぐにでも戦おうぞ!」
「くっ! あんたの狙いはなんなんだ!」
「滅び行く魔族を見て欲しい……そういうことにしておくか。で、勇者はこの条件を飲むのか、飲まないのかどちらじゃ」
忸怩たる想いを叩き付けるかのように、魔王は声を吐き出した。
「その条件を受けようと思います」
僕は少し考えてから答えを出した。
「では、約束の刻印を交わそうじゃないか。そうじゃ大切な条件を入れるのを忘れていた。この屋敷に手を出してはならんということだ……。ここには、勇者を帰還させる装置があるので、一年後にここが荒らされていては、本末転倒じゃからな。この邸は不可侵ということを仲間に伝えてくれ。まあ、ここを壊すことが出来るのは、お前しか居ないとは思うがな」
僕は魔王と約束を交わし、刻印を身体に刻んだ。魔王との約束を違えれば、僕も命を失うという効力の出る魔道契約であった。
「忘れておった……最後に勇者に渡す物があったわ」
魔王はそう言うと、自分の角をもぎ取り、僕に手渡した。
「これは魔王を倒したという証明ですね」
「ああ、我が死ねば魔石以外は残らんからな。これを仲間に渡して、一人で旅立ってくれ」
魔王は寂しそうに笑い、椅子から立ち上がる。そして静かに部屋から出て行った。しばらく待っていると、一人の褐色の少女が、大きな包みを持って現れた。
「勇者よ! これで満足したか!! これを持って早く部屋から消え去ってくれ。妾はお前の顔なぞもう二度と見とうない!! 取りあえず一年後だけここに来ることだけは許してやる」。
彼女が誰だか聞かなくても分かった。僕は追い立てられるように、この邸から出て行った……。
「まさか勇者とこの席で会談をするとは、思わなんだ……」
冗談めかして魔王が最初に口を開く。
「だからこそ貴方は、負けたんじゃないんでしょうか」
魔王に向かって、辛辣な言葉で皮肉を投げ掛ける。
「ハハハ、そうじゃの、我は勇者を甘く見ていたようじゃ。まあ、そんな話を今更言ったところで詮無きこと。こちらの条件は、勇者が丸一年掛けて、我から奪った領土を一人で巡ることだ」
それは魔王自らの死と交換する対価としては安すぎた――
「えっ!? その条件で命を差し出すのですか」
僕は疑問と驚きの声を上げる。
「そうだ、ただしそこに条件は付けさせて貰う。勇者は一年間、魔族に手を出さないというのが大前提じゃ。占領地で何があろうと、勇者は介入して欲しくない。もちろん勇者が魔族に命を狙われたら、いつでも反撃してくれればよい。我が望むのは。勇者が一傍観者として、戦地を巡り、この屋敷にもう一度戻ってくることじゃ。もちろんこの間、バルザ王国との連絡は一切絶ってくれ」
魔王はわずかに身を前へと乗り出して説明する。
「僕の力を封じ込め、反撃の機会を狙うということですね」
「もう……我以上の力のある魔人なぞ生きてはおらんよ……ギレンを倒したお前たちに、力でかなう同族はもう存在せぬわ」
「それを信じろとでも言うのですか」
如何に魔王の言葉とはいえ、僕はにわかに信じがたかった。この条件をはいそうですかと納得できるものではない。
「もし、そうなれば契約は無効でよい。お前たちがここに辿り着いたということは、もう我が軍の力がないのは、勇者自身が分かっているはずじゃ。この条件が飲めんのなら、すぐにでも戦おうぞ!」
「くっ! あんたの狙いはなんなんだ!」
「滅び行く魔族を見て欲しい……そういうことにしておくか。で、勇者はこの条件を飲むのか、飲まないのかどちらじゃ」
忸怩たる想いを叩き付けるかのように、魔王は声を吐き出した。
「その条件を受けようと思います」
僕は少し考えてから答えを出した。
「では、約束の刻印を交わそうじゃないか。そうじゃ大切な条件を入れるのを忘れていた。この屋敷に手を出してはならんということだ……。ここには、勇者を帰還させる装置があるので、一年後にここが荒らされていては、本末転倒じゃからな。この邸は不可侵ということを仲間に伝えてくれ。まあ、ここを壊すことが出来るのは、お前しか居ないとは思うがな」
僕は魔王と約束を交わし、刻印を身体に刻んだ。魔王との約束を違えれば、僕も命を失うという効力の出る魔道契約であった。
「忘れておった……最後に勇者に渡す物があったわ」
魔王はそう言うと、自分の角をもぎ取り、僕に手渡した。
「これは魔王を倒したという証明ですね」
「ああ、我が死ねば魔石以外は残らんからな。これを仲間に渡して、一人で旅立ってくれ」
魔王は寂しそうに笑い、椅子から立ち上がる。そして静かに部屋から出て行った。しばらく待っていると、一人の褐色の少女が、大きな包みを持って現れた。
「勇者よ! これで満足したか!! これを持って早く部屋から消え去ってくれ。妾はお前の顔なぞもう二度と見とうない!! 取りあえず一年後だけここに来ることだけは許してやる」。
彼女が誰だか聞かなくても分かった。僕は追い立てられるように、この邸から出て行った……。
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