勇者の友人はひきこもり

山鳥うずら

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第三十七話 ひきこもり、バブル景気を味わう 

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「わっしょい!! ジャンク祭りじゃあ~~~~~~~~~~」

「イエーーイ!! 乾杯ーーーーーーイ!!」

 俺たちはグラスを高々と上げて、お互いにコップを打ち鳴らす。

 今から放送される特別番組『ビットたけるの超常現象XファイルTHE REVENGE』を祝して、我が家で宴会を催す事にした。出演料が入るので、焼き肉屋に行こうと健ちゃんに勧めたが、ジャンク系の料理が食べたいと彼のたっての希望で、宅飲みに相成った。

 ただ、いつもの宅飲みではなく、リビングにはケンタッキーをはじめ、モスバーガー、持ち帰りのお寿司、ピザ、袋菓子の数々が、これでもかと言うほどの食べ物の山が、所狭しと並べられている。購入金額も飲み物を含めれば、数万円を軽く超えていた。

「これじゃあ、焼き肉屋で食べるのと変わらないな」

「そうなの? 家ではジャンク系の料理は、まず出ないので幸せだよ」

 健ちゃんは右手に構えた割り箸を、カチカチと動かして、どれを食べようか迷っている。彼の食べる量は端から見ても異常に多いが、ガタイのある自分も、人並みの数倍は余裕で胃袋に納めることが出来た。

「これだけ料理が並ぶと壮観だ!」

「フフフ……昼間の買い物は最高にエキサイティングだったよね」

 健ちゃんは口いっぱいにお寿司を詰め、嬉しそうに身体を揺すった。

「モスバーガのメニューを上から順番に全部注文する姿を横で見ていたが、完全に成金だったぞ」

「洋服を右から左にディスと言って、全て買いあさる有名歌手の気持ちが味わえたよ」

 そう言って、俺は贅沢にも・・・・二枚重ねでピザを頬張る。

「まさか、夕食を運ぶのにタクシーを呼ぶとは、想定外だったよね」

 俺と健ちゃんはその大量の食料を積み込むのを思い出し、手を叩きながら大爆笑した。

 床に並べていた料理が次々と消えていく中、TV画面から『ビットたけるの超常現象XファイルTHE REVENGE』という番組を進行する声が流れた。

「わわっ! 始まったよ」

 健ちゃんは俺の膝を、ゆさゆさと揺らす。そうして俺たちが持ち込んだ異世界の品々を、専門機関が解析するVTRを、彼は画面に釘付けで見ていた。俺はスタジオで一度見ているので、ビール片手に、子供のような健ちゃんの姿を酒の肴に楽しんでいた。

「金貨より青い貨幣の方がレアだったんだね」

「あれには俺も驚いたよ……ブルーのお金は完全にオーパーツだったな。解析した会社から、もう一度貸してくれと頼まれたのは想定外だったし……。メリットも無いので、何度も断ったのにしつこすぎだぜ!」

「減る物じゃないし、貸してあげても問題ないと思うけど」

 健ちゃんは納得していないという表情を出す。

「出所を異世界だと信じない奴に預けても、良いことはないと判断したわ」

「そうかもしれないね……」

 彼は少しだけ寂しそうな顔をして同意した。

 コーナーが始まってから数分――俺は期待と不安でスマホの画面を覗く。すると信じられない数字が目に飛び込んできた

「ふはっ!? 登録者数が五万人を超えている!!」

「あのVTRの効果は絶大だね! 画面を更新する度に数字が増えていくよ」

 健ちゃんは俺のスマホを弄りながら言った。

「ギラガント!!」と俺の声が流れた場面で、チキンを骨ごと囓りながら、テレビの中の俺を見て健ちゃんが、ゲラゲラと笑い転げている。

 「し……死ぬぅう~~~~~~~~~!!」

「ふははは。面白すぎだよ。あの異世界否定派たちの椅子から転げる姿は、スタジオで見ていても最高だった」

「何言ってるんだ! 面白いのは、魔法を使い切りふらついて死にそうな顔をしている、まこちゃんの容姿だよ」

 画面上には否定派の出演者が、雷魔法で椅子から転がり落ちる姿を大きく映し出されていたが、実は三人に影響を与えるほどの魔法を、俺は死に物狂いで放出していた。

「酷い言い様だな……テレビ的には炎系の魔法が一択だったが、カチンときたんだよな。結果的に面白くなったので、電撃魔法を選んだのは正解だったし」

 一瞬、むっとした顔をしてた俺も、健ちゃんにつられて笑ってしまう。ビットたけるが終了のゴングを鳴らしたときには、異世界レジスタンスの登録人数は十万人を超えていた――
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