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第二十六話 ひきこもり、太陽の光を浴びる
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市バスに乗って移動することなんて、何年振りの出来事だったのか思い出せない。太陽の光を身体に浴びて、少し高い車窓から見る風景は、かなり新鮮だった。『次は市民病院前、市民病院前~』と車内アナウンスが流れたので、降車ボタンを押すと年甲斐もなく笑みがこぼれ落ちた。
バスが停車し、大きな買い物袋を両手に持って降車する。バス停から市民病院まで、よろよろしながら歩いて行く。久しぶりに訪れた病院は、自分が知っている建物と大きく違っていたのに驚いた。以前は三階建ての学校のような建物だったのが、倍以上の高さの大病院へと生まれ変わっていた。
健ちゃんが検査入院している病棟は聞いていたので、取りあえずエレベーターに乗って六階まで昇る。スタッフステーションが廊下の先に見え、俺は少しだけ息を切らしながら受付を済ませると、後ろから誰かに背中を叩かれる。慌てて振り向くとナース姿もとい、看護師姿の薫ちゃんが、笑顔で立っていた。
「誠さん、お兄のお見舞いに来てくれたんですね」
「わあ、びっくりした。天使が舞い降りたかと思ったぞ」
「ははっ……六〇六号室まで案内しますね」
彼女の声色が、不機嫌なものに変わった気がした。
「チィース! 元気だったか。お見舞いに来てやったぞ」
滑ったことが無かったかのように、元気よく病室に入る。
「嬉しいな! 身体は何ともないので、退屈で仕方がないよ」
健ちゃんは、寝ていた身体を起こし、ベッドに腰掛けた。
「そうだよな……とりあえず適当な小説を見繕って持ってきたので、暇になったら読んでくれ。漫画は直ぐに読み終えそうだから、リクエストがあれば次に持ってくるわ」
ベッドの上に、小説を詰め込んだ袋をドスンと置いた。
「こんなに沢山ありがとうね。これだけの量だと、かなり重かっただろう」
健ちゃんはそう言って、俺を労ってくれる。
「ああ、久々に力仕事をしたぜ」
俺はわざと力こぶを作って見せた。
「誠さん兄のためにありがとうございます。もし荷物があれば、私の車で運びますので、家に持ってきて下さい」
「その発想はなかったよ。次回は薫ちゃんにお願いするか」
緊張したせいか、親戚の叔父さんが話すような口調で答えてしまう。
「一週間ほど検査入院するから、これだけあれば十分だよ」
ベッドの上の袋をいとも簡単に持ち上げ、備え付けの棚に押し込んだ。
「そうか……まあラノベなのであっという間に読めると思うので、もし追加があれば連絡してくれ」
そう言うと、健ちゃんは嬉しそうに頷く。
「私は仕事がありますから、兄をお願いしますね」
深々と頭を下げ、彼女は部屋から出て行った。
「しかし、あのおんぼろだった市民病院が、こんなに立派な建物になっているのには驚いたわ。それと薫ちゃんがナースだったのには……」
「僕もだよ……藪医者揃いのすす汚れた病院と揶揄された、市民病院とは到底思えないね」
「そうだよな! 小学校の時、ブーちゃんが腹痛と盲腸を、この病院で誤診されたのを覚えているか?」
「お見舞いに行ったら、ブーちゃんが殺されかけたってぼやいていたよね」
健ちゃんと俺は、顔を付き合わせて笑う。
「ここで死んだ患者の幽霊が、夜な夜な出るって、当時の俺はマジで信じていたわ」
「そうだよね! 赤い包帯を巻いた女の子を見てしまうと死んじゃうとか」
「そうそう、懐かしい思い出だな」
俺たちは彼の病室に夕食が運び込まれるまで、学生時代の思い出を語り合っていた。
「じゃあ、また遊びに来るわ」
気付けば病室に掛けられていた時計の針が、六時をとうに回っていたので、俺は帰宅することを、唐突に切り出した。
「まこちゃん、もう少し待って欲しいんだ……話したい事があるので」
健ちゃんが思い詰めた顔で、俺をじっと見つめてきた。
「じゃあコンビニで買い物してくるから、夕飯を食いながら話そうぜ」
俺はそう言って、よどんだ空気が漂う病室を後にする……。
※ コロ×描写はややこしいので、コロ×の無い世界線です(笑)
投稿したつもりが出来ていませんでした。コロ×という文字がはじかれて、ビックリ!
バスが停車し、大きな買い物袋を両手に持って降車する。バス停から市民病院まで、よろよろしながら歩いて行く。久しぶりに訪れた病院は、自分が知っている建物と大きく違っていたのに驚いた。以前は三階建ての学校のような建物だったのが、倍以上の高さの大病院へと生まれ変わっていた。
健ちゃんが検査入院している病棟は聞いていたので、取りあえずエレベーターに乗って六階まで昇る。スタッフステーションが廊下の先に見え、俺は少しだけ息を切らしながら受付を済ませると、後ろから誰かに背中を叩かれる。慌てて振り向くとナース姿もとい、看護師姿の薫ちゃんが、笑顔で立っていた。
「誠さん、お兄のお見舞いに来てくれたんですね」
「わあ、びっくりした。天使が舞い降りたかと思ったぞ」
「ははっ……六〇六号室まで案内しますね」
彼女の声色が、不機嫌なものに変わった気がした。
「チィース! 元気だったか。お見舞いに来てやったぞ」
滑ったことが無かったかのように、元気よく病室に入る。
「嬉しいな! 身体は何ともないので、退屈で仕方がないよ」
健ちゃんは、寝ていた身体を起こし、ベッドに腰掛けた。
「そうだよな……とりあえず適当な小説を見繕って持ってきたので、暇になったら読んでくれ。漫画は直ぐに読み終えそうだから、リクエストがあれば次に持ってくるわ」
ベッドの上に、小説を詰め込んだ袋をドスンと置いた。
「こんなに沢山ありがとうね。これだけの量だと、かなり重かっただろう」
健ちゃんはそう言って、俺を労ってくれる。
「ああ、久々に力仕事をしたぜ」
俺はわざと力こぶを作って見せた。
「誠さん兄のためにありがとうございます。もし荷物があれば、私の車で運びますので、家に持ってきて下さい」
「その発想はなかったよ。次回は薫ちゃんにお願いするか」
緊張したせいか、親戚の叔父さんが話すような口調で答えてしまう。
「一週間ほど検査入院するから、これだけあれば十分だよ」
ベッドの上の袋をいとも簡単に持ち上げ、備え付けの棚に押し込んだ。
「そうか……まあラノベなのであっという間に読めると思うので、もし追加があれば連絡してくれ」
そう言うと、健ちゃんは嬉しそうに頷く。
「私は仕事がありますから、兄をお願いしますね」
深々と頭を下げ、彼女は部屋から出て行った。
「しかし、あのおんぼろだった市民病院が、こんなに立派な建物になっているのには驚いたわ。それと薫ちゃんがナースだったのには……」
「僕もだよ……藪医者揃いのすす汚れた病院と揶揄された、市民病院とは到底思えないね」
「そうだよな! 小学校の時、ブーちゃんが腹痛と盲腸を、この病院で誤診されたのを覚えているか?」
「お見舞いに行ったら、ブーちゃんが殺されかけたってぼやいていたよね」
健ちゃんと俺は、顔を付き合わせて笑う。
「ここで死んだ患者の幽霊が、夜な夜な出るって、当時の俺はマジで信じていたわ」
「そうだよね! 赤い包帯を巻いた女の子を見てしまうと死んじゃうとか」
「そうそう、懐かしい思い出だな」
俺たちは彼の病室に夕食が運び込まれるまで、学生時代の思い出を語り合っていた。
「じゃあ、また遊びに来るわ」
気付けば病室に掛けられていた時計の針が、六時をとうに回っていたので、俺は帰宅することを、唐突に切り出した。
「まこちゃん、もう少し待って欲しいんだ……話したい事があるので」
健ちゃんが思い詰めた顔で、俺をじっと見つめてきた。
「じゃあコンビニで買い物してくるから、夕飯を食いながら話そうぜ」
俺はそう言って、よどんだ空気が漂う病室を後にする……。
※ コロ×描写はややこしいので、コロ×の無い世界線です(笑)
投稿したつもりが出来ていませんでした。コロ×という文字がはじかれて、ビックリ!
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